リトラといえばスーパーカー
10月28日(土)から一般公開されたジャパンモビリティショー2023の一番人気は、マツダブースに展示された「マツダ アイコニックSP」であるのは間違いない。その秘密は、第1にリトラクタブルヘッドライト(=格納式前照灯、以後リトラ)が復活したこと。ステージ上では、左右になだらかに盛り上がったフェンダーの前部に取り付けられたリトラクタブルヘッドライトが、パカッと開いて点灯する様子を見ることができる。若い世代には新しいギミックに見えたかもしれないが、かつて同様のシステムを搭載していたランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「512BB」といった、スーパーカーブームの主役を知る世代の報道陣は、もうそれだけで感激ものだった。日本車でも、「トヨタ2000GT」やマツダ「サバンナRX-7」などの高性能スポーツカーが軒並み採用していただけあって、「リトラ=スーパーカー」的なイメージが、我々世代には脳裏に焼き付いているのだ。
モーターショーを彩る美女たち|総集編 【ジャパンモビリティショー2023】
その後は一般車にも浸透していき、実は筆者もリトラを採用していたホンダの2代目「インテグラ」を所有していたことがあって、点灯とともに光軸が路面をスッと伸びていく様子を見ているだけで、結構な満足感があったことを思い出す。現在では、対人事故の際の安全性や、展開時の空気抵抗の増大、開閉機構搭載による重量増とコストアップなど問題点が多く、採用する車種がなくなってしまっていたが、アイコニックSPは小型化が可能になった最新のLEDヘッドライトを採用し、開口部を極力薄くすることで現代に復活させたのだ。
心を動されるドアの開閉
第2は、上方に開くバタフライドアの採用だ。こちらもスーパーカー由来のもの。ガルウイングドア、シザードア、デュヘドラルドア、ラプタードアなど高性能スポーツカーが採用するドアの開閉形式はさまざまあれど、筆者を含めた前出の報道陣にとって、とにかく上側に開くドアは普通とは違う、心を動されるものがあるのだ。そして当然、若いクルマ好きのハートにも刺さるはずなのだ。また、ドアを開けて見えたインテリアのブルーが、鮮烈なヴィオラレッドのボディカラーとコントラストをなしていて、これもまたアピール度が高いのだった。
このまま市販してください!
そして第3は、ロータリーエンジンの復活だ。お披露目の初日、真っ白なベールに覆われたボディ後方の画面には2ローターが回転する様子が映し出され、そのアンベールによってスポーツカー+ロータリーエンジンというマツダのお家芸が戻ってきたことを宣言したのだ。これも感涙モノ。マツダによると、2ローター化したロータリーエンジンは発電専用で、走行のための直結モードがないプラグインハイブリッドとのこと。そこはちょっと残念なところではあるが、時代に合わせて進化していくためには必要だ。1450kgという軽い車重に対してモーター出力は370PS、パワーウエイトレシオ3.9kg/PSを達成しているというから走りも期待できる。マツダさん、このまま市販してください!
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