これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、個性的なミニカーとして軽自動車クラスに話題を振りまいた、ダイハツ ミゼットIIを紹介しよう。
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】ミゼットIIは存在感抜群の「アンダー軽サイズカー」
文/フォッケウルフ、写真/ダイハツ
■小さなクルマへのこだわりが生んだ新発想ミニカー
1996年4月。ダイハツから“超”個性的なミニカー「ミゼットII」が発売された。
ミゼットIIが登場した当時の自動車業界は、大気汚染と地球温暖化の防止を念頭に、環境保全の観点から地球に優しいクルマが望まれるようになっていた。そこで現実的な選択肢として注目されたのは、登場したばかりのハイブリッドカーではなく、ボディサイズやエンジン排気量が小さく、資源やエネルギーの節約できてスペースのムダも省ける軽自動車だった。
なかでも「ワールドミニで未来を創る」をスローガンに掲げていたダイハツは、地球に優しいという軽自動車の本質的な魅力はそのままに、多様なライフスタイルを楽しむユーザーに向けて新しいスタイルの軽自動車を多角的に検討し、新しい発想のミゼットIIを作り上げたのだ。
ミゼットIIは市場導入される前に、まずコンセプトモデルが1993年に開催された第30回東京モーターに出展された。1960年代に軽三輪ブームを巻き起こした初代を現代風にアレンジしたスタイルは、来場者の大きな注目を集めた。
さらに2年後の1995年のモーターショーで、より市販モデルに近いプロトタイプを出展し、翌年に「わが街のミニマムトランスポーター」という謳い文句とともに市場デビューを果たした。
初代ミゼットは1957年から1972年まで生産され、軽三輪ブームを巻き起こした。写真は1959年に登場した改良型
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