この記事をまとめると
■幅広い層に支持されるコンパクトカー
スプラッシュという帰国子女を覚えているか? 玄人絶賛の「欧州フレーバー」むんむんのコンパクトカーとは
■多彩なモデルがラインアップされている
■定義や特徴、人気の車種などについて解説する
市場でのニーズが高いコンパクトカー
エントリーカーやファミリーカーとして選ばれ、試運転初心者からシニアまで幅広い層に支持されるコンパクトカー。パワーユニットやボディタイプが多彩で魅力的なブランドが多いコンパクトカーについて、その成り立ちや定義、歴史、またメリット・デメリットなどを解説していきましょう。
そもそもコンパクトカーとは
“コンパクトカー”というワードはクルマ好きのみならず一般的にも広く使われています。ただ、コンパクトカーに厳密な条件があるわけではありません。車体寸法やパワートレインの定義が決められている軽自動車とは違い、かなりあいまいなジャンルです。
一般的にコンパクトカーとしてイメージされるクルマとは、以下の要件が備わるかと思います。
・全長4m程度 ・排気量は1~1.5Lくらい ・5ナンバーサイズ
いわゆる欧米でセグメントされる「Aセグメント(全長3.7mまで)」や「Bセグメント(同3.7~4.2m)」を指すケースが多いですがCセグメント(全長4.2~4.5m)に属するフォルクスワーゲン・ゴルフもコンパクトカーと思うユーザーも少なからずいるはずです。
このように明確な定義を記すのが難しいのがコンパクトカー。ざっくりですが、軽自動車ではなく、取り回しがよく運転しやすい小さなボディサイズや小排気量車がそれにあたると思われますが、今回はコンパクトカーを深堀りしていきましょう。
なお、今テーマでは“軽自動車以上(登録車)で排気量1.5L程度(※ハイブリッド車含む)の国産車をコンパクトカーと位置付けページを構成します。
コンパクトカーの歴史
国内においてコンパクトカーが誕生したのは1960年代に入ってから。1950年代後半に軽自動車規格が定められ、また通産省(現・経済産業省)が提唱した国民車構想をベースとし軽自動車よりも一回り大きく実用的な大衆向けの小型車として生まれたのが国産コンパクトカーの祖となります。
そんな歴史を元に考えるとコンパクトカーのパイオニアといえるのがトヨタ・パブリカでしょう。全長3580mm、水平対向2気筒エンジンを搭載したパブリカは発売当時大きな話題となりましたが、簡素すぎる装備やデザインが仇となり販売は低迷。その後、豪華仕様の追加やマイナーチェンジにより排気量拡大やデザイン刷新を行うこととなりました。
その後、日産・サニーやトヨタ・カローラ登場などいわゆる「大衆車」の成功や排ガス規制に対応したことを理由に国内外で人気を集めたホンダ・シビックなどが1970年代までに続々と発表されていきますが、1980年代に入るとリッターカーと呼ばれるジャンルが登場。
名前通り、1L程度のエンジンを搭載するリッターカーは現在までブランドが続く日産・マーチやダイハツ・シャレード、スズキ・カルタスなどがそれに当たります。リッターカーの多くにスポーツ仕様も用意されたことで、エントリーカーとしてだけでなく走りを重視する若者から大きな人気を集めました。
またリッターカーだけでなくホンダ・シビックやトヨタ・スターレット、日産・パルサーなどのコンパクトカーに設定されたスポーツ仕様はボーイズレーサーやホットハッチと呼ばれ走り屋の支持を得ています。
1990年代後半から2000年代以降、若者の人気は三菱パジェロなどのRVに集まったことでボーイズレーサーやホットハッチは一気に廃れてしまいました。またバルブ崩壊などの影響もあったのか、コンパクトカーは走りよりもファーストカーとしても使える実用性が重視される時代となったのです。
