みなさんはトヨタ・カローラにどんなイメージを持っているだろうか。そう、カローラは1966年の初代デビュー以来、日本のモータリゼーションを下支えしてきた国民車そのもの、大衆車である・・・といった感覚なら、今すぐ、考え方を改めたほうがよい。
今年デビューした新型カローラは、カローラ史上初の3ナンバー、全幅1745mmの3ナンバーサイズになっただけでなく、トヨタ最新のプラットフォーム、先進運転支援機能=トヨタセーフティセンス、さらにはあおり運転被害にあったときにも有効な、エアバッグ連動自動通報型のヘルプネット=SOSコールなどを採用した、まさに新時代の先進的なカローラになったのである。
2列シート仕様の大容量コンパクトワゴン!トヨタ「シエンタ FUNBASE」試乗記
何しろ、日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020の10ベストカーに、RAV4(日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020を受賞!)とともに選出されたほどなのである。
それだけではない。走行性能はまさに世界基準。セダンの1・8Lガソリン車の出来、走行性能に驚かされたばかりだが、このツーリングもまた、今や国産車では希少な存在となる、スタイリッシュすぎるコンパクトワゴンに進化。今回は、最上級スポーティーグレードのハイブリッドW×Bに試乗した。
ファーストインプレッションは、とにかく低くてカッコいいのひとことに尽きる。全幅が1745mmになったせいもあり、1460mmの全高が縦横比の関係で、より低く見え、クーペのように美しいシルエットを披露する。
特にW×Bグレードは215/45R17サイズの大径タイヤを履いているため、地を這(は)うようなスタイリングとなる。顔つきも精悍(せいかん)で、こう言ったらなんだけど、カローラのバッジが付いていなければ、トヨタのまったく新しいスタイリッシュ&スポーティーワゴンの登場と思えてしまえるほどである。
自然な姿勢で乗り込める運転席に着座すれば、W×B専用の合成皮革+レザテックのスポーティーシートのかけ心地に感動である。実は、ボク、レザー系のシートは張りの強さから、しっくりと座れず、あまり好みではなかったのだが、このシートは身長172cm、体重65kgのリポーターでも、実にしっくりと座れるのだ。お尻の沈み具合、サイドサポートの良さなど、分厚いクッション感と合わせ、欧州の高級車をも思わせるシートと言っていい。
後席にしても、このクラスのコンパクトワゴンとしては納得できる広さ。惜しいのは、後席エアコン吹き出し口がないことだろうか。
インパネはほとんどの部分がソフトパッドで覆われ、デザイン、ステッチを含む質感ともに高級感たっぷり。ナビは7インチの、国内トヨタ車初採用のディスプレーオーディオが標準装備されるが、試乗車には9インチの大画面ディスプレーオーディオがOP装着されていた。ナビキットを注文すれば、T-コネクトサービスによるオペレーターサービスも利用できるから、先進のコネクティッドカーとして、実に心強い。ちなみにオペレーターサービスは、例えば走行中にDCM(専用通信機)で接続し、ナビの目的地設定などを遠隔操作、設定してもらえるなど、便利このうえなし。運転初心者やシニアなドライバーにもうってつけのサービスである。
ツーリング=ステーションワゴンとしての実力もなかなかだ。開口部地上高は約61cmと、世界のステーションワゴンの平均値約63cmより低く、開口部に段差なし、フロアは奥行き約93(中心部)~85cm(サイド)、幅約140(手前)~95cm(奥)。最小天井高約65cmと、コンパクトワゴンとしては申し分のない広さを確保。容量は後席使用時で392Lである。
さらに、6:4分割の後席を、ラゲッジ側のレバーでパタンと倒せば、フラットかつ、フロア奥行き約157cm、前席背後までなら約180cmものスペースが出現。その際の最大容量は802Lに達するという。さすがに低全高だけに、天井高こそ低めだが、デッキボードを下段位置にすれば、高さは77.5cmまでかせげるのだから、アウトドアの荷物の積載、愛犬の乗車も楽々可能ということだ。
トヨタ最新の量販車でもあるカローラだけに、先進運転支援機能もトヨタ最新だ。衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者にも対応し、特に高速道路のクルージングをサポートするレーントレーシングアシスト、全車速域、渋滞追従対応のACC(アダプティブクルーズコントロール)、ブラインドスポットモニターまで用意している点には驚かされる。
また、オプションでAC100V/1500Wコンセント(44000円/税込み)も付けられ、給電車として、車内外で1500Wまでの家電品を使えるところも、災害大国でもある日本では大きな魅力となりうる。
そんな新型カローラツーリング ハイブリッドW×Bの走行性能は、極めて質の高い乗り味を披露。乗り心地は、215/45R17サイズの大径タイヤのおかげで、段差などではやや硬く感じるものの、終始、フラットで快適そのもの。サスペンションは路面の変化をみごとにいなして、しっかり感と心地よさを両立した上質な乗り心地を堪能させてくれるのだ。
フットワークはだから、自在感あるスポーティーテイスト。直進感の良さもさることながら、カーブや高速レーンチェンジ、山道での操る気持ち良さ、安定感の高さは、失礼だが、これがカローラなのか!と思わせるほどだった。
1・8Lエンジン+2モーターのパワーユニット(エンジン98ps、14.5kg-m/モーター 72ps、16.6kg-m、システム最高出力122ps)はプリウスと大きく変わらず、しかし最新制御で一段とスムーズかつ伸びやかな加速力を発揮してくれる。ドライブモードのパワーモードなら、メーターが赤く染まるのと同時に、レスポンスが一段と高まる加速力を見せつけてくれる痛快さがある。決して、回して気持ちいい部類のエンジンではないが、動力性能的には“スポーティーワゴン”と呼んでいいレベルにあると言っていいだろう。
電動パーキングブレーキにホールドモードがあるのもうれしいポイント。一時停止中にブレーキを踏み続けなくて済むから楽だ。
ハイブリッドだから車内は素晴らしく静か・・・でもない。確かにパワーユニットとしては静かで、100km/hていどの巡航でもEVモードに入り、モーター走行が可能なのだが、17インチタイヤのスポーティーなキャラクターからか、ロードノイズの侵入は、静かに滑らかに走ってくれる16インチタイヤより、かなり大きめ。良路ではハイブリッドカーらしい静かさに満足できるのだが、路面が荒れると、車内はけっこう騒々しくなってしまうというわけだ。
よって、ハイブリッドモデルを選び、電動車らしい全体的な静かさまでもを求めるのであれば、装備はやや落ちるものの、乗り心地面にも優れる、16インチタイヤ+アルミホイールとなるハイブリッドSグレードをお薦めする。もちろん、1.8Lガソリンエンジン搭載モデルも、惚れ惚れするぐらいできがいい。
あるいは、MT好きなら、よりスポーティーな1・8Lガソリン+6MTのW×Bという選択肢もある。
いずれにしても、新型カローラツーリングのスタイリッシュさ、走りの質感の高さ、先進運転支援機能の充実ぶりは、過去のカローラとは別物の世界観にある。一度、試乗してみると、カローラ、カローラツーリングに対する見方、考え方が激変すること間違いなしである。実際に、ボクがそうなのだから。ちなみに、高速80%、市街地20%の今回の試乗での実燃費は、なんと25.3km/hと素晴しかった!!
トヨタ・カローラツーリング
https://toyota.jp/corollatouring/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。
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