ポルシェAGが運営するポルシェミュージアムは12月18日、3年をかけてレストアした最古の「911」をコレクションに加えるとともに、2018年4月8日までの間、「911(901 No.57)- レジェンドのテイクオフ」と題した特別展示で披露すると発表した。
新たにコレクションに加わった「901」は、356の後継モデルとして登場した「901」。ポルシェは当初、911を901としてリリースしたが、発売から数週間で商標権の問題から名称変更を余儀なくされた。その時点まで生産されたモデルは「901」として生産され、販売時には911の名称で売られることになった。
今回レストアされた車両は、モデル名が変更される前の初期の901。豊富なコレクションを誇るポルシェミュージアムもこれまで保有してなく、非常に貴重な車両である。発見されたのは2014年。アンティークやコレクターズアイテムに関する番組を制作していたドイツのテレビクルーが長年車庫に眠っていた物品を評価していた際に、2台の911と出会ったのだという。そこでポルシェミュージアムに問い合わせをしたところ、車体番号などからそのうちの1台がモデル名が変更になる前のモデルだと判明した。ポルシェミュージアムは社外の専門家が査定した価格でこの2台の911を購入し、レストアを実施した。
なおレストア期間が3年にも及んだ理由は、あえて復元作業に手間のかかる方法を採用したため。それは交換よりも修理を優先するというポルシェミュージアムならではのレストアに対する思想の表れによるものだ。レストアでは、錆びついた車両を元の状態に戻すプロセスにおいてパーツ交換を最小限にとどめ、できるだけ元のものを利用する方法を選んだ。エンジンおよびトランスミッションのほか、電装品やインテリアは、どれも同じ原則に基づいて修理が施されているという。
ポルシェは、独フライグルク・アム・ネッカーにポルシェ・クラシック・ワークショップ(レストア工場)を構えており、そこでクラシックモデルのレストアを行なっている。ここでは博物館のコレクションのみならず、顧客向けのレストア事業も行っている。レストアでは、コンポーネントの品質および特性に関して厳しい要件を設定し、作業は正確に文書にて記録を行う。フルレストアに対しては証明書の発行も行っている。
またポルシェ・クラシックは、ヴァイザッハのポルシェ開発センターやオイルメーカーと共同で、クラシックモデル用のモーターオイルの開発・販売なども行っている。356や914、初期の911などにも対応し、コルク製シールや鉛を含有するベアリングといった部品に対して高い保護性能を確保するなど、クラシックモデルのコンディションを保つ配慮がなされている。なおレストアサービスの提供やクラシックモーターオイルの販売はドイツのみならずグローバルに展開され、もちろん日本市場もその対象となっている。
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