そんなユーザーからのニーズを備えたトヨタ・ヴィッツが1999年にデビュー。2001年にはセンタータンクレイアウトを備えたことで広い室内空間を実現したホンダ・フィットが登場するなどファーストカーになりうるコンパクトカーに注目が集まりました。
その後、トヨタ・アクアのような低燃費性能を売りとするハイブリッド車やスズキ・ソリオなどのように全高を高く取り広い室内空間を実現したハイトワゴンなどが現在までに登場。1990年代までほど車種は多くはないですが、GRヤリスのようなホットハッチも登場しています。
コンパクトカーのメリット・デメリット
まずはコンパクトカーの魅力やメリットを挙げていきましょう。
メリット1:取り回しが良いボディサイズ
安全性能などを理由に昨今登場するクルマはボディサイズの拡大が止まりません。初代が全幅1740mmだったBMW・X5の現行モデルはなんと全幅2mオーバー! 日本の道路環境では扱うのがイヤになるほどのボディサイズとなってしまいました。
その点、コンパクトカーであれば全長、全幅ともに使い勝手がよくより回ししやすいボディサイズに抑えられています。都心部や狭い道が続く住宅街などで利用しやすいメリットを備えています。
メリット2:リーズナブルな車両価格
新車をなるべく安く購入したいとなるとその候補はコンパクトカーになります。
日産マーチのエントリーモデル“S”は128万9200円、トヨタ・ヤリスのエントリーモデル“X・Bパッケージ”は139万5000円などコンパクトカーの新車購入価格は登録車のなかでは手に入れやすい値付けとなっています。
ちなみに軽自動車で人気が高いホンダ・N-BOXは一番リーズナブルな“G”で144万8700円。税金などの違いはありますが、コンパクトカーの価格がリーズナブルなことがわかりますね。
メリット3:ニーズに合わせて選択できる豊富なラインナップ
コンパクトカーを購入したいユーザーがみな安さだけを求めているわけではありません。
家族使いでミニバンがほしいけど駐車場のサイズが限られている、コンパクトなボディを活かしたキビキビ走るスポーティなモデルが欲しい、SUVを買いたい、経済的に使えるハイブリッドカーを購入したいなどコンパクトカーは様々なニーズに対応できるモデルが販売されています。
選択肢が多いことがコンパクトカーの大きなメリットではないでしょうか。
家族での日常使いにはハイトワゴンのスズキ・ソリオやダイハツ・トール、走りを求めるならスズキ・スイフト スポーツ、SUVもマツダCX-3やトヨタ・ライズなどが存在、燃費重視ならトヨタ・アクアなどのハイブリッド車を選択可能などなどコンパクトカーは目的に合わせ選ぶことができるためユーザー的にありがたいジャンルです。
ただ、コンパクトカーにもデメリットがいくつか存在します。
デメリット1:軽自動車より下取り価格が劣る
今どきの軽自動車は広い室内空間を誇っていることや先進安全装備を装着しているなどコンパクトカーに劣らない実用性を備えています。しかも、税金が登録車より安いメリットがありコンパクトカーの大きなライバルとなる存在です。
この軽自動車に対してコンパクトカーが劣るのが下取り価格。もちろん一部のSUVやハイブリッド車はリセールバリューが期待できますが、全体で見ると下取り価格が高いのは軽自動車で間違いありません。
デメリット2:インテリアの質感
コンパクトカーのメリットとして車体価格の安さを挙げましたが、それは登録車においてはエントリー部門を担う車種が多いため。そんなジャンルだけにインテリアに豪華さや質感を求めるとがっかり感を味わうことになります。
コンパクトカーの気になる維持費は?
