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ヘッドレストの適正位置とは? 「枕」ではない安全装置 真価を発揮する瞬間は

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ヘッドレストの適正位置とは? 「枕」ではない安全装置 真価を発揮する瞬間は

追突されたときのケガは9割が「首」

 レンタカーなどを利用した際、ミラーやシートの前後などは調節しても、ヘッドレストまではあまり気が回らないかもしれません。シート上部の、頭をもたせかける部分のことですが、多少合わずとも運転に直接支障をきたすようなものでもありません。ともすると、邪魔に感じることもあるのではないでしょうか。

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 しかし実はこのヘッドレスト、法律で設置することが定められています。道路運送車両の保安基準22条の4において、自動車は運転席およびこれと並列の座席(助手席など)に頭部後傾抑止装置、すなわちヘッドレストを備えなければならないという記述があります。効果を発揮するのは、追突されたり衝突したりといった事故の時です。

 そうした事故の際、運転者および乗員の身体には強い力が加わり、頭が投げ出されるような動きを強いられ、首に大きな負担がかかります。結果、むち打ち症を患うことになるというのは想像に難くないでしょう。財団法人 交通事故総合分析センター(東京都千代田区)のまとめによると、乗車中に追突された場合、乗員がケガを負う部位はほぼ9割が首、というデータがあります(交通事故総合分析センター「イタルダ・インフォメーション」No.66より)。このときヘッドレストが正しい位置にあることで、頭の動きを抑制し、首にかかる負担を減らすことができるというわけです。

 JAF(日本自動車連盟)は2006(平成18)年に、日本自動車研究所の衝突実験場(茨城県つくば市)において、ヘッドレストの高さ調整の必要性を検証する試験を行っています。運転席と助手席にダミー人形を座らせ、運転席側はヘッドレストの高さを適切な位置に、助手席側は低すぎる状態にし、後方から別のクルマを35km/hで追突させるものです。ダミー人形の頭部の動きを捉えた映像を比較すると、助手席側では後ろに揺さぶられた際に後頭部がヘッドレストに乗り上げ、首が大きく反れていることがわかります。

 ところが、実際にヘッドレストを適正な位置に調節しているドライバーは、半数にすぎないというデータもあります。

ヘッドレスト「低すぎ」の人が約半数? 適正位置とは

 ホンダが2010(平成22)年に公開した、実際の路上を観察した結果によると、ヘッドレストの高さが適正な位置にあったドライバーは50.4%、実にほぼ半数が不適正な高さのまま運転していることが明らかになりました(本田技研工業「SJ」No.440より)。「高さ調整が可能なクルマでは、一番下の位置にヘッドレストがあるケースが多かったが、その状態では頭よりも低すぎる人が目立った」との所見も挙がっています。

 では、正しいヘッドレストの位置とは、どこなのでしょうか。JAFはウェブサイトで、「頭頂部と高さを合わせ、ヘッドレストと頭にすき間ができないようにします」としています。ホンダは「N-BOX」「フリード」などの取扱説明書で「後頭部の中心がヘッドレストの中心に来るように」、トヨタは「プリウス」「カローラフィールダー」などの取扱説明書で「ヘッドレストの中心が両耳のいちばん上のあたりになるように」としているなど、表現は微妙に異なるものの、ヘッドレストと頭の間になるべくすき間ができないような位置というのは共通するようです。

 前述した交通事故総合分析センターのまとめでは、追突されたクルマのヘッドレスト位置が低すぎた例、取り外していた例それぞれの事故事例を紹介しています。これによると、追突したほうのドライバーはいずれも無傷もしくは軽症であったのに対し、追突されたほうのドライバーはいずれもむち打ち症を負っています。このことから、追突事故では、追突されたほうがむち打ち症を負うことが多く、「ヘッドレストを適正位置に設定することがこの傷害を低減するのに効果的である」としています。

 クルマの「ヘッドレスト」はそもそも、「ヘッドレストレイント(Head Restraint)」の略。Restraintは「拘束」を意味し、Rest(休息)ではありません。拘束されるのですから、仮に多少不快だったとしても、適正な位置で使用しなくては意味がないというわけです。

【図】むち打ちを防止する「アクティブヘッドレスト」とは

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