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一流のスーパーカーだ!──新型マクラーレン750S試乗記

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一流のスーパーカーだ!──新型マクラーレン750S試乗記

マクラーレンの新型「750S」が日本に上陸した! サーキットをテストドライブした小川フミオがリポートする。

有機的で美しい

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ついに! という感じでマクラーレンのスーパーカー、750Sが日本に上陸した。2023年8月に発表され、ジャーナリストとしてハンドルを握れたのが、2024年1月終わり。すばらしく良くなっていて感動的な出来だ。

新型750Sは、ちょっとマクラーレンに詳しいかたならご賢察のとおり、従来の「720S」からの進化版だ。出力が従来の720psから750ps(552kW)に上がるとともに、車体が30kg軽量化。車体デザインも見直され、空力特性も向上しているのがセリングポイントだ。

自然物の美しさにインスピレーションを受けたボディデザイン。マクラーレンは有機的で美しいスタイルを、そう表現してきた。最新のヘッドオブデザインはベントレーから招いたので、今後コンセプトは変わるかもしれないが、なにはともあれ、750Sの内外装のスペシャルな雰囲気は街中でもかなり映える。

しかも、私が750Sに乗った場所がすごい。プライベートドライビングクラブを標榜し、千葉・南房総市に2023年7月にオープンした「THE MAGARIGAWA CLUB」。高低差のある地形を活かした3.5kmのコースで、スーパーがいくつも頭につくようなスポーツカーを走らせることができる。

出力が30ps、トルクが30Nm増え、トレッドは6mm拡大、ダンパーは高性能のツインバルブ式に、最終減速比は15%、ローギーアード化されたのが750Sだ。エンジン回転を上で保って走行できるように設定された。

750Sとはどんなクルマなのか……テストドライブさせてもらうには、実にふさわしい環境だ。走りに自信のあるスポーツカーのメーカーにとって、今、THE MAGARIGAWA CLUBは注目のコースのようだ。

750Sの印象はというと、素晴らしいという言葉がすべてを表現している。もとフェラーリのCTOで、2022年7月からマクラーレンに転職したミシャエル・ライターズCEOは、「最高だと認識されているモデルをさらに良いものにした」と、している。なるほどなぁと思う出来映えだった。

基本的なフォルムは720Sから引き継ぎ、ホイールベースは2670mmと不変だが、ボディ全長は26mm伸びて4569mmになった。

たしかに、フロントエアダムの形状を含めてテールのデザインも変更され、見た目からしていかにも空力が向上していそうだ。でも、そんなに変わったかなぁ、と、思いながらドライブしたら、もう、びっくりするほど進化していた。

不安感ほぼゼロ「モノケージII」とマクラーレンが名付けている炭素樹脂製の軽量かつ高剛性のボディ構造を持ち、3994ccV8ツインターボエンジンをミドシップし、7段ツインクラッチ変速機を介して後輪を駆動する。そこまでは720Sからの継承だ。

操縦感覚は、ダイレクト感がかなり上がっている印象で、先述のとおり最終減速比が下がっているため、ハンドル背後のパドルで低めのギヤを選択して加速したときのスピード感はハンパない。

リヤの排気系の取りまわしを変更し、リアスポイラーを60mm高く上げ性能を上げるとともに、エンジンベイへの空気の取り入れが改善されたそうだ。冷却効率改善が先述の出力アップをもたらしたと説明される。

フロントからリヤバンパーにいたるボディ各部の形状変更は、たとえば後輪まわりの空気整流を改善。空力特性向上は、起伏の多いコースでも路面に張り付いたように走るというわかりやすいメリットをもたしてくれたようだ。

THE MAGARIGAWA CLUBのコースはユニークで、広いエスケープゾーンがない。かわりに、タイヤとの摩擦係数がうんと高くしてコースアウトした車両を停止させる設定という。最初はおっかない印象もあったが、安定した走行ぶりを経験すると、不安感ほぼゼロ。

運転していて怖いのは、加速、ステアリング、コーナリング、減速と停止といったさまざまな場面において、車両が自分の思いどおりに動いてくれないのではないか? と、思うときだ。

その点、750Sはドライバーの思いどおりに走ってくれるので、速いけれど安心。一流のスーパーカーだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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