現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタの「プリウス式」HVとは燃費勝負しない!? スバルのハイブリッド車に与えられた使命とは

ここから本文です

トヨタの「プリウス式」HVとは燃費勝負しない!? スバルのハイブリッド車に与えられた使命とは

掲載 更新
トヨタの「プリウス式」HVとは燃費勝負しない!? スバルのハイブリッド車に与えられた使命とは

■スバルのハイブリッドシステム「e-BOXER」

 真冬の山形で開催されたスバルのメディア向け試乗会「SUV SNOW DRIVING EXPERIENCE」に参加し、スバルのSUVである「XV」と「フォレスター」で、雪道を思い切り走り込むことができました。

日本のコンパクトは「ノート」「アクア」の2強時代? なぜ「フィット」は加われないのか

 そこで感じられたのはスバルのハイブリッドである「e-BOXER」のユニークな個性です。世間一般でいうところのハイブリッドの代表格といえば、トヨタ「プリウス」でしょう。しかし、スバルのハイブリッドは、「プリウス」とはまったく違った走りを提供してくれるものでした。

 スバルのハイブリッドシステムである「e-BOXER」はスバルのオリジナル技術で、特徴はハイブリッド車の専用システムではなく、通常のガソリンエンジン版の派生モデルとして用意されていることです。

 そのため、「e-BOXER」は、通常の2リッターエンジン+トランスミッション(CVT)というパワートレインを生かしたまま、その後ろに新たなに小さなモーターを1つ追加することで、ハイブリッド化を実現しています。

 しかも、スバルの売りであるAWD(オールホイールドライブ)の優れた走りを失わないようにと、前輪と後輪をつなぐプロペラシャフトが残されています。

 また、通常のエンジン車とハイブリッド車で、大きく車体を変えることもできないために、追加するモーターを大きくすることができず、その出力はわずかに10kW(13.6馬力)というのも特徴です。

 そのため、モーターだけで走行するEV走行は、ほとんどできません。2リッターのエンジンとモーターを合計した最高出力は117kW(158.6馬力)です。

 つまり、「ハイブリッド専用車ではない」「トランスミッションの後ろに1個のモーター」「プロペラシャフトを残したAWD」「モーター出力は10kWしかない」「EV走行不可」というのが特徴です。

■ハイブリッドの代表「プリウス」には敵わない

 一方、ハイブリッドの代表格ともいえるトヨタの「プリウス」の特徴は、「ハイブリッド専用モデル」「モーターは駆動用と回生・発電用の2個」「FFが基本で、4WDモデルはプロペラシャフトのない後輪をモーターで駆動する方式」「モーターの最高出力は53kW(72馬力)」「EV走行が可能」「1.8リッターエンジンとモーターのシステム最高出力は90kW(122馬力)」といったもの。スバルとは、何もかも違うと言っていいでしょう。

 そして、決定的な違いは燃費性能です。「プリウス」の燃費は通常モデルで37.2km/L(JC08モード)で、4WDでも34km/L(JC08モード)を誇るのに対して、スバルは「XVハイブリッド」で19.2km/L(JC08モード)、「フォレスター・ハイブリッド」で18.6km/L(JC08モード)。つまりスバルのハイブリッドの燃費性能は、「プリウス」の3分の2にも届かないのです。

 しかし、スバルのハイブリッドの燃費性能が「プリウス」に敵わないのは、ある意味、当然のことでしょう。なぜなら、スバルは燃費性能を狙っていないからです。

 何度か、スバルのハイブリッドの開発者に話を聞く機会がありましたが、誰もが判で押したように「プリウスと燃費性能を競っても意味がない」と言います。燃費性能を極めるために業界最大手のトヨタが生み出したのが「プリウス」です。

 業界最大手のトヨタのストロング・ポイントと真っ向勝負しては、スバルに分がないということでしょう。

■スバルのハイブリッドが担う役割とは?

