■学生が作る本気カスタムカーが侮れない!
2022年は2年ぶりの開催となった東京オートサロン。著名ショップが手がけた個性溢れるカスタムカーや、メーカー自身によるコンセプトカーの発表など、毎回たくさんの見どころで溢れています。
そのなかでも、とくに最近人気となっているのが、「自動車大学校」の学生たちが仕上げた作品です。
【画像】全長6m超えの「センチュリー」がヤバい! 豪華な内外装をすべて見る!(51枚)
自動車大学校は現在日本に35校以上ある大学校で、かつてはそれらの多くが『〇〇自動車整備専門学校』などの学校名を名乗っていました。
現在も文科省の学校区分は「専修学校」になりますが、国土交通省が2005年から一級自動車整備士養成課程(4年制。但し二級整備士所持者については2年)の設置を認めたことから、その後、多くの自動車整備専門学校が「自動車大学校」に名前を変えました。
自動車整備士の育成を目的とする学科を設置している学校ですが、4年の学びを終えて卒業すると「高度専門士」の称号が与えられ大学卒業と同等の扱いとなり大学院への進学が可能となります。
自動車整備科以外にも、板金塗装やFRP加工、溶接などの技術を学ぶ「カスタマイズ科」、レースメカニックやレースに必要な部品の設計などを学ぶ「モータースポーツ科」など、各自動車大学校によって細かい点は異なりますが、どの学校とも自動車に関するさまざまな進路の選択肢を揃えています。
近年は東京オートサロンへ出展する自動車大学校も増えていますが、その先駆けとなったのは、毎年のように国際カスタムカーコンテストで入賞を果たしているNATS(日本自動車大学校)です。
1998年に全国初のカスタマイズ科を立ち上げ東京オートサロンへは前年の1997年から出展。1997から1998年で2年連続のコンテスト入賞を果たし注目を集めました。
2022年はセンチュリーをベースにした「NATS Low limo」でセダン部門の最優秀賞に輝いています。
また、当日のブースではトヨタ社長の豊田章男氏もNATSブースに訪れ、「NATS Low limo」に乗り込んで驚愕する様子がトヨタ公式YouTubeで公開されるなど、その実力はトヨタのお墨付きともいえそうです。
■群馬自動車大学校「軽ニッヒ」と東京自動車大学校「デコキャリ」も凄かった!
東京オートサロン2022では来場者の注目を集めていた学生製作のカスタムカーはまだまだあり、代表的な2台を紹介します。
●ダイハツ「オプティ」ベースの「軽ニッヒ」
群馬自動車大学校(学校法人小倉学園)のカスタマイズ科に所属する学生たちによる作品です。
2022年の東京オートサロンでのメインは2022年用に製作した「軽ニッヒ」、そして開催中止となった2021年用に2015年の東京オートサロンに出展した車両をリメイクし、メルセデス・ベンツ「190 E」を再現した「JZX190E」です。
軽ニッヒはダイハツ「オプティ」に、メルセデス・ベンツやフェラーリ、ポルシェなどのチューニングで名を馳せた「ケーニッヒ・スペシャル」風のボディキットを架装した作品。軽自動車の「軽」と、ケーニッヒをかけたネーミングとなっています。
ベース車は中古車店を通じて業者オークションなどで落札することで入手。
今回の作品にオプティが選ばれた理由は「軽自動車のなかでもセダンの形状に近く、やりやすいと思ったから」とのこと。
「ナンバープレート取得を含めた登録作業も視野に入れており、走行動画の撮影も行いたい」したいと製作した学生は語ります。
軽ニッヒの製作期間は約半年、休みも返上で作業が進められました。7人のチーム内では意見がぶつかり合うこともしょっちゅうで、グリルの形状やウィンカーの位置、トランクの形状、そしてサイドのラインをどうするかでかなり議論したそうです。
●スズキ「キャリイ」ベースの「デコキャリ」
群馬自動車大学校の姉妹校、東京自動車大学校は軽トラのスズキ「キャリイ」をベースにしたデコトラ風カスタム「デコキャリ」を制作しました。
世界から人気を集めている日本のカーカルチャーのひとつ「デコトラ」を軽トラで再現した作品で、迫力のあるバンパー、荷台、そして電飾はさながら本物のデコトラのようです。
約3か月間、製作をおこなった東京自動車大学校ボディクラフト科の学生チーム10人は、元々はこのキャリイを昨今の軽キャンパーブームにあやかりキャンパーへの改造をおこなう予定でした。
しかし、チームの1人が「カミオン」というデコトラ雑誌を愛読するほどのデコトラ好きで、そこから学生の間で「デコトラって何?」と話題になったそうです。
2021年の東京パラリンピック2020の開会式でデコトラを模した演出があったことも重なり、このキャリイをデコトラ風にカスタムしようと決めたとのこと。
施されている改造はバンパーや電飾含め、すべて学生たちの手作り。荷室のボックスの面に描かれている派手な絵も学生がエアブラシで描いたものとなっています。
ベースとなっているキャリイは、下取りでも値段がつかないほどボロボロの個体をディーラーから譲り受けたとのことですが、内装や黒樹脂パーツ、隠れているフレーム部も塗ったり磨いたりをおこない、なるべく新しく見せるように近づけたそうです。
荷室となっているボックスは木で製作されており、なかは「和」をイメージさせる畳や障子を設置し、ちょっとしたくつろぎのスペースとなっています。
また、ボックスは延長可能な枠組みで作られており、展開することで当初のテーマであった「軽キャンパー」に沿うような車中泊も可能となっています。
「若い学生に色々任せると教師側では思いつかなかったような発想が次々と提案され、とても刺激を受ける」と学生たちを指導した教員は語ります。
今や東京オートサロンの常連となった、自動車大学校カスタマイズ科やボディクラフト科の学生によるカスタムカー。次回となる2023年にはどんな斬新なカスタムカーが出展されるのか楽しみです。
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欲しくはないけど。