フルモデルチェンジしたホンダ「ステップ ワゴン」のプロトタイプに、今尾直樹が見て・乗って・触れた! まずは内外装の印象からリポートする。
イマドキのグランドコンセプト
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新型ステップ ワゴンの正式発表に先立つことちょうど1カ月前の4月某日、栃木県芳賀郡芳賀町にある本田技研工業(ホンダ)栃木プルービンググラウンドで、事前撮影・体験会が開かれた。本年1月にスタイリング・デビューを飾っていた新型ステップ ワゴンがようやく“体験”できる!ということで『GQ JAPAN』も参加してきた。
プルービンググラウンドといっても、周回路を全開でぶっ飛ばした。わけではない。初体験の場所は、自動車運転教習所の敷地内のコースみたいなところだった。開発のある段階で、視界のチェックをしたりするための試験路だそうである。
試乗車は、新型ステップ ワゴン エアーと同スパーダの、どちらもe:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)である。新型ステップ ワゴンの受注は2月4日から始まっており、4月26日の時点でおよそ1万5000台。このうち、65%がe:HEV、すなわちハイブリッドだという。
簡単におさらいしておきましょう。
ホンダの新型ステップ ワゴンの6代目、正式発表は5月26日、発売は翌27日である。先代が2015年登場だから、約7年ぶりの全面改良となる。
グランドコンセプトは「♯素敵な暮らし」。ごくフツーのことばのようだけれど、頭に♯の記号がついている。そこがSNS時代のいまっぽさだ。現代における「素敵な暮らし」とはなにか? ホンダはみずからに問い、導き出した回答が、新型ステップ ワゴンなのだ。
「♯素敵な暮らし」のために、ターゲットのミニバン・ネイティブ、生まれたときからミニバンがあった現在の30~40代のひとたちは「安心×自由」を求めている。と開発陣は分析し、「安心×自由」をキーワードにして……というようなことまで書いていると、簡単におさらい、というわけには参りませんので、そのあたりは割愛します。
プラットフォームとパワーユニットは先代から引き継いでいる。EV化に向けて驀進中で、そこまで手がまわらない。というのが実情だろうけれど、実績あるよいものを改良・熟成して使うというのは悪いことではまったくない。
すなわち、動力源は先代譲りの2.0リッター直4+2モーターのハイブリッド、e:HEVと1.5リッター直4ターボの2本立てである。駆動方式は前輪駆動で、1.5直4ターボにのみ4WDの設定がある。
目玉はエアーの設定
見どころは「ミニバン・ニュー・スタイリング」と銘打たれたデザインにある。デザイン・テイストの異なるふたつのライン、すなわち標準仕様とエアロ仕様の「スパーダ」があるのは従来通りだ。ただし、標準仕様には新たに「エアー」というサブネームがつけられている。中身はホイール&タイヤ・サイズも含めて同じで、運動性能は変わらない。
「エアー」は“シンプル&クリーン”がデザイン・テーマで、1950~1960年代のファミリーカーを思わせる、ソリッドっぽい明るいアース・カラーのボディ色と、オシャレな家具調のファブリックを内装に用いている。今回もマジマジと観察したけれど、イケアとかボルボとか、ちょっとスウェディッシュ・モダンっぽい感じがして、なかなか好ましいと筆者は思う。
“スタイリッシュ、クオリティ”を掲げる「スパーダ」は、エアロ・パーツを装着しているため、全長がエアーより30mm長い。ダークなイメージで統一した内装も含め、エアロ仕様としては上品な仕上がりで、こんなに抑制的なデザインでエアロ購入層の期待に応えられるのか、それとも……まことに興味深い。
「スパーダ」には、「スパーダ プレミアム ライン」という、さらなる上級グレードも設けられている。「シック&プレミアム」を掲げるこちらは、内装にプライムスムーズというホンダおなじみの合成皮革を採用している。「エアー」が若いファミリーのリヴィングだとすると、「スパーダ」は大人しかいない共同体っぽい雰囲気である。
ウォームか、クールか。1モデルで2種のデザインのラインを設けることにより、より個性的なクルマ選びをユーザーに提供する、というビジネスモデルが新型ステップワゴンでも採用された。より正確に申し上げると、以前から採用しており、新型ではより明確になった。