 では、スバルはハイブリッドで何をするのか? それが走りのブラッシュアップです。

 ハイブリッドで駆動力を生み出すモーターは、エンジンよりもレスポンスよく、しかも緻密に制御することができます。欲しいときに欲しいだけ使うことができるのです。

 そこで、雪道などの足元の悪いシチュエーションで、エンジン出力が高まるまでの一瞬前をモーターが担当。レスポンスよく、しかもタイヤのスリップにあわせて緻密にモーターの力を使って、より安心で確実な走りを実現しようというのです。

 また、街中から高速道路までの走行時も、モーターの力を使うことで、走りをよりスムーズにし、加速を力強くすることもできます。山形の雪道で、そうしたスバルの狙い通りの走りを体感することができたのです。

 おもしろいのは、「フォレスター」と「XV」では、どちらも2リッターエンジン&モーターの同じシステムを使いますが、それぞれのハイブリッドモデルのキャラが違うことです。

「フォレスター」のハイブリッドは、エンジン車よりもキビキビとした走りでアクティブな印象です。一方で「XV」のハイブリッドは、パワフルでありながらも、どっしりと重厚感があり、1クラス上のクルマのよう。まるで正反対の性格に驚きました。

 ちなみに、“走り指向”とはいえ、それでもガソリン車と比べると、「フォレスター」も「XV」もハイブリッドの方が1.2~1.3倍ほど燃費性能は優れています。

■「プリウスPHV」のプラグインハイブリッドシステムを「XV」に流用

 最後に、2018年11月のロサンゼルスショーで、スバルは「XV」のプラグインハイブリッド版となる「クロストレック ハイブリッド」を発表しました。「クロストレック」とは、北米での「XV」の呼び名です。

 なんと、このモデルは「プリウスPHV」のシステムをそのまま流用した2モーター式。しかし、相変わらずプロぺラシャフトのあるAWDであり、燃費性能の追求はそこそこ。月間の生産台数は、わずか300台程度ですから、広く販売したいようには見えません。

 開発者に話を聞くと「大容量の二次電池と強力なモーターを活用するためのスタディ」という色あいが濃いようです。

 しばらくの間は、従来型の1モーターのハイブリッドがスバルの主力になるはず。とはいえ、PHVのスタディを行うくらいなのですから、電動化への意欲は十分にあると言えるでしょう。

