現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【なぜ日本には根付かないのか】小さな高級車列伝 10選

ここから本文です

【なぜ日本には根付かないのか】小さな高級車列伝 10選

掲載 更新
【なぜ日本には根付かないのか】小さな高級車列伝 10選

日本車の場合、たいていボディサイズとエンジン排気量はリンクしていて、小さいものは廉価版の入門車、対する大きなクルマは上級モデルだったり高級車という図式ができあがっています。

その根底には「大きいことはいいことだ」精神があり、それこそカローラとサニーは排気量100cc差でライバルに優勢をアピールしたり、ボディサイズ10mmが車格の印象をガラリと変えてしまうということもありました。そんな背景もあって、日本ではなかなか小さな高級車というジャンルが根付いていません。

激震!!「トヨタ、国内販売車種半減」は本当か? 整理車種は??

そんな悲しい背景がありつつも、各メーカーは「小さな高級車」というコンセプトに挑戦し続けています。以下、その事情と代表的な車種を振り返りつつ、「小さな高級車」について考えてみたいと思います。

文:ベストカー編集部

ベストカー2017年10月26号「小は大を制す特集」より

(※タイトルに一部ミスタッチがあったので修正いたしました。申し訳ありませんでした。2017.10.16 10:22)

■「大は小を兼ねる」という信仰がある

これまで発売されてきた「小さな高級車(を目指したモデル)」を紹介する前に、まずは時代背景などを簡単に紹介しておきたい。

日本には「全幅1700mm未満」という5ナンバーサイズのしばりがある。1990年まではエンジンの排気量を問わず、全幅が1700mmを1mmでも超えれば「3ナンバー車」となって年間8万1500円の自動車税が課せられていたため、「5ナンバーサイズの高級車」というガラパゴスなジャンルが存在した。トヨタや日産のトップカテゴリーであったクラウンやセドリックでさえも、販売の中心は5ナンバーの時代が長く続いた。

しかし法改正で全幅のしばりから解放されると、ますます「小さな高級車」が生み出される土壌はなくなり、2.5~3L級エンジンを積んだ1700mm超のクルマが高級車のスタンダードとなったのが、1990年代の特徴といえよう。

以来日本車市場では何度も「小さな高級車」にチャレンジするモデルが登場してきたが、ことごとく販売的には不調だった。国土や道路、駐車場は狭いままなのに(だからこそか?)、クルマは大きくて広いほうがいい、そう考えるユーザーは多い。

ダウンサイジング時代の今、そんな価値観から一歩踏み出して、「小さな高級車」の価値をもう一度見直してほしい。以下、紹介します。

■ダイハツシャルマン(1974年登場)

ダイハツのフラッグシップセダンとして誕生したシャルマンは、カローラのプラットフォームを使用し、一部外板パネルも流用して開発された。写真は1974年に登場した初代で、E20型カローラのシャシー、エンジンを採用していた。

■日産ラングレー(1980年登場)

パルサーベースながらスカイラインのイメージでデザインされたラングレー(「スカイラインミニ」と呼ばれていた)。1982年に登場した2代目ラングレーは、「ケンとメリーのスカイライン」を意識した「ポールとポーラの新ラングレー」というキャッチフレーズで宣伝戦略を展開。写真は1986年登場の3代目で、R31スカイラインのイメージを踏襲した。

■日産ローレルスピリット(1982年登場)

1982年にB11型サニーの兄弟車として、上級サルーン「ローレル」のイメージを内外装に漂わせる小さな高級車として登場。当時の小型車としては異例な、パワステ、パワーウィンドウ、集中ロックなどを標準装備。エンジンは1.5Lの直4でサニーと同じだった。

■マツダペルソナ(1988年登場)

まだバブルの香りが残る1988年に発売された5ナンバーサイズの小さな高級車。4ドアピラーレスハードトップで、当時マツダの中心車種だったカペラをベースにしており、特にインテリアには力が入れられていたのが特徴。この時代、トヨタのカリーナED/コロナEXiVが市場を席巻しており、そのライバルとして登場した。このモデルの「インテリア第一主義」はぜひ現代に復活してほしい。1992年に一代限りで絶版。無念。

