ワンボックスで走りを追求した当時希少な存在
今となっては高級ミニバンというジャンルもすっかり市民権を得て、ハイパワーなエンジンを搭載したモデルも存在するが、80年代にミニバン(というかワンボックスカー)にV型6気筒3リッターエンジンを搭載した車両が存在していたことを覚えているだろうか?
それは1986年に登場した3世代目のキャラバンとその兄弟車のホーミーだ。登場時こそ2リッターのガソリンとディーゼル、2.3リッターディーゼルと常識的なエンジンラインナップであったが、1988年10月に上記のV6エンジンを搭載した「GT」グレードを追加している(2.7リッターディーゼルターボエンジン搭載のGTも設定)。このエンジンは当時のセドリック/グロリアなどにも採用されていたVG30E型で、155馬力/25.0kgf・mと今となってはそれほど大出力ではないかもしれないが、当時としてはかなりの衝撃をもって迎えられたことは言うまでもない。
ちなみに90年に追加された「リムジン」や「ロイヤル」といったグレードには、ワンボックス車としては初めての本革シートがオプション設定されるなど、高級ミニバンの時代の到来を予感させる充実装備であった。
なお、当時のライバル関係にあったハイエースは4気筒のみのラインアップだったが、ハイエースをベースにした高規格救急車のハイメディックにはセルシオに搭載されていたV型8気筒4リッター(1UZ-FE)が搭載され、フロント部分に「V8」のエンブレムが装着されていた。
その後、キャラバン/ホーミーの乗用モデルは1997年にキャラバン・エルグランド/ホーミー・エルグランドへと進化を果たし、押し出しの強い高級ミニバン路線の走りとなった。キャラバン自体は2001年に4世代目へとフルモデルチェンジを果たしたが、すでにエルグランドが人気を集めていたためか、V6エンジンなどは設定されず、どちらかというと働くクルマとしての性格を強めて行った。
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