コンパクトカーの購入を考えているユーザー的には、購入後の維持費が気になりますよね。 ただ、車種や駐車場の有無、ドライバーの年齢などで異なってきます。
そこで、コンパクトカーで人気のトヨタ・ヤリス“G”のガソリン車を例に、新車購入から3年後に車検を受けると仮定し、必ず必要な費用を挙げていきましょう。
・税金(自動車税):年間30,500円 ・自動車重量税:2,500円 ・自賠責保険:36,780円(購入時3年分として) ・車検費用:39,600円+α (検査手数料:1,800円+自賠責保険2年分:27,840円※これらに加えデーラーなどの車検依頼費が発生。また部品交換が必要な場合は別途必要)
自宅に駐車場を備えていた場合でもこれらの費用はかかってしまいますので、少なからず年間14万円弱かかることになります。
また駐車場がない場合は月極駐車場代、さらに任意保険、クルマを動かすためのガソリン代と購入者の状況に応じて値段が変わる諸経費が必要になります。
コンパクトカーを選ぶ3つのポイント
先程お伝えしたように、コンパクトカーは各メーカーから多彩なモデルが用意されています。 車両価格だけでないコンパクトカーの選び方を挙げていきましょう。
重視するポイントを明確にする
コンパクトカーとはいえどボディサイズやパワーユニット、車内寸法などブランドにより各車違いがあります。そのため、コンパクトカー選びに重要なポイントはあなたにとって一番何を重視するかということ。
例えば、家族4人で使用することが多いなら重視するのは室内の広さ。また走る距離が多いのであればハイブリッド車など燃費を重視するなど、明確なポイントを抑えておけばおのずと選択する車種が絞られてきます。
先進安全装備の有無
自動車業界において、ここ10年ほどで一番進化・普及した技術といえば安全装備でしょう。 衝突被害軽減ブレーキなど一昔前に比べると予防安全性能や衝突安全性能、またACCやハンドル操作サポートなどの運転支援システムが当たり前のように装備される時代になっています。
いまや日常的に運転する方はもちろん、週末ドライバーの方にも先進安全装備が備わるのは必須。いまコンパクトカーを買うなら先進安全装備が充実しているかどうかのこだわりは絶対に必要です。
本命、対抗車を設定
買うならこのブランドを! と明確に決めていない方は購入時に複数候補車をたてたほうがお得に購入できるケースがあります。
例えば、ホンダ・フィットがいいなと思った場合は日産ノートを競合車としてそれぞれの販売店で交渉したほうが値引きは期待できますし、またトヨタ・ルーミーとダイハツ・トールは兄弟車ですが人気は圧倒的にルーミーが上。ルーミを本命にトールを対抗として販売時に交渉すると好条件が提示されるケースがあるでしょう。
国内で人気のコンパクトカーブランド
トヨタ・ヤリス(2021年11月の新車販売台数:11,940台)
長年、トヨタのエントリーモデルとして販売されていたヴィッツの後を受け、2020年の登場したヤリス。とはいえ、元々、ヤリスはヴィッツの海外販売ブランドだったためある意味、3代目ヴィッツからのモデルチェンジともいえます。
全長3940mmと4mを切るコンパクトなボディに1L&1.5Lガソリンエンジンと1.5L+モーターのハイブリッドエンジンを搭載。
現在、コンパクトカー市場において抜群の人気を誇ります。
日産ノート(2021年11月の新車販売台数:9,412台)
現行モデルは2020年にフルモデルチェンジを受けて登場した3代目。パワーユニットを仙台モデルで好評だったシリーズ式ハイブリッド“e-POWER”のみとしています。
全長は先代から55mm短縮した4045mmですが居住性は十分。ラゲッジスペースも実用性抜群の広さを誇ります。
電動化によるスムーズな走りと静粛性が大きな特徴といえるコンパクトカーです。
ホンダ・フィット(2021年11月の新車販売台数:6,074台)
2001年にデビューして以来、人気ブランドとしてコンパクトカー界を牽引してきたフィット。2020年にフルモデルチェンジを受けた現行モデルは4代目となります。
初代からフィットの大きな特徴であるセンタータンクレイストは継承し、4m以下の全長ではありながらクラスの水準を超えた車内空間を現行モデルも実現。ファーストカーとして使うことができる実用性を備えています。
ただ、現行モデルは先代モデルまでの人気と比べると販売ややや苦戦気味。とはいえ広い室内を重視するユーザーにはオススメできる出来に仕上がっています。
よりどりみどりのコンパクトカー
日本はもとより欧州、アジアなどでも一番需要があるコンパクトカーは多くの魅力を備えたブランドが揃っています。
多彩なモデルが揃うコンパクトカーは本来、ひとまとめに取り上げるテーマではないかもしれませんが、購入を検討されている方はこの記事を見てメリットやデメリット、また選ぶポイントなど参考にしてもらい最適なモデルを選択してください。
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