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サーブ 悲運のブランド消滅か、新たなるスタートか? サーブ・ブランドの行方は?

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サーブ 悲運のブランド消滅か、新たなるスタートか? サーブ・ブランドの行方は?

2016年6月22日、サーブ・オートーモビルの資産を所有するNational Electric Vehicle Sweden(NEVS)は、2017年内にサーブ9-3モデルをベースとした電気自動車を、旧サーブ・オートモービルABの工場、スェ―デンのトロールハッタン工場と中国で生産を開始すると発表した。

その一方で、NEVSはサーブ・ブランドの商標権を持つ航空機・軍需産業のサーブABと、計画中の9-3 EV に 「サーブ」 のブランド名、ロゴの使用許可を交渉していたが、許可が得られず、NEVSが製造する電気自動車は「NEVS」の商標で販売すると発表した。

そのため、現時点では自動車としてのサーブのブランドは消滅する可能性が高いが、サーブABは自動車を生産する計画はないため、ブランド名に関してはまだ未確定の要素もあると考えられる。

航空機・軍需産業を展開するサーブABは、1947年に自動車製造部門を発足させた。1946年からグループ内で開発がスタートしていたプロトタイプは2ストローク・エンジンを搭載したコンパクトなFFモデル「92001」と呼ばれ、1950年に量産モデル「92」として発売された。空力特性を追求した流線形のボディ、モノコック構造を採用した航空機メーカーらしい特徴を備えていた。サーブ車はその後は一貫してFFモデルを生産。同じスウェーデンで戦前から自動車メーカーとして発足したボルボがFRモデルだったのに対し、より革新性を強調していた。

サーブ自動車部門は1990年に、アメリカのGMとの資本提携によりサーブABから分離され、独立したサーブ・オートモービルとなり、2000年にはGMの完全子会社となっている。しかし、サーブ・オートモービルは2009年頃には経営が悪化し、スウェーデン政府からの支援が得られず、さらに肝心の母体であるGMも経営悪化により2009年6月に破産するという最悪の事態を迎えた。このためサーブ・オートモービルはGMより一足先に会社更生手続きに入り、2010年にオランダのスパイカー・カーズに売却された。

しかし2011年9月にはスパイカー・カーズは、サーブ・オートモービル(この時点ではスウェディッシュ・オートモービルという社名)はアメリカの投資会社に売却したが、特段の支援は得られず、20111年12月に破産した。

ところが2012年6、中国の投資グループと日本の投資会社・サン・インベストメントによる企業連合体である「ナショナル・エレクトリック・ビーグル・スウェーデン社(NEVS)」が、サーブ・オートモービルを買収することを発表NEVSはサーブ9-3の生産を2013年12月に再開するとしていたが、この買収枠組みは機能せず、改めて新しい枠組みが構築された。

NEVSは、2012年4月、スウェーデンで設立されているが、CEOはスウェーデン系中国人のカイ・ヨハン・ジャン氏だ。NEVSは現在、実質的な資本が中国政府系企業グループの保有するスウェーデン企業という位置付けだ。中国政府は自動車の電動化を積極的に推進する新エネルギー政策を打ち出しており、NEVSの提案したプロジェクトに政府予算が注入されていると推測される。

NEVSは自動車の研究、新エネルギー自動車技術の開発を目指しており、2015年6月には、政府系の複数の企業と、電気自動車両、より長距離走行が可能な電気自動車両の研究開発のために、ナショナル・エレクトリック・ビークルを天津市に設立。これが中国におけるNEVSの生産拠点となると見られる。

サーブ・オートモービルは1960年代に早くも電気自動車の研究・開発をスタートさせており、こうした技術の蓄積と生産技術をNEVSが取得し、長距離走行可能な先進的な電気自動車の開発に向けてスタートを切ったと言える。

また注目すべきは、2015年11月に日本のマイクロコンピューター開発・製造の大手であり、グローバルでECU用のマイコンなどで高いシェアを持つルネサス・エレクトロニクスがNEVSと戦略的パートナシップを締結している。ルネサス・エレクトロニクスは、EV、プラグインハイブリッド用の技術(モーター&ジェネレーターコントロールシステム、バッテリー制御システム、バッテリー充電・DC/DCコンバーターシステム)などのマイコン、パワーデバイス(IGBTなど)のキットを提供できると発表している。

このパートナシップにより最先端の車載エレクトロニクス技術の開発をコラボレーションし、新エネルギー自動車の開発に向けて、高度な制御システムの開発、具体的にはモーター駆動システム、車載情報システム、ADAS(高度運転支援システム)、セーフティコントロールシステムや、クラウドにアクセスするネット接続システムの研究開発を行なうと言う。最新技術を満載した9-3 EVが登場するのもそう遠い話ではないようだ。

なお、ガソリンエンジンを搭載したサーブ車の生産はもはや不可能という状況だが、サーブ車の補修パーツはスウェーデンの販売会社オリオ社が行なっており、日本では株式会社ピーシーアイは継続してサーブ車のパーツを輸入販売を継続すると発表している。


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