2021年6月23日は、ロータリーエンジンのマツダ787Bがル・マン24時間レースを制した日から30周年の記念すべき日だった。
メモリアルサイトを立ち上げ、プレゼントキャンペーンも行うなどマツダ自身も積極的にアピール。やはりマツダにとってロータリーエンジンは特別なものなのだと実感させられる。
ハイブリッドも2035年販売禁止 欧州がEVシフトにまっしぐらな理由は何か?
さて、そんな記念すべき日からすこし遡る2021年6月17日、マツダは「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づく、2030年に向けた新たな技術・商品方針を発表。
この中で注目を集めた発言と、そこから導き出される、発電用ではない(!)、駆動用エンジンとしてのロータリー復活について詳報する。
※本稿は2021年7月のものです
文・予想CG/ベストカー編集部 写真/MAZDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年8月10日号
【画像ギャラリー】2030年に向けたマツダの戦略をギャラリーでチェック!
■社運をかけたマツダの新戦略に「ロータリースポーツ復活説」が急浮上
来年春、ロータリーエンジンは復活する。MX-30のハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)のエンジンとして使われるのだ。
それはそれでビッグニュースだが、ここで使われるのは発電専用のロータリーエンジン。日産のe-POWERと同じく、タイヤを駆動する動力はバッテリーのみとなる。
過去の栄光を知る者としては複雑だが、どんな形であれ復活することが重要。市場に投入されることで開発、生産、進化のサイクルが再び回り始める。
RX-8生産中止後もロータリーエンジンは少人数で開発が進められていたが、すでにその規模も拡大している。
同時ではなく時間差はあるが、来年前半にはMX-30にロータリーを使ったシリーズHEVとPHEVが設定される。ロータリーエンジンは発電専用となるが、市場に復活することが大事。新たな歴史の始まりだ
さて、ここから本題。マツダは6月17日にオンラインで2030年に向けた新商品と新技術の方針説明会を開催した。その内容については後述するが、そこで今話題のe-fuel、水素燃料、バイオ燃料に関して注目の発言があった。
「これまでの技術の蓄積により、いつでも活用できる状態にある」(廣瀬一郎専務執行役員)というものだ。
マツダは水素ロータリーエンジンの開発を30年以上前から続けている。RX-8ハイドロジェンREをリース販売した実績もあるなかで、廣瀬氏の発言により、再び注目が集まっているのだ。
トヨタが水素エンジンのカローラスポーツで24時間レースを戦い、完走。これは脱炭素時代でも内燃機関に可能性があることを示したもので、トヨタの影響力は大きく、水素燃料に対する世間の関心は急上昇。
マツダ社内でも水素ロータリーの可能性を見直す機運が高まっているという。
水素ロータリーエンジン。やはり私達が見たいのは駆動用エンジンとしてのロータリーエンジンの復活。否が応でも期待が高まる
水素燃料は早期着火が弱点で、シリンダー内のヒートスポットで意図せず爆発してしまうことが技術的課題のひとつだが、ロータリーエンジンはその構造上、ヒートスポットができないことから水素燃料との相性がいいとされる。
「小規模ながら開発は進めてきました。世界が脱炭素に一気に舵を切ったことで“水素ロータリーは重要な技術”という見方が急激に広がっています」とマツダ関係者は言う。
駆動用エンジンとして使うロータリーエンジンの真の復活をマツダの多くの社員が望んでいる。
復活は何度も議論されてきたし、2015年の東京モーターショーでは次世代のロータリースポーツを示唆するRXビジョンを出展するなど、マツダはロータリーを諦めていない姿勢を表してきた。
「やると決めたら3年以内にプロトタイプは完成させられると思います。可能性が高いのは電動ターボを組み合わせるシステムでしょう」(前出マツダ関係者)
ネックとなるのはコストとそれに見合う需要が計算できるか。
つまり、水素ロータリーを商品化するだけの体力がマツダ自身にあるかどうかだ。高価で少数の限定モデルになる可能性もあるだろう。
●ハイブリッドの可能性も
ロータリースポーツ復活には、別のアプローチも考えられているという。
先に述べたとおり、来年春にMX-30のロータリーHEVとPHEVが登場するが、このシステムをベースにハイパフォーマンス仕様を開発するというものだ。
MX-30ではロータリーエンジンを発電専用に使うため、必要最小限のパワーに絞られるはず。
だが、ここがロータリーエンジンの面白いところで、ローターを2つ、3つ、あるいは4つと並べることでパワーを増やすことができる。その場合はロータリーエンジンも駆動に生かす「パラレルHEV」となるだろう。
「水素は気体の状態ではエネルギー密度が低く、パワーを出しにくい。ミライの高圧水素タンクは700Mpa(メガパスカル)だけど、これを飛躍的に増やすのは難しい。マルチローターのHEVやPHEVのほうが実現の可能性は高いかもしれません」と自動車評論家の鈴木直也氏。
かつて環境性能の低さで命運を絶たれたロータリーが、脱炭素の時代になって蘇るのだから面白い。
水素ロータリーかロータリーHEVか。昭和~平成のスーパーヒーローが令和に復活を遂げる!
