ターボなどで圧縮した空気を冷やして 空気密度を高めてパワーアップ!
インタークーラーは、ターボで圧縮した空気を冷やすところだが、その理由は空気の密度を高めることで、燃焼効率をアップさせるためだ。インタークーラーの冷却方法には、空冷式と水冷式があり、それぞれのメリット&デメリットを紹介しよう。
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インタークーラーは、簡単にいえば、吸気温度を下げるための空気の冷却システム。 ターボ車やスーパーチャージャーのクルマが、NAエンジンより大きなパワーを出せるのは、過給器によって、より多くの空気(酸素)をシリンダー内に送り込めるからだ。
そこで吸入空気を増やしてそれを上手く燃焼させれば、トルクが大きくなり、パワーが向上する。 過給器で空気を圧縮して、体積効率を200%アップさせれば、排気量を2倍にした効果が得られるわけだ。
ところが、空気というのは圧縮すると高温になる特性がある。 例えば、自転車の空気ポンプで空気を入れると、ポンプが熱くなる。これは空気が圧縮されて発熱した証拠。 空気の密度は温度に比例するので、同じ容積でも温度の高い空気は密度が低くなり、そこに含まれる酸素の量も減る。せっかく過給器で空気を圧縮しても、温度が高いままではパワーアップの効果を得にくくなってしまうわけだ。
そこで、過給器で圧縮され高温になった空気を冷やして、空気密度を高くしてからエンジンに送り込めるようにインタークーラーが考案された。 インタークーラーには、空冷式(上の写真)と水冷式(下の写真)があり、どちらかというと空冷式のクルマが多い。
コスト面では空冷式が有利だが パイプレイアウトが容易な水冷式
空冷式は、ラジエターの前などにインタークーラーを設置して、走行中にクルマが受ける走行風を利用して吸気温を下げる仕組み。 シンプルで、コストが抑えられ、高速になればなるほど効果を発揮するので、レーシングカーやチューニングカーに適している。ただし、インタークーラーのコアに風を当てる必要があるので、設置場所が限られるなどのデメリットもある。
一方、水冷式は空気に比べ熱容量の大きい水=冷却水を使って、吸気温を下げるタイプ。 低速域でも吸気温を下げられ、小さなシステムで冷却効果を上げることができるが、部品点数が多くなり、コストも高くなる。 また、冷却水の温度よりも吸気温を下げることはできないというのも大きなネックで、エンジンの冷却用ラジエターを水冷インタークーラーとして利用する方式は、あまり普及してこなかった。
ちなみにスバル初代レガシィやトヨタST185型セリカGT-Fourは、水冷式インタークーラーを採用。
しかし、ここにきてトヨタC-HR(1.2リットルターボ)をはじめ、メルセデス・ベンツのAMG A45や、VWのTSIエンジンなど、水冷式インタークーラーを採用している。
コストや水温が下がりきらないなどの短所を補うために、エンジン冷却系統から独立したインタークーラー専用のラジエターを別途に用意(ポンプもエンジン本体の冷却系とは別)。インタークーラー本体は空冷式よりずっとコンパクトで、レイアウトの自由度も高く、エンジンルームのスペースが限られているコンパクトカーには適している。
また、インタークーラー自体が小さくパイピングも最短で済むので、レスポンスがよく最大出力より、NAエンジン並みのレスポンスとフィーリングが求められるダウンサイジングターボとの相性がいい。
上の写真はC-HRターボのエンジンルーム。 エンジン後方にあるターボで圧縮された空気は、エンジン上部の水冷式インタークーラーで冷却され、インテークマニホールドへと送り込まれる。空冷式だと、冷えにくいエンジン上部(空気が抜けにくい)やバンパー裏などとなり、インテークパイプが長くなり、レイアウトと複雑になる。 右下にインタークーラー専用ラジエータのキャッチタンクがあり、エンジンとは別の冷却水の経路を持っている。
このような理由から水冷式インタークーラーを採用するクルマが、徐々に増えてきているのが現状だ。
(レポート:藤田竜太)
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