パワーユニット全体の大きさと重さがネックになる
はい、不向きです。ハイブリッドのパワートレインというのは、つまりエンジンとモーターの両方を持ち、それを組み合わせるということになりますね。ということはパワートレインが確実に重く、大きくなるということです。
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さらに都合が悪いことに、その2つのパワーを上手く組み合わせようとすると、エンジンとモーターは近くに配置されていなければなりません。本来配置場所に自由度が高いモーターも、配置できる場所が限られてしまいます。
確かにエンジンをダウンサイジングすることは可能です。V12の代わりにV8ハイブリッドが使えることでしょう。排気量が小さくなっても、モーターが低回転域のトルクを出してくれるので、そのハンディはほとんどありません。
エンジンのフリクションも12気筒と8気筒では3分の2程度に収まるはずで、その分だけ効率や燃費が向上します。しかし、軽量になったかというと、疑問は残ります。モーターは重いユニットです。パワーコントローラーという制御ユニットも必要になります。
燃費だけでいえば、エンジンが苦手な低回転域をモーターが補ってくれます。燃費の走行モードは低回転域を使うので、当然カタログ燃費は大きく向上することになります。ハイフリッドカーのカタログ燃費が実効燃費と大きく乖離してしまうのは、こうしたカラクリなんです。つまり実効燃費はそれほど高くなりません。
さらに充電の制御の面で、バッテリーの残量を気にして充電量が増える傾向にあるのも、実際の燃費を押し下げてしまう原因になります。
パワーユニットの特性では純粋な電気自動車のほうがスポーツカー向き
クルマのパッケージはどうでしょうか? V12とV8ハイブリッドでは、それほど大きな差があるわけではありません。V12とV6ターボ+ハイブリッドでも、クルマのパッケージを革新するような画期的な差はありません。スポーツカーにとって重要な軽量、コンパクト、そしてシンプルといったキーワードから、ハイブリッドカーは遠ざかる方向になってしまうのです。つまりハイブリッドシステムはスポーツカーに向いていないんです。
ハイブリッドシステムを採用することのメリットは、エンジンの低回転域でのトルクがなくても成立することで、逆にいえば高回転型のNAエンジンにモーターという組み合わせなら、より深く補いあえる関係になります。
しかしそれではダウンサイジングできないので、どうしてもターボエンジンになってしまいます。その組み合わせでは、ターボラグを縮小する効果が期待できます。そもそもエンジンがなければターボラグはないはずで、純粋な電気自動車のほうが、よりスポーツカーには適しているのです。
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