3つの理由によりアンダーステア傾向が強くなる
その昔、不整地や雪道専用と思われていた4WDが、乗用車として一般化されたのは、1980年にデビューしたアウディクアトロ以降。日本では初代レガシィの大ヒットを受け、本格的に市民権を得て、今ではほとんどのメーカーが、フルタイム4WDの車種をラインアップしている。
そんな4WDのメリットは、なんといってもトラクション性能と走破性、そして高速域や雨天でも高い直進安定性を誇ること。しかし、何でもそうだが長所と短所は表裏一体。直進安定性に優れた4WDは、コーナリングを得意としない。
理由は大きくわけて下記の3つに集約される。
1) 前輪と後輪に回転差が生じるため
クルマが旋回するときに、外輪と内輪に回転差が生じる(=内輪差)これを吸収するために、通常駆動輪の左右真ん中には、デフ(デファレンシャルギア)が入っている。前後のタイヤも、じつはコーナリング時に回転差が生じていて、旋回時には、前輪の回転半径が後輪の回転半径よりも大きくなる。
この前後輪の回転差は、急旋回すればするほど顕著になり、4WD車で低速で大きな舵角を切って曲がろうとすると、前輪はブレーキがかったような状態になるにもかかわらず、後輪はトラクションをかけ続け、リヤからクルマ全体を押し出そうとし続けるので、非常に曲がりづらくなる。このような現象をタイトコーナブレーキング現象という。
現代の4WD車は、このタイトコーナブレーキング現象を解消するため、前後輪の回転差を吸収・調整するセンターデフを設けており、各種電子制御デフやトルクスプリット4WDにすることで、よりニュートラルなコーナリングを実現しているが、理屈でいうと、元来4WDはコーナリングを苦手としている。
2)フロントタイヤの仕事量が大きい
4WDということは当然フロントタイヤにも駆動力がかかる。つまりFFと同じように、コーナリング中のフロントタイヤは限られたグリップ力を横方向と縦方向でシェアする必要があるので、必然的にフロントタイヤの横方向の取り分が少なくなり、アンダーステア傾向を助長することになる。
とはいえ、先のトルクスプリット方式をはじめ、前後のトルク配分をバリアブルにコントロールしたり、三菱のスーパーAYCやホンダのSH-4WDのように、電子制御によるヨーコントロールデフなどを組み合わせ、キレイに曲げて、立ち上がりは4WDのメリットを生かして力強く加速するという4WD車も増えている。
3)重量配分と重量増
これまで語ってきた1)と2)については、デフの制御技術やタイヤの性能向上で、ほぼデメリットを解消しつつあるのが現状だが、4WDユニットの重量増だけは物理的にどうしても回避することは不可能だ。重いクルマは曲がりにくいし止まりにくい。さらに言えばタイヤの摩耗も早くなる。これは単純な物理現象なので、材料置換その他により4WDシステム以外のところで軽量化を図るしかない……。
もうひとつは重量配分の問題。
多くの4WD車はFFベースの4WDなので、もともとフロントヘビーなのに、そこに4WDシステムを押し込んだ結果、さらにフロントの慣性重量が大きくなりがち。フロントヘビーのクルマは、直進性の良さと引き換えに曲がりにくい、つまりアンダーステアの傾向がある。
これをカバーできるのは、タイヤの性能とヨーコントロールデフなどの電子制御技術。結論から言えば、日産GT-Rをはじめ、アウディR8、ランボルギーニガヤルドなど、“曲がる”ハイパフォーマンス4WDは珍しくなくなってきたが、原理原則に則ると、4WDはやはり曲がるのが苦手な駆動方式といえるだろう。
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