アウディは2021年4月19日、世界最大の上海モーターショー2021で、EV革命をさらに加速させることを発表し、革新的な電気自動車ファミリーの先頭に立つモデル、「A6 e-tronコンセプト」をワールドプレミアしました。このコンセプトモデルは未来の電気自動車の新しいテクノロジー・プラットフォームとなる、注目の「プレミアムプラットフォーム・エレクトリック(PPE)」を初採用しています。
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モデル概要
A6 e-tronコンセプトは、その名称が示すようにラグジュアリークラスに属しており、アウディを代表するEセグメントのプレミアムモデルです。A6は早い段階から電動ドライブシステムを搭載しており、2011年にはフルハイブリッド・モデルを発売しています。2019年には、EVモードで91km(WLTP)の航続距離を持つPHEV仕様のA6 TFSIeが登場しています。
今回、上海モーターショーで発表されたA6 e-tronコンセプトは、アウディが主導して開発した未来のプラットフォーム「プレミアムプラットフォーム・エレクトリック(PPE)」をベースにした純粋な電気自動車です。
このモデルはまったく新しいデザイン・コンセプトを投入しています。現行モデルのA6と共通しているのは、そのボディサイズだけといえます。A6 e-tronコンセプトはスポーツバックとしてデザインされ、全長4.96m、全幅1.96m、全高1.44mのサイズとし、アウディのデザイン言語のさらなる進化を表現しています。
PPEプラットフォームを採用することで、ファーストカーとしての実用性能を備えながらも、ダイナミックなドライビングパフォーマンスを全身で表現することが可能です。A6 e-tronはバージョンにもよるものの、将来的に700kmを超える航続距離を実現し(WLTPモード)、最もパワフルなモデルの0ー100km/h加速はわずか4秒未満を実現します。
デザイン
A6 e-tronコンセプトは、ダイナミックなプロポーション、エレガントなライン、そしてアウディ・ブランドの特長となっているファストバックデザインを見れば、このクルマが風洞実験室から生み出されたことが理解できます。
今回発表されたA6 e-tronコンセプトは、機能とフォルムを完璧に融合させることで、Cd:0.22を達成。大型セグメントに属する電気自動車としては、前例のない数値で、このクルマの空気抵抗が非常に少ないことを意味しています。
これによって電力消費量を削減し、航続距離を伸ばすことが可能です。同時に、風洞実験室でファインチューニングが行われたことにより、非常にエレガントで細部に至るまで調和の取れた、有機的なデザインとなっています。
22インチの大径ホイールと短いオーバーハング、フラットなキャビン、そしてクーペ状の広いルーフラインは、スポーツカーを連想させるプロポーションで、明確なエッジが存在しないデザインにより凸面と凹面がスムーズにつながり、ボディパネル全体にソフトな陰影が生み出され、特に側面から見ると、あたかも一つの大きな塊から削り出したように見えます。
大きく傾斜したリヤサイドウィンドーのデザインは、アウディのスポーツバックモデルの典型的な特長で、Dピラーはショルダーラインから上方へと立ち上がり、流れるようなラインを描きながらルーフへとつながり、クワトロ・ブリスターフェンダーはボディの幅広さを強調すると同時に、ボディサイドに有機的な曲面を形成しています。
フロントから見ると、電気自動車であることがすぐに分かります。そのハイライトとなっているのはドライブトレーン、バッテリー、ブレーキを冷却するためのエアインテークを左右に備えた大型の密閉されたシングルフレームグリルです。
カラーは新開発の「へリアシルバー」を採用。テクニカルで機能的な美しさを表現するとともに、このカラーは太陽光をかなりの割合で反射することで車内に入る太陽エネルギーの量を減らし、エアコンの使用頻度を減らすことができるのです。
ライト類は、フロントにデジタルマトリクスLED、リヤにデジタルOLEDテクノロジーを採用し、少ない表面積でも最大の明るさと幅広い機能を実現。またボディ側面には、小型で高解像度の3台のLEDプロジェクターが装着され、ドアを開くと地面が光のステージに変化し、乗員に母国語で挨拶します。
フロントのデジタルマトリクスLEDヘッドライトは、動画を投影する機能も備えています。たとえば、目の前が壁になっている駐車スペースに止めて充電する場合、ドライバーと乗員は壁に投影されたビデオゲームを楽しむことができます。
それぞれのゲームの仮想風景は、インストルメントパネルの小さなディスプレイではなく、XXL形式で壁に投影されます。プレーヤーは、車両の横または真正面に立つことで、幅数メートルのゲームを楽しむことが可能というわけです。
