2021年のF1開幕戦で勝利を収めたメルセデス。しかしながら、それはチームの戦略やルイス・ハミルトンのタイヤマネジメントが組み合わさっての勝利であり、純粋なマシン性能でレッドブルRB16Bが上回っていることは明白と言えた。現にマックス・フェルスタッペンはフリー走行から予選まで全てトップタイムで終えている。
今後は“最速マシン”を持つレッドブルに、メルセデスが立ち向かっていく構図になることも十分考えられるが、メルセデスのトト・ウルフ代表曰く、チームはこういった状況に落ち込むどころか、むしろワクワクしているようだ。
■【F1分析:バーレーンGP決勝】ハミルトンの秀逸すぎるタイヤマネジメント……絶体絶命の状況を打破
「ある意味、チーム内にはこの新たな状況を楽しんでいるような雰囲気がある」とウルフは言う。
「そして理論上、レッドブルはあらゆるパッケージで先を行っている」
「我々はそこに追いつかなければならない。そのためにはより多くのパフォーマンスを引き出し、最高のレースをする必要がある。厳密に言えば、我々はコース上で2番目のマシンだ」
ウルフはまた、ペースの面でレッドブルに劣っていることに対処するのはそれほど厳しいことではないと語った。むしろ、彼はこの状況がファクトリーにいるスタッフ全員に力をもたらすことになったと感じている。
「追いかける立場を楽しめているのは、これが新たなシチュエーションだからだ。我々はこの機会を歓迎している」
「2013年以来、こういったことはなかった。そして私は2013年がとても好きなんだ。これはチーム内でも言っていることだが、(今は)私がチームに加入した当初と同じようなワクワクを感じている。あの時はレッドブルが支配していて、まさに4度目のタイトルを獲ろうとしていた」
またウルフは先日、マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンやレッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーを攻撃するような発言をして波紋を呼んだ件について釈明した。
ブラウンはメルセデスが2022年にドライバーラインアップを一新する可能性について示唆していたが、これについて地元オーストリアの媒体に質問されたウルフは、次のように答えていた。
「ブラウンはまるでクリスチャン・ホーナーのようだ。彼らの言っていることは戯言なので気にしない」
この発言は、一部の人間からはチーム代表仲間をあからさまに攻撃しているものだと解釈された。しかしウルフは母国語から英語に翻訳されて広まったこのコメントについて、実際の発言とは違う形で広まってしまっていると釈明した。
「私は彼らを共にリスペクトしている」とウルフ。
「あれは完全に間違った形のコメントになっている。文字通り翻訳に迷ったのだろう」
「私が言ったのは『彼らはお互いたわいもない話をしているだけだ』ということだ。『彼らの言っていることは戯言だ』と言うと少しニュアンスが違う。ザクはメルセデスファミリーの一員だし、友人のひとりだ。我々が話しているような冗談めいた話の内容について、彼を非難することは一切ない」
ウルフ曰く、チーム代表同士でこういった会話が行なわれることは、お互いにライバル意識があることの証明であり、F1に興味を持ってもらうための重要な要素のひとつだと語った。
「これは重要なことだ。なぜなら、こういった話をするのはライバル意識があってこそだからだ」
「我々は同じサーカスに所属をしていて、ファンや観客にエンターテインメントを提供する必要がある」
「しかしそこにはライバル意識もある。時にはそれが敵意にまで発展することもあるが、それもスポーツの一部だ。そして忘れてならないのは、これは単なるスポーツに過ぎないということだ」
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