各メーカーの現行ベストエンジン車を、ターボ・NAそれぞれで選出する本企画。先日の日産編、ホンダ編に続いて今回はマツダ編。マツダといえば、他社がEV開発に乗り出すなか、理想のエンジンとも言えるSKYACTIV-Xを開発するなど、内燃機関の可能性を追求し続け、クリーンディーゼルエンジンを柱とするなど、他社とは一線を画す。そのマツダの今最も優れる“ベスト”を選出。
文:渡辺陽一郎/写真:MAZDA、編集部
ベストカー2017年12月10日号
『メーカー別 ベストターボ車&NA車』より
愛し愛された「マイナー車」たち【リバイバル】長所と消えた理由7選
ディーゼルターボは軽快な1.5Lが魅力的
アクセラのディーゼル車は当初2.2Lのみだったが、1.5XDも追加。6ATとの組み合わせのみとなる
今日のマツダ車では、OEM(他社製造)車を除くとガソリンターボはないが、クリーンディーゼルターボは1.5Lと2.2Lを用意する。
2.2Lは2ステージターボを装着して実用回転域の駆動力が高く、最大トルクは42.8kgm(2000回転)だから、4Lの自然吸気ガソリンエンジンに匹敵する。CX-8は45.9kgmまで高めた。アクセルペダルを軽く踏むだけで強力な駆動力が沸き上がるが、マツダのディーゼルの特徴は、軽快な吹き上がりにある。
この運転感覚を実感できるのは1.5Lだ。最大トルクはアクセラとCX-3が27.5kgm(デミオは22.4kgm/25.5kgm)だが、回転感覚とトルクの立ち上がりが滑らかで、速度を直線的に高めていく。
エンジンノイズと振動が小さいから、ディーゼルであることをほとんど意識させない。実用回転域の駆動力を高めた2.5Lのガソリンエンジンを積んでいる感覚で運転できる。
特に楽しいのはCX-3とデミオに用意された6速MTで、ディーゼルなのに5000回転までスムーズに回る。最高出力はどの車種も105ps、4000回転で発生するから、高回転域まで回してもあまり意味はない。
それでも峠道などでは回転上昇が頭打ちになりにくく、走りのテンポを乱さない。エンジンの重量は2.2Lに比べて80kgほど軽く、操舵感も軽快で楽しい。
JC08モード燃費はアクセラ15XDが21.6km/Lだ。アクセラハイブリッドの27.0~30.8km/Lには達しないが、軽油価格の安さも含めると、燃料代の差額は約8%に収まる。動力性能と運転の楽しさは1.5Lクリーンディーゼルターボが圧倒的に勝り、価格はハイブリッドよりも20万円ほど安いから、明らかに買い得だ。
■S5-DPTS型【アクセラ15XD】
・形式:直4、ディーゼルターボ
・排気量:1498cc
・最高出力:105ps/4000rpm
・最大トルク:27.5kgm/1600-2500rpm
NAは同型でも差別化図るロードスターのエンジン
ロードスターのエンジンはアクセラ等に積まれる同型エンジンより出力・トルクとも向上。より高回転型に
自然吸気のノーマルガソリンエンジンでは、ロードスターの1.5Lを推奨する。アクセラやデミオも同系列のエンジンを搭載するが、ロードスターでは最高出力の131㎰を7000回転で発生するなど、高回転指向のチューニングを受けた。4000回転を超えた領域の吹き上がりが鋭く、スポーツカーらしい走りを楽しめる。
そのいっぽうで1500回転前後の粘りもあり、街中でも運転しやすい。6速ATと組み合わせても力不足を感じない。このエンジンをボディが重い車両に搭載すると、実用回転域の駆動力が不足すると思うが、車両重量が1トン前後のロードスターには最適だ。
こういった緻密なバランスが、スポーツカーの楽しさを盛り上げる。
■P5-VP[RS]型【ロードスター】
・形式:直4DOHC
・排気量:1496cc
・最高出力:131ps/7000rpm
・最大トルク:15.3kgm/4800rpm
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