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マクラーレンのTDマーシャル、成功を収めたレッドブルを離れた背景に“慢心”があったと語る「少し快適すぎると感じた」

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マクラーレンのTDマーシャル、成功を収めたレッドブルを離れた背景に“慢心”があったと語る「少し快適すぎると感じた」

 F1で最も尊敬されるエンジニアのひとりであるロブ・マーシャルは、レッドブル・レーシングで17年間にわたり成功を収めた後、2024年1月にマクラーレンに加わった。このイギリス人エンジニアの移籍は、レッドブルが破竹の勢いを見せていた時期に行われたので、チームの成功に貢献したとされるこの人物がなぜこれほど強大な勢力を離れることを選んだのか、多くの人々が疑問を抱いた。

 マクラーレンが2024年に復活し、コンストラクターズタイトルを獲得したことを受けて、テクニカルディレクターのマーシャルは決断の背後にあった動機と、自身の選択に非常に満足している理由について語った。

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■レッドブルでのキャリアの岐路

 マーシャルのレッドブル時代は、並外れた成功によって際立っている。2006年にチームに加わったマーシャルは、チームをF1の強豪チームへと変貌させる上で極めて重要な役割を果たし、7回の世界選手権タイトル獲得に貢献した。

 レッドブルの画期的なマシンの開発に携わったことで、彼はパドックで最も優れた技術者のひとりとしての評判を確立した。しかし、レッドブルが優位を保つにつれ、マーシャルは自身のキャリアに慢心する気持ちが忍び寄ってくるのを感じ始めた。

「個人的な観点から言えば、彼ら(マクラーレン)はよいタイミングで私にオファーした。今、別のチームに移籍しなければ、おそらく永遠にここにいるだろうと思った」と、マーシャルは『GP Blog』のインタビューで振り返った。

「レッドブルで過ごした時間は本当に楽しかったので、ずっとそこにいられて幸せだった。レッドブルは仕事をするには素晴らしい場所だった。しかしその後、自分に新鮮味がなくなり、現実を否定する段階に達した」

 レッドブルが容易に成功を収めたことも、彼の不安を増大させる一因となった。

「物事が少し簡単すぎる、少し快適すぎると感じていたと思う」

「みんなのことを知っていて、すべてをやり遂げなければならなかった。私はあらゆることを要領よくこなした。そして5年や6年、7年が経てばもっと満足できるだろうし、それから引退しようと思っていた」

「すると電話が鳴って、『やめたいか?』と言われた。『ノー』と言おうとしたが、どういうわけか私は言えなかった」

 マーシャルは、レッドブルを去るという決断は、一度下したらあとには引けないものだったと述べている。

「なぜなら、その時点で『そうだ、私は自分自身をだましていた』と思うことになるからだ」

「『おそらく行くタイミングだと思う』となり、そしてその時点でチームを離れることになる」

「少しでも疑問があるなら、進んでいるということだ。引き返すことはできないと思う。それについて長い間真剣に考えてきたならね。辞めることについて長く真剣に考えるなら、辞めることになるものだ」

 長年プロとしてのホームだったチームを離れるのは困難なことであったにもかかわらず、マーシャルは円満な別れだったと強調した。

「今は行ってよかったと間違いなく思っているし、レッドブルを適切なやり方で去ることができて本当に満足している。誰も不可欠な存在になりたくないと思うだろうが、彼らは明らかに私なしでもやっていけている。それは彼らにとって素晴らしいことだ。困っている状態で立ち去りたくはない」

■マクラーレンの運命を変える

 マーシャルがマクラーレンに加入することを決めたのは、チームがかつての栄光を取り戻そうと奮闘していた時期だった。2024年の初め、マクラーレンは競争力があるとは言えなかったが、チームはマーシャルのリーダーシップの下で急速な進歩を遂げた。シーズンの終わりまでに、マクラーレンはタイトル候補になっただけでなく、1998年以来となるコンストラクターズ選手権タイトルを獲得した。

 この成功の多くにマーシャルの影響があり、特にマクラーレンの2024年型マシン『MCL38』のリヤサスペンションに関する彼の仕事と、チームの空力アップグレードへの取り組みがあった。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリを擁し、マクラーレンはF1で強力な勢力として台頭し、マーシャルの専門知識の恩恵があることを証明した。

 マーシャルにとって、マクラーレンへの移籍は個人としてもプロとしても勝利だった。

「レッドブルでは、実に素晴らしいキャリアを積んで楽しんだと思う。今はマクラーレンで本当に楽しんでいる。レッドブルでの最初の数年間と同じくらい、今ここで最初の年を楽しんでいると思う。レッドブルでの最初の数年間は、楽しかった時期だった」

 マクラーレンが復活を続けるなか、その成功の礎としてのマーシャルの役割は疑いのないものだ。

文:AUTOSPORT web

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