歯車を使った細工が天才的にうまいメーカー
エアーを標準モデルとすると、ボディ・サイズは全長4800×全幅1750×全高1840mmで、先代の標準モデルより110mm長くて、55mm幅広くなっている。先代のスパーダと較べると、エアーは40mm長い。全高とホイールベースは先代と同一のまま、6代目となる新型ステップ ワゴンはボディを若干大きくしている。
ひとつにはデザイン面で安定感を得るためで、前後トレッドをそれぞれ15mmずつ広げ、ワイド・スタンスにしている。国内専用モデルであるにもかかわらず、5ナンバー枠にとらわれない。ということではライバルのトヨタ・ノア/ヴォクシーも同様だ。
ただし、ノアの3サイズは4695×1730×1895mm、ホイールベースは2850mmで、ステップ ワゴンより路上に占める面積はちょっぴり小さい。それを、上に高く、フロント・マスクにクロームをたっぷり使うことによって、立派に見えるように仕立てている。ボディはコンパクトなほうが扱いやすいから、これはトヨタの親切心でもある。
対する、ホンダはミニバンであってもワイド&ローのプロポーションを志向し、デザイン優先を貫く。全幅にしてわずか20mmの違いをもって、このように大袈裟に騒ぐのもどうかと思いますけれど、われながら。とはいえ、この20mmのなかに両社の考え方の違いがにじみ出ている。という解釈も、あながち間違いともいえない。
ボディの大型化のもうひとつの狙いは、室内空間の拡大にある。新型ステップ ワゴンは「国内ホンダ車史上最大」だとされる。これは、室内長(フロント・ガラスの上端から3列目着座時視点位置)、室内幅、室内高からなる室内三寸法という計測方法によるもので、数値を順番に記すと、次のようになる。2845×1545×1410mm。
ちなみにトヨタのノアは、2805×1470×1405mmで、いずれの数値もステップ ワゴンが上まわる。営業マンのセールス・トークには有効でしょう。
ミニバンの特等席である2列目の、いわゆるキャプテンシート、左右独立したシートは新開発で、新型ステップ ワゴンのハイライトのひとつである。ノアを上まわるロング・スライドが可能で、これこそ打倒ノアの象徴だ。数値としては、前後に最大865mm、内側に最大75mmスライドさせることができる。
ちなみにトヨタ・ノアの2列目キャプテンシートの前後スライド量は745mm。スライド量は多ければいいというものでもないけれど、多ければいいと考えるひとは多いこともまた事実であろう。
新型ステップ ワゴンのキャプテンシートは、豊富なアレンジができることも自慢のひとつだ。たとえば、2列目に赤ちゃんを乗せ、ママが隣に座るときには左右をくっつける。反抗期の少年を2列目に乗せる場合は、隣のシートの左右の距離を離すだけでなく、前後ズラした位置で止めることもできる。少年が内側を向いたとき、隣にだれもいない、という状況がつくられるのである。実際はそのすぐ後ろか、前にいるわけですけれど、ナイーヴな少年期を振り返れば、なかなかよい仕掛けではあるまいか。
全席快適な居住空間。というのが内装の狙いで、そのためにたとえば、3列目シートは座面の厚みを20mm、シートバックの厚みは45mmアップしている。これまでとは違って、補助イスのように感じさせない、と開発者は胸を張る。
この3列目は先代同様、床下に収納することもできる。ご参考までに、トヨタ・ノアの3列目シートは窓側に跳ね上げるようにして畳む。トヨタ方式の長所は、より簡単な仕組みでできることだけれど、後方の窓がシートで塞がれ、視界が妨げられる、という短所がある。
キャプテンシートの前後横方向のスライドの調整がレバー1本でできてしまうことも筆者的には驚きである。なんたる巧妙な仕掛けであることか。ホンダというのはエンジンだけではなくて、歯車を使った細工が天才的にうまいメーカーなのである。
というようなことで、以下、試乗篇へと続く。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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ホンダの時代が来たな