このゲームでは、コントローラーとしてスマートフォンを使用します。そして、ゲーム自体もアウディ製です。アウディのデザイナーは、このモデルのために専用のゲームを考案し開発しています。
このコンセプトカーのリヤエンドには、連続したライトストリップとして、新世代のデジタルOLEDエレメントを採用し、ディスプレイのように機能します。また、デジタルライトシグネチャーやダイナミックライティングディスプレイを、オーナーの個人的な好みに合わせてほぼ無制限にカスタマイズすることも可能になっています。
プレミアムプラットフォーム・エレクトリック(PPE)
PPEは電気自動車専用に設計されているため、このテクノロジーのメリットを最大限に活用することができます。A6 e-tronコンセプトだけでなく将来登場するPPEをベースにした車両の特長は、前後アクスル間に搭載された容量約100kWhのバッテリー容量です。
車両ベース全体を有効に活用することで、フラットなバッテリーレイアウトを実現。この単一のプラットフォームを、基本的な構成を変えることなく、背の高いSUVモデルからスポーツモデルまで幅広い乗用車に使用できることを意味しています。
PPEの採用は、最初は大型セグメントのクルマに、後にはミッドサイズセグメントとフルサイズ・セグメントに導入されます。このモジュラーシステムは、アウディのリーダーシップの下で、ポルシェと共同開発しています。PPEプラットフォームをベースにしたアウディの量産車は、2022年の後半から順次発売される予定です。
またPPEを採用する車両は、グローバルに提供できるように設計されており、すべてのブランドの主要な市場で展開されます。
アウディは、ヨーロッパの製造拠点と最大の単一市場である中国の両方でこれらの車両を生産する予定です。この目的のため、中国・長春に新しい工場が建設されており、2025年までにはPPEテクノロジーを搭載したアウディの電気自動車が生産される予定です。この新工場はアウディとその合弁パートナーであるVAW-フォルクスワーゲン(一汽大衆)が共同で運営します。
PPE車両のバッテリーサイズとホイールベースは柔軟に変更することができ、さまざまなセグメントの車両に採用することが可能です。長いホイールベースと非常に短いオーバーハングの比率は、すべての車両に共通する要素ですが、大径ホイールと組み合わせることによってデザイン面だけでなく、基本的なプロポーションの面でも、ダイナミックなスタイルを生み出すことができます。
PPEモデルの長いホイールベースにより、居住空間は広々としたスペースが生み出されます。これはどのセグメントのクルマにおいても大きなメリットとなります。さらに、電気自動車はトランスミッショントンネルを必要としないため、よりも広いスペースが生み出されます。
トランスミッションのトンネルがなくても、アウディのオーナーは、ブランドのトレードマークであるクワトロ・ドライブシステムを選択することが可能です。
未来のPPEモデルには、フロントおよびリヤアクスルにそれぞれ1基の電気モーターを搭載したクワトロ・バージョンが用意され、電気モーターを制御することによって、ドライビングダイナミクスとエネルギー効率の完璧なバランスを取りながら、オンデマンドの4輪駆動システムを実現。さらに、e-tronファミリーにはエネルギー消費量と航続距離を最適化したベースバージョンも用意されます。この場合、1基の電気モーターがリヤアクスルに搭載されます。
A6 e-tronコンセプトには350kW(478ps)の合計出力と、800Nmの最大トルクを発生する2基の電気モーターが搭載されています。
サスペンションは、フロントに電気自動車用に最適化された5リンク式サスペンションが、リヤにはマルチリンクタイプのサスペンションを採用。さらに、このコンセプトカーは、アダプティブダンパーを備えたアウディ・エアサスペンションも装備しています。
高電圧の急速充電システム
A6 e-tronコンセプトはもちろん、今後登場するPPE採用モデルは、800ボルトの充電テクノロジーを採用シていることも特長です。これによりバッテリーはe-tron GTと同様に、高出力・急速充電ステーションを利用すれば最大270kWの出力が可能で、非常に短時間で充電することができます。
この高出力充電により、従来の内燃エンジン搭載車に燃料を補給するのと同じくらいの時間でバッテリーを充電することが可能になり、300km以上を走行可能なレベルまでバッテリーを充電するのに必要な時間はわずか10分間です。また25分以内でバッテリー容量を5%から80%まで充電することが可能です。
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