■ホンダコンチェルト(1988年登場)

1988年に登場。当時技術提携していたローバーとの共同開発により誕生したヨーロピアンテイストの小さな高級スポーティサルーンだった。シビックとアコードの中間サイズで、1.5~1.6Lクラス。当時このクラスとしては珍しく、本革シートやキーレスエントリーのオプションが選べた。1992年にドマーニに生まれ変わり消滅。

■日産プレセア(1990年登場)

1990年に初代登場。前年に登場したフラッグシップサルーン、インフィニティQ45にも似たグリルレスのフロントマスク、和風テイストのインテリアなど、小さな高級車を目指したクルマだった。「光るプレセア」というキャッチフレーズが印象的だった(何が光っていたかは不明)。1995年に2代目にチェンジしたが、2000年にはブルーバードシルフィに統合されるかたちで生産終了。

■マツダユーノス500(1992年登場)

1992年登場。全幅1695mmの5ナンバーの、当時マツダが展開していた「ユーノス」ブランドの中核セダン(専売車種だった)として登場。内外装ともに上質な作りで、エンジンは2L、V6を搭載。巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが「小型クラスで最も美しいサルーン」と評したと言われている。

■トヨタプログレ(1998年登場)

まさに「小さな高級車」をキャッチフレーズに1998年登場したプログレ。全幅1700mmとすることで、5ナンバーサイズではあるが搭載エンジンが2.5~3Lのため全車3ナンバー。クラウン以上、セルシオ未満の品質を誇った。志は高く一部の有識者(三本和彦翁など)には大変好評だったが、市場では今イチで2007年に生産終了。

■トヨタブレイド(2006年登場)

2006年にオーリスの派生モデルとして誕生。2.4Lの直4エンジンと3.5LのV6エンジンを搭載し、インテリアも本革仕様を用意するなど高級感をアピール。井上陽水さんが歌う『Make-up Shadow』のTVCMを覚えている方も多いのではないか。オーリスは欧州でも販売されヒットしたのに対し、こちらは日本市場専売でやや高級にシフトしていたが、そういったところがウケなかったのか2012年に生産終了。

■トヨタiQ(2008年登場)

当時欧州各メーカーが力を入れていた「Aセグメント」のモデルとして発売。全長2985×全幅1680×全高1500mmと現在の軽自動車よりはるかに小さいボディで、3名+子供1名(もしくは荷物)という割り切ったコンセプトで登場。ネッツ店専売、1.3L追加、日本仕様を発売してないのに日本カーオブザイヤー受賞、グッドデザイン大賞、GRMN仕様限定車発売(2回)、アストンマーチンにOEM供給(「シグネット」)、EV仕様開発と、とにかく暴れ回った印象のあるモデル。2016年4月に一代限りで生産終了。これだけやっても売れないのか、こんなにやっちゃったから売れなかったのかは、神のみぞ知る。

☆     ☆     ☆

まだまだ多くの「小さな高級車」があって、キリがないのでここらで筆を置くが、ザッと見回しただけでも各メーカー精一杯頑張ってこの市場を開拓しようとしてきたんだな……という気概は伝わってくる。

そういう惨憺たる状況で「まだいける」、「復活希望」と声高に叫ぶのはいささか気が引けるが……やはりこの「小さな高級車」の市場を輸入車に席巻されている状況は、(ますます高齢化が進むこともあって)憂慮しているところ。トヨタさん、なんとか頑張って作ってもらえませんか。

こんな記事も読まれています

国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
Auto Prove
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
くるまのニュース
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
motorsport.com 日本版
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
WEB CARTOP
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
motorsport.com 日本版
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
レスポンス
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
motorsport.com 日本版
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
日刊自動車新聞
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

202.9251.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.0500.0万円

中古車を検索
カローラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

202.9251.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.0500.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村