クルマのライバル関係は、時にセグメントを超え、カテゴリーまでも超越したものとなる。サイズや価格、キャラクターや流行り廃りなどで、現場の予想を超えるライバルが登場するなんてこともしばしばだ。今回は、販売絶好調のトヨタディーラーを脅かすライバル車を紹介していく。「コイツとは勝負したくない」という、トヨタ営業マンの心の声を聞いてみよう。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部
敵ながらアッパレ!! トヨタ販売現場を唸らせる憎いライバル車たち
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■三つ巴からガチンコ勝負へ 高性能ミニバンとの勝負は分が悪すぎる
e-POWERのなめらかな加速を味わえるセレナは魅力的
ミニバンカテゴリーでは、同格同士の相見積もりがよく起こる。ただ、ラージサイズのアルファード&ヴェルファイアとエルグランドは、現在圧倒的にアルヴェルの方が強いため、エルグランドがトヨタディーラーの脅威になることは、それほど多くないだろう。
しかしながら、サイズをワンランクつ下げて、ミドルサイズの箱型となると話は別。日産には「セレナ」がいる。ノア・ヴォクシーとの勝負になることが多いのだが、現在はなんとも分が悪い状態だ。
e-POWERの出来は素晴らしく、ハンズオフ機能を有するプロパイロット2.0も魅力的。加えて内外装の雰囲気も先進的で質感も悪くない。そして何と言っても、現在注文が可能で、納期が2カ月程度というのが、最も大きな魅力となっている。
自陣の切り札であるノア・ヴォクシーは、クルマの作り込みでは負けてはないものの、納期は長く、オーダーができない状態になることが多い。今、ミニバンを必要とするユーザーにとっては、買えないノアヴォクよりも、買えるセレナなのだ。
また、新物・初物の技術に及び腰になってしまうのがトヨタディーラー。アイサイト登場時と同じように、自社での同じような技術が登場しない限り、プロパイロットへのアレルギーも続くだろう。
ステップワゴンはどこへやら。ノアヴォクを扱うトヨタの目に、今はセレナしか映っていない。
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■クラウンエステートがあればなぁ 今はまだ勝負を避けたいSUV
さすがはAWDのSUBARY。降雪地域からの信頼は厚い
人気のSUVカテゴリーでは、トヨタラインナップも充実しており、ほとんど死角はない。他社のほとんどのモデルに対して対抗馬を持ち、その対抗馬で勝ち切ることができる状態だ。ただ1台だけ避けたいモデルがある。その名はスバルのフォレスターだ。
本格クロカンでもアーバンスタイルのクロスオーバーでもない、ステーションワゴンから派生したSUVに近いフォレスターとは真っ向勝負がしにくいのだ。ランクルやハリアー、RAV4あたりが比較対象にされることが多いようだが、白星にはあまり恵まれないというのが現場の声として上がってくる。
全国的に見ると特に降雪地帯での支持に恵まれており、北海道や東北地区の場合トヨタのSUVではフォレスターへのマークがかなり厳しくなっている状況だ。
事態を好転させるには、デザインや質感で勝負できる対抗馬を扱うことに限る。投入予定が後ろ倒しになっているクラウンエステートが販売されれば、フォレスターとのガチンコ勝負に勝機が見えてくるのではないだろうか。
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■いずえれはOEMを熱望!? 機能勝負では圧倒的な差を感じる
ルーミーより乗り心地や機能性はずば抜けているものの、価格帯がネックに
魅力的なプライスで支持を集めるルーミーは、もはやトヨタに欠かせない存在となった。出荷停止措置などもあったが、既に人気は回復済み。月販1万台近い販売の勢いも戻ってきている。
もはや敵なしとも思えるルーミーだが、トヨタ営業マンは別のクルマに羨望の眼差しを向けることが多い。それが、スズキのソリオなのだ。
販売台数こそダブルスコアでルーミーが圧倒するが、クルマの中身では逆にダブルスコアを付けられるかもと話す営業マンすらいる次第。それほどソリオには大きな脅威を感じているのだ。
トヨタ・ダイハツ蜜月度には及ばないが、トヨタとスズキはランディ(ノア)を供給する仲。もしかすると、ルーミーの名でソリオOEMを販売するなんてことが、今後起こりうるかもしれない。
トヨタ販売現場が恐れおののくライバル車は、須らく質のいいクルマである。こうしたライバル争いが起きるからこそ、日本のクルマはどんどんよくなっていくのだろう。数字では勝てないが、実力は上。そんなクルマの活躍を、今後も期待して待っていたい。
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