 そのうち、スバルからも、もっと強力な電動モデルが登場するのではないでしょうか。どんなクルマになっているのかが楽しみですね。

こんな記事も読まれています

ローソン予選15番手「とにかくグリップがなくて苦労したが、それは言い訳にはならない」:RB/F1第22戦
ローソン予選15番手「とにかくグリップがなくて苦労したが、それは言い訳にはならない」:RB/F1第22戦
AUTOSPORT web
2024年F1第22戦ラスベガスGP予選トップ10ドライバーコメントまとめ(1)
2024年F1第22戦ラスベガスGP予選トップ10ドライバーコメントまとめ(1)
AUTOSPORT web
2024年F1第22戦ラスベガスGP予選トップ10ドライバーコメントまとめ(2)
2024年F1第22戦ラスベガスGP予選トップ10ドライバーコメントまとめ(2)
AUTOSPORT web
クルマのヘッドライト「何時に点灯」させればいい? 「オートライト義務化」されるも過信はNG! 「秋冬の早め点灯」大事な理由とは
クルマのヘッドライト「何時に点灯」させればいい? 「オートライト義務化」されるも過信はNG! 「秋冬の早め点灯」大事な理由とは
くるまのニュース
角田裕毅と好バトルの末8位フィニッシュのヒュルケンベルグ「ピットストップのタイミングを少しずらしたのがうまく機能した」
角田裕毅と好バトルの末8位フィニッシュのヒュルケンベルグ「ピットストップのタイミングを少しずらしたのがうまく機能した」
motorsport.com 日本版
中古車バブル崩壊……その時あなたは何を買う!? 絶版国産[スポーツカー]ほしいランキング
中古車バブル崩壊……その時あなたは何を買う!? 絶版国産[スポーツカー]ほしいランキング
ベストカーWeb
BMW初代「M3」に24年! マフラーはE46 325i用をベースに自分で溶接して製作…トヨタ「スターレット」から乗り換えて何が違った?
BMW初代「M3」に24年! マフラーはE46 325i用をベースに自分で溶接して製作…トヨタ「スターレット」から乗り換えて何が違った?
Auto Messe Web
ドラマ連発!エバンス/マーティン組が日本戦でニ連覇、TOYOTAも大逆転でのシリーズ四連覇獲得に「トヨタ(豊田)」が湧いた!!【WRC最終戦ラリージャパン】
ドラマ連発!エバンス/マーティン組が日本戦でニ連覇、TOYOTAも大逆転でのシリーズ四連覇獲得に「トヨタ(豊田)」が湧いた!!【WRC最終戦ラリージャパン】
Webモーターマガジン
BMWが新型「3シリーズ セダン/ツーリング」を発売! PHEVモデルは航続距離がさらに向上。【新車ニュース】
BMWが新型「3シリーズ セダン/ツーリング」を発売! PHEVモデルは航続距離がさらに向上。【新車ニュース】
くるくら
エメ・レオン・ドレの特注「ポルシェ993ターボ」は、ニューヨークにオマージュを捧げた一台
エメ・レオン・ドレの特注「ポルシェ993ターボ」は、ニューヨークにオマージュを捧げた一台
LE VOLANT CARSMEET WEB
新生ポルシェ、スポーツカーとスキー製造のノウハウを備えた「ヘッド106シリーズ」
新生ポルシェ、スポーツカーとスキー製造のノウハウを備えた「ヘッド106シリーズ」
LE VOLANT CARSMEET WEB
防風 + 輻射熱で防寒効果アップ!「ウインドスクリーン2サイズ」が11/30に VASTLAND から発売
防風 + 輻射熱で防寒効果アップ!「ウインドスクリーン2サイズ」が11/30に VASTLAND から発売
バイクブロス
【ヤマハ】クリエイティブチーム12名が Netflix オリジナルアニメ「Tokyo Override」の制作に協力
【ヤマハ】クリエイティブチーム12名が Netflix オリジナルアニメ「Tokyo Override」の制作に協力
バイクブロス
日産「カクカク“ワゴン”」実車公開! 旧車デザイン×コンパクトボディが超カッコイイ!ウッド内装もオシャレすぎる“斬新キューブ”「SETO」大阪で展示!
日産「カクカク“ワゴン”」実車公開! 旧車デザイン×コンパクトボディが超カッコイイ!ウッド内装もオシャレすぎる“斬新キューブ”「SETO」大阪で展示!
くるまのニュース
[15秒でわかる]世界初のリアウイングライト…テールランプとリアウィングが一体化!
[15秒でわかる]世界初のリアウイングライト…テールランプとリアウィングが一体化!
レスポンス
レアすぎるよ…! 約940万円! ケータハムセブンの[中古価格]が驚愕すぎる件
レアすぎるよ…! 約940万円! ケータハムセブンの[中古価格]が驚愕すぎる件
ベストカーWeb
グループAのころにゃなかったぞ! おじさんファンにはちんぷんかんぷんなイマドキ「レース用語」10選
グループAのころにゃなかったぞ! おじさんファンにはちんぷんかんぷんなイマドキ「レース用語」10選
WEB CARTOP
苦しみ続けるマクラーレンのノリスが予選6番手「良いラップをまとめることが、あまりにも難しい」/F1第22戦
苦しみ続けるマクラーレンのノリスが予選6番手「良いラップをまとめることが、あまりにも難しい」/F1第22戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346.5390.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15.0448.0万円

中古車を検索
フォレスターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346.5390.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15.0448.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村