今なおファンの多い「ハコスカ」が有名
昨年メルセデスAMGが、同社の創業50周年を記念して、現行F1マシンに搭載される1.6リッター V6ターボ“パワーユニット”(エンジン出力500kw=約680馬力+2モーター約326馬力)をミッドシップにレイアウトする、メルセデスAMG プロジェクト ワンを発表して話題になった。このメルセデスAMGのプロジェクトワンのように、レーシングカーのエンジンを市販のスポーツカーに搭載した例は意外に少ない。
一番有名なのは、初代スカイラインGT-R、いわゆるハコスカに搭載されたS20型エンジン。これは、プリンス自動車のプロトタイプレーシングカーR380のために開発した、レース用エンジンGR8型 のデチューン版だった。
また、フェラーリF40のエンジン、Tipo F120Aも、グループCで活躍したランチア LC2用エンジンのデチューン版として知られている。それから市販化には至らなかったが、童夢が開発・製作を行ったジオット・キャスピタも、スバル&イタリアのモトーリ・モデルニが共同開発したF1用3.5リッター水平対向12気筒エンジンとF1用ジャッドV10エンジンが搭載された(製作されたのはこの2台のみ)。
また、ヤマハの幻のスポーツカー、OX99-11にもF1のジョーダン192に搭載されたヤマハ製V12気筒エンジン、OX99(3498cc 5バルブ)のデチューン版が採用されていた(3台現存)。直系とは言い難いかもしれないが、グループCの傑作車、ポルシェ962Cのエンジンは、市販の911と多くのパーツを共有していたし(部品の品番が、911- ではじまる)、マツダのロータリーエンジンも、レース用と量産車の垣根は比較的小さい。(写真はレーシングモデルのポルシェ962C)
意外なところでは、ホンダS2000のエンジン=F20Cは、JTCCを制したアコードのレーシングユニット、H22A改2Lのデチューン版という見方もできる。
反対に量産エンジンがベースであることが義務付けられているレースのレギュレーションが多いので、トヨタの2代目MR-2や初代ビスタといった車種に搭載されていた3S-G(WRC、グループC、JGTC、JTCC、F3)や、ホンダのアフターパーツに携わる無限はF3マシンに搭載されたMF204シリーズのベースになったB20A(3代目プレリュード)やB18C(初代インテグラ・タイプR)、H22A(アコード・ユーロR)、K20A(2代目インテグラ・タイプR)といったレースで活躍したエンジンもある。
さらにはグループAレースを制するために開発された、スカイラインGT-RのRB26DETTなど、レースで活躍したベースエンジンは数多くあるが、レーシングエンジンを積んだ市販車は、歴史的にも珍しい。
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