環境性能の低さで存続を諦めたロータリーエンジンが、脱炭素化時代に注目のアイテムになるとは想像もできなかった。トヨタによる水素エンジンの強力なアピールが、ロータリーエンジンに向かい風を吹かせている
【閑話休題】マツダの水素ロータリー開発の歴史は30年以上に及ぶ
1991年に第1号車のHR-X、1993年にはHR-X2とロードスターの実験車を完成させるなど、マツダの水素ロータリー開発の歴史は長い。
2004年にはRX-8ハイドロジェンREが大臣認定を取得して公道走行を開始、2006年には国内リース販売も実現して計8台を納車した。
2008年にノルウェーでRX-8のモニター車の公道走行を開始し、2009年にはプレマシーでも水素ロータリーエンジン車のリース販売を行っている。
2003年にRX-8、2009年にプレマシーの水素ロータリー車を開発。どちらもリース販売を行い、実用化に成功している
■期待のストレート6+FRは来年春登場 マツダのさらなる近未来戦略を読み解く
6月17日に、マツダが2030年に向けての商品戦略の方針説明を行ったのは先にお伝えしたとおり。
そこでは2030年時点で電動化比率100%とし、そのうち電気自動車(BEV)を25%と想定していると発表。
つまり75%は内燃機関+電動化技術(HEV、PHEV、レンジエクステンダーEV)という現実的な計画を立てていることを明らかにした。
さらに具体的な商品計画にも踏み込み、2025年までにBEV3車種、PHEV5車種、HEV5車種をグローバルに投入すると公表。
ここでのHEVにはマイルドHEVは含まず、一方でトヨタからOEM供給を受けるモデルも含まれるとした。
2025年までにBEV3車、PHEV5車、HEV5車の投入を公表。2030年までに電動化率100%の目標も掲げている
2025年にはSKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャーを導入。車種に応じて大きさを変えられる
また、2025年以降にはマツダ独自のBEV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV用スケーラブルアーキテクチャー」を導入。
これは長さ、幅、バッテリー容量をフレキシブルに変化させられるベースユニットで、ここからも複数の新型BEVが生まれることになる。
直近のクルマの話では、ラージクラスの縦置き直6&直4エンジン+FR(および4WD)のプラットフォームが公開された。
数年前からその計画は公表されていたが、ガソリンエンジン+48VマイルドHEVとPHEV、ディーゼルエンジン+48VマイルドHEVの画像が公開されたことで、その対象となるマツダ6、CX-5、CX-8、CX-9の次期モデルはこれらのパワーユニットが搭載されることが明らかになった。
第一弾は新型マツダ6が有力で、来年春に登場する。
来年春登場予定の新型マツダ6がマツダ直6FRモデルの第1弾となりそうだ。3Lのガソリンとディーゼルエンジンを搭載する
直6エンジンはSKYACTIV-G(ガソリン)/D(ディーゼル)/X(ガソリンSPCCI)で、直4エンジン(縦置き)はSKYACTIV-Gのみ。
排気量は直6が3L、直4が2Lとなる。
スモールクラスもいずれ48VマイルドHEVが採用されていくことになるが、次期マツダ2への搭載が有力視されるSKYACTIV-Xは3気筒の1.5Lとなる。
6気筒の3Lを文字どおり半分にするもので、こうした効率の高さも今後のマツダの有効な手段となっていく。
前項で触れた発電専用ロータリーエンジンを使ったシリーズHEV、PHEVはMX-30に搭載して来年春以降順次登場する。
同じくロータリーエンジンのレンジエクステンダーEV(補助的に発電用エンジンを搭載するBEV)は少し遅れているようだが、それも開発は進んでいる。
スムーズに回り、振動が少ないロータリーは発電用エンジンに最適で、快適な走りを楽しめる。これも今後のマツダの大きな武器になりそうだ。
新型CX-5は2023年春頃デビューか。こちらもマツダ6と同様のパワーユニットを持ち、FRと4WDを設定。マツダ6、CX-5などとともにデザインも楽しみだ(画像はベストカー編集部による予想CG)
気になるのはロードスターの今後だが、こちらも電動化戦略の流れに入っており、次期型もしくはその次のモデルで電動化されることは確実。
内燃機関を用いたHEV、PHEVのほかBEVになる可能性もあるが、モデルは継続されるとのことでひと安心。
縦置き4気筒エンジンのマイルドHEVが有力視される未来のロードスター。どこまで軽くできるかが重要となる
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どんなヤツだよw