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日産アリアと基礎を共有 クロスオーバーへ一変 ルノー・セニック Eテック

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日産アリアと基礎を共有 クロスオーバーへ一変 ルノー・セニック Eテック

電動クロスオーバーへ一新したセニック

日本の家族からミニバンが選ばれるように、欧州ではクロスオーバーへ支持が集まっている。ワンボックスの選択肢は減少の一途で、ルノー・セニックもモデルチェンジでバッテリーEVへ進化したのと同時に、クロスオーバーへ改められた。

【画像】日産アリアと基礎を共有 ルノー・セニック Eテック サイズが近い電動SUVは? 全146枚

ボディサイズは、全長4470mm、全幅1864mm、全高1571mm。日産アリアより約100mm短く、約90mm低い。ルノーは新しい形のファミリーカーだと主張し、それに特化した中身を備えるという。

主観的な印象だが、フロントマスクは、同時期にリリースされたプジョーE-3008へ似ているような気がする。ルノーのエンブレムは、これまでになく大きく見える。

フロントガラスは強く寝かされ、リアガラスはスリム。モダンなスタイリングながら、視認性は多少犠牲になっているかもしれない。

基礎骨格は、日産アリアやルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリックと同じ、CMF-EVプラットフォーム。フロントアクスル側へ永久磁石同期モーターを搭載する前輪駆動で、四輪駆動は予定されていない。

最高出力は、コンフォートレンジで169ps。今回試乗したロングレンジでは、218psを発揮する。

駆動用バッテリーは、60kWhか87kWhの容量を選べ、いずれもニッケル、マンガン、コバルトを正極に用いた三元系と呼ばれる高密度なもの。航続距離は前者の容量で429km、後者で624kmが主張される。

英国へ導入されるのは、87kWhのみ。価格は約4万ポンド(約740万円)からに設定されるようだ。

広く実用性の高い車内 上質なインテリア

クロスオーバーへ一新しても、荷室容量は545Lとワンボックス並みに広い。テールゲートを開くと、フラットでスクエアな空間が現れる。床下には、充電ケーブルをしまえる収納も用意されている。

床面の位置が低く、40:20:40で分割するリアシートの背もたれを倒すと段差が生まれてしまうが、英国仕様には高さを変えられるフロアパネルが標準で装備されるとのこと。背もたれ背面となだらかに繋がり、使い勝手は良くなるはずだ。

リアシート側の空間は、特に前後方向で広い。身長180cmを超える大人でも、至って快適に過ごせる。ルーフにはボタン1つで透明度を変えられるパノラミック・ガラスルーフが備わり、開放感も抜群だった。

車内のフロアはフラットで、リアシート中央も座り心地は良い。子供を3人並べても、不満は出ないはず。そのかわり、スライドやリクライニングには対応していない。チャイルドシートは、2脚固定できる。

理想をいえば、チャイルドシートは3脚固定できた方が、欧州の家族世帯には喜ばれるだろう。実用性を重視すると、やはり選択肢はワンボックスへ限定されてしまう。

運転席へ座ると、前方視界は悪くないものの、大きなサイドミラーが斜め前方へ小さくない死角を作っている。後方視界も良好とはいえない。

それでも、フロント側も空間は広い。内装素材は上質で、試乗車のアイコニック・グレードでは、部分的にレザーも用いられる。約80%がリサイクル素材だという点も、2023年にはアピールポイントになるだろう。

クロスオーバーには充分以上といえる鋭さ

ダッシュボードのデザインは、ルノー・オーストラルと似ている。中央に設えられた、12.0インチのタッチモニターが車載機能の多くを司るが、その下には独立したエアコンの操作パネルがある。実際に押せるハードボタンで、扱いやすい。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートへ無線で対応。モニターの上部にはショートカット・メニューが常時表示され、アイコンも大きく、このクラスでは最高水準のシステムだと思う。

ステアリングコラムの右側から複数のレバーが伸びており、これは少し戸惑う部分。シフトセレクターとウインカー、オーディオ用のものが、それぞれ独立して飛び出ている。慣れるまでは、間違いそうだ。

確認はこのくらいにして、発進してみよう。試乗車が履いていたタイヤは、20インチのミシュラン・プライマシー。0-100km/h加速は8.4秒で、驚くほど速いわけではないものの、ファミリー・クロスオーバーには充分以上な鋭さがある。

アクセルペダルの操作に対して、リニアにパワーが生まれ、スルスルと速度が上昇。穏やかに傾ければ、滑らかで直感的に扱える。

マルチセンスと呼ばれる、ドライブモード・システムを実装。パーソナル、コンフォート、エコ、スポーツの4モードから選べ、ステアリングの重さやアクセルレスポンス、車内の間接照明の色などが変化する。

日常移動を心地良くこなせるクロスオーバー

ダンパーはアダプティブ仕様ではないものの、衝撃吸収性は良好。姿勢制御も適度に引き締まり、急激な旋回を求めると大きめのボディロールが生じるとはいえ、不安を感じるほどではない。全般的には、リラックスして長時間を過ごせる。

ステアリングホイールは、スポーツ・モードを選ばない限り軽め。反応は自然で、フロントタイヤのグリップ力も高い。

少し気になったのが、高速域での反応。切り始めの遊びを過ぎると、若干急に反応するように感じた。とはいえ、操る自信を大きく低めるほどではない。

回生ブレーキの効きは、3段階から選べる。発電しない完全な惰性走行も可能で、1番強くすると、ブレーキペダルを踏む必要性が大幅に減る。

かなり活発に運転すると、ブレーキの反応が若干安定しなくなるようではあったが、そんな場面は限定的。日常的な移動を心地良くこなせるだろう。

今回の試乗の限り、航続距離も褒められる。87kWhの駆動用バッテリーで、現実的に360kmから540km程度は走れるだろう。

エネルギー効率の良い、ヒートポンプ式エアコンが標準装備。急速充電能力は、DCで150kWまで。自宅の充電器として一般的なACでは、22kWまで対応する。

クロスオーバーへ一新したセニック。ライバルの多いカテゴリーながら、堅実な選択肢の1つに加えられるだろう。快適性や航続距離が他を凌駕するとはいえないが、車内の広さが生む実用性や上質なインテリアは、明確なストロングポイントになっている。

ルノー・セニック Eテック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)のスペック

英国価格:約4万3000ポンド(約795万円/予想)
全長:4470mm
全幅:1864mm
全高:1571mm
最高速度:169km/h
0-100km/h加速:8.4秒
航続距離:624km
電費:7.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1850kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
バッテリー:87.0kWh(実容量)
急速充電能力:150kW(DC)
最高出力:218ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

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みんなのコメント

5件
  • cafeLATTE
    ありゃ、そんなんや。
  • mea********
    航続距離は60kwで429km、87kwで624kmか。
    3年前にアリアが発売しますよ、90kwもありますよって出てからだから、長距離版は100kwで700kmぐらい楽に超えますよぐらいにならないとそんなに性能にびっくりは感じないな。アリアの時はリーフの1.5倍のバッテリーだから驚いたけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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