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太平洋を渡ったラリーニッポンで世界の景色を堪能する──10回目のラリーニッポンは米国カリフォルニアで開催

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太平洋を渡ったラリーニッポンで世界の景色を堪能する──10回目のラリーニッポンは米国カリフォルニアで開催

クラシックカーを買って楽しむ。その目的はさまざまだけど、同好の仲間が集ってドライブや競技を楽しみ、一日終われば共に飲んで食べて語り明かすラリーイベントが、最も大きな楽しみのひとつであることは間違いない。

日本でも近年、クラシックカーによるラリーイベントが盛んだ。春に始まるクラシックカーシーズン、真夏を除いて秋まで毎週末、日本中のそこかしこで大小ラリーが開催されるようになった。

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2018年で10回目を迎えたラリーニッポンは、今や日本を代表するクラシックカーラリーイベントのひとつだ。

その名の通り、日本の美しい景色を愛でながら、そこで育まれた伝統や文化を味わうことで祖国を再発見するという、ツーリングラリーである。他の著名ラリーイベントとは違って競技性があまり強く打ち出されていない。毎回、走るコースも変わる。クラシックカーで楽しむ旅気分を仲間とともに味わえる。そのユニークさのおかげで、多くのクラシックカー乗りが心待ちにするイベントに成長したと言っていい。

そんなラリーニッポンが昨年、10回目の開催を記念してカリフォルニアへと飛び出した。走るエリアといえば、筆者がモントレーカーウィークで通い慣れたカーメル・ヴァレー周辺、というから、これはエントリーしないわけにはいかない! 過去に参加実績のある友人を誘い、彼の1967年式シボレーコルベットロードスター(C2)をアメリカに持ち込んで参戦することになった。

初日の朝。サンフランシスコのマリーナに設営されたスタート地点にタクシーを乗り付けた。すでに50台のクラシックカーが整列している。そのうち日本から持ち込まれた車体は30台以上。残りはアメリカ人参加者やアメリカ在住の日本人、さらには現地で調達したクラシックカーたちらしい。クルマは前日のあいだに保税倉庫から各自引っ張りだして所定の場所に置いたのだった。

日本のラリーが流行した結果、その先の“お楽しみ”として最近では海外ラリーへの参加者も増えている。海外のガレージに自分のクラシックカーを預けているという猛者までいるのだ。

たとえばアメリカなら現地のナンバーを持っていたほうが保険の面などで何かと便利。なにより、日本からの運送費を考えれば安めのクラシックカーを現地に確保しておくほうが長い目でみれば割安というもの(飽きたら売ればいい)。こういう考え方はイベントが多いアメリカやヨーロッパで今後ますます増えることだろう。

ちなみに意外と知られていないのだけれど、日本からの参加車両は日本のナンバーのままで走ることができる。何もわざわざローマ字ナンバーに変更する必要などない。

この日はウォームアップのようなもので、サンフランシスコから海岸沿いの1号線を南下してカーメル・ヴァレーを目指した。

今回は夏のビッグイベント“モータースポーツギャザリング”で有名なペニンシュラグループのクエイル・ロッジを起点にして、日々、四方八方へとドライブするという趣向。1泊移動型では毎日荷物の積み込みに苦労するものだが、宿を移動しないイベントは有り難い。日本でも“起点型”がもっと増えてもいいと思う。

サンフランシスコ名物の霧で少し肌寒かった天候も、南へと走るに従ってカリフォルニアらしい陽射しが増してきた。故郷へと舞い戻ったオープンカーで乾いた風を浴びながら走る心地よさは格別である。

走り慣れた道を難なくクリアし、クエイル・ロッジでスタッフからの大歓迎を受ける。初日のディナーはザ・クエイルのゴルフ場で愛車たちを眺めながら、という粋な趣向だった。ラリーニッポンは、これまた他のイベントとは違って“メシが旨い”ことでも有名だ。

2日目は内陸部へと向かった。このあたり一帯はワイン用のぶどう造りでも有名な土地柄だ。

壮大なぶどう畑をいくつか縫うように抜けていくと、小一時間も走れば人里から離れ、草木の数もめっきり減ってしまった。アメリカ西海岸と聞いてイメージする風景なんてものは、本当に海岸沿いのわずかに拓けた場所だけだったとあらためて知る。

赤茶けた岩山に囲まれた素晴らしいワインディングロードを駆けぬける。327c.u.のV8エンジン(およそ5400cc)に4速マニュアルミッションを組み合わせた1967年式のコルベットスティングレイロードスターは、まるで水を得た魚のようにひらりひらりとコーナーをクリアする。やっぱり道がクルマに合っているのだ。否、クルマが道に合わせてできている。クルマがテロワールの産物であるということの、それは証というべきか。

3日目にはいよいよ、みんなが心待ちにしていたラグナセカ・サーキットへ。広大なパドックのなかでPC競技(区間走行の正確さを競うラリーでは有名な種目)をこなしたのち、隊列を組んで本コースへと進入する。先導車がいたとはいうものの、けっこうなハイペースで走り出した。名物のコークスクリューコーナー(ほぼ直角に落ちるようなコーナー)を愛車で体験できる機会などそうそうあるものじゃない。

この日のディナーは世界三大水族館のひとつモンタレー水族館で催された。ナイトミュージアムならぬナイトアクアリウムで幻想的なディナー。メインコースがマグロじゃなくて良かった!(チキンだった)。

そして、最終日。ハイウェイ1のコーストラインをさらに南下し、ビッグサーで折り返して山道を帰るという短めのルート。最後にもういちど最もカリフォルニアらしい景色=海岸と岩山と砂漠と農地、を楽しむというプランで、よく考えられていると感心することしきり。

ガラディナーはもちろんクエイル・ロッジの宴会場で。いちおう競技もやったので、その表彰式もある。大阪から参加の小林夫妻(ACエース)が優勝を果たした。

参加者の満足度はかなり高かったよう。今年2019年のラリーニッポンは心機一転、春は軽井沢、秋は九州で開催される。

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