レストアありきだが納得の行く落札価格だった
オークショネアのボナムスが、2024年2月1日にパリで開催した「レ グランデ マルク デュ モンド ア パリ(パリにおける世界の偉大なブランド)」オークションには、タイトルどおりに、じつにバラエティ豊かな、そして興味深い自動車や二輪車、そしてオートモビリア(ミニカーやポスターなど自動車の趣味に関連する小物類)が出品されました。ここで紹介するのは1983年式のランボルギーニ「ジャルパP350」です。詳細を見ていきます。
ランボルギーニ「ウラッコ」は3年前なら700万円! 元祖「スモールランボ」は70年代の子どもたちのアイドルだった!?【スーパーカー列伝16】
スモール・ランボの最終型だったジャルパ
1981年に誕生し1988年まで生産が継続されたV8ランボルギーニ「ジャルパ」は、スモール・ランボの最終発展型となったモデルである。ちなみにランボルギーニがジャルパの生産を中止してからV12エンジン以外を搭載する、いわゆる「スモール・ランボ」を市場へ投入するのは2003年にデビューを飾った、「ガヤルド」まで待たなければならない。
1970年代から1980年代にかけてランボルギーニが生産したスモール・ランボは、「ウラッコ」でその歴史の幕を開ける。当時はまだランボルギーニ社の社長であったフェルッチオ・ランボルギーニは、ポルシェ「911」や「ディーノ308」といったライバルに対抗する安価な量産モデルの開発を指示した。
デザインはベルトーネに、そしてエンジニアリングは当時すでにランボルギーニでチーフ・エンジニアの職にあったパオロ・スタンツァーニが担当した。彼が設計したウラッコのエンジニアリングは、まさに緻密さの極致ともいうべきもので、2.5LのV型8気筒エンジンを横置きミッドシップし、さらに2+2のキャビン・スペースをわずか2450mmのホイールベースで実現してみせたのだから、彼の手腕、そして才能には改めて驚かされる。
ウラッコは、1976年には実質的な後継車ともいえる2シーターの「シルエット」に市場を譲り、それは1979年まで生産が続けられるが、生産台数はわずか53台にすぎなかった。そしてシルエットの後継車こそが1980年代を生きたスモール・ランボの最終型たるジャルパだった。
デビューは1982年と、その誕生までにはやや長い時間を要したが、新たにマセラティから移籍してきたエンジニア、ジュリオ・アルフィエリによって、ミッドの3.5L V型8気筒エンジンは改良された。最高出力は255psとジャルパの時代から若干低下してしまったものの、実用域でのトルク特性はより魅力的なものになり、5速MTとの組み合わせでも扱いやすさは大いに改善となったのだ。参考までにその最高速は248km/hというのが、当時ランボルギーニから発表されたオフィシャル・データとなる。
ジャルパの生産台数は410台
ダイナミックなオーバーフェンダーを採用するなど、よりスポーティな造形に刷新したエクステリア・デザインや、機能的で近代的なデザインに改められたインテリアなど、ジャルパに賭けるランボルギーニの意気込みは相当なものだった。
1984年にはマイナーチェンジ版のシリーズ2も登場し、エアインテークがボディ同色となったほか、エアコンやパワーウインドウの標準装備化など、商品性がさらに高められたことも見逃せない。1988年までにトータルで410台が販売されたと記録されるジャルパ。今回の出品車は1983年12月21日にランボルギーニの工場をラインオフしたジャルパP350で、74番目に製造されたモデルであることが確認されている。
そもそもはアメリカ仕様として生産されたモデルだが、1989年にパリのオークションで販売され、2000年から2015年まではパリのコレクターが所有していたことが明らかになっている。これまでの走行距離は約2万5350km。ボナムスによればエンジンは始動するものの、長年乗られていなかったモデルであるため、購入後には整備が必要であるとされる。
注目の落札価格は7万1875ユーロ(邦貨換算約1140万8130円)。これからレストアを始めようというコレクターには、まずは納得のいく落札価格だったのではないだろうか。
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みんなのコメント
ミウラ、カウンタック一族の残像があるメーカーなので、コレクター以外じゃ無いんだよ感を大枚叩くのは辛いね。
個人的にはオーバーフェンダーでワイドボディーのジャルパよりオリジナルのウラッコの方が好み。
意外ですが、スモールランボルギーニのV8モデルにはアメリカンV8の部品が流用可能で日常使用している人も多い。
日本はアップデートするのに否定的ですし、オリジナル以外認めない人が多いから日本人には不向き。