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ハンドリング by ロータス 前編 キア・エランへ再試乗 オリジナルの美点を継承 

掲載 更新 15
ハンドリング by ロータス 前編 キア・エランへ再試乗 オリジナルの美点を継承 

韓国キアが生産を受け継いだM100

執筆:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】ロータスとキアの2代目エラン 最新ロータス・エミーラも 全89枚

撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ロータス・エキシージとエヴォーラは、生産が終了した。エリーゼが限定モデルで最後を飾る一方で、エミーラはまだ登場していない。エヴァイヤのオーダーが始まっているが、200万ポンド(3億1000万円)という価格が立ちはだかる。

新世代へ移行しようとしているロータスだが、われわれが体験できるのはもう少し先になりそうだ。それなら、過去のロータスを振り返るのも悪くない。

といっても、今回試乗したクルマは正式にはロータスではない。しかし、ロータスの技術がなければ、存在しなかったモデルではある。

それは、キア・エラン。欧州市場を見渡しても、現存台数は極めて少ない。英国で走れる状態にあるのは2台だけらしく、今回はその1台にご登場願った。ご存知の読者は、どれほどいらっしゃるだろう。

さかのぼること1995年、ロータスはM100型2代目エランの生産を終了。キアはロータスから生産を受け継ぐ一方、キア・ビガートという名前で韓国でも販売された。

聞こえは単純だが、実際は少々複雑な問題が生じていた。キアはM100の製造や販売の権利だけでなく、製造設備や工具まで一式を買取っていた。ところが、当時ロータスを所有していたゼネラルモーターズ(GM)が難色を示す。

キアは、買取った部品を使用できなかった。そのなかには、GM傘下にあったいすゞ社製のターボエンジンも含まれていた。ロータス時代のM100エランが搭載していた、164psのユニットだ。

一風変わったクラシックとしての色気

そこでキアは、1.6L 4気筒ターボエンジンの代わりに、自社製の153psを発揮する1.8Lアトモ・ユニットへ置換。テールライトも独自の部品に交換し、GM社製だったオレンジ色のメーターは、白地に黒文字のものへ変更した。

トルクステアへ対応するため、サスペンションも改良。当時は良好とはいえなかった、韓国の道路環境に合わせる目的もあったようだ。

さらにGMは、エランという車名の利用も認めなかった。それでもキアは、欧州でのロードスターの販売を模索。最終的に、キア・エランとして欧州市場へ上陸している。

筆者は、ベースとなった2代目ロータス・エランが大好きだったわけではない。走りの能力は間違いなく高かった。しかしクルマでの移動を、充分に楽しいと感じさせるほど速くはなかった。

FRの初代マツダMX-5(ロードスター)の方が、もっと楽しく手頃で、見た目も良かった。あえてFFのM100エランを買う理由が理解できなかった。実際、ロータスの期待とは裏腹に、市場全体も同じような考え方をしていたようだ。

しかし今見ると、一風変わったクラシック・スポーツの1台として、キア・エランには色気がある。想像以上に作りも良い。バネルのフィット感などは、ロータスが製造していたエランを超えると感じるほど。

トランスミッションには触れるべき点がないものの、エンジンはまったく悪くない。高回転域まで回す必要があるが、エランとして悪いことではない。レブリミット目掛ければ、エッジの効いた咆哮を響かせる。

ロータスの良さが受け継がれている

いすゞのターボエンジンより、重量も軽いのではないだろうか。ロータス・エランはアンダーステアが条件次第で出ていたが、キアはアクセルペダルを放してステアリングを切り込めば、ノーズを巻き込んでいける。

車高はロータス時代より高めてあるが、中国ブランドのタイヤを履いていても、コーナリング限界は驚くほど高い。不思議なほど乗り心地も良い。オリジナルの良さが受け継がれている。

外から眺めると、柔らかいサスペンションがボディを傾ける様子がわかる。しかし乗っている限り、しっかり抑制され正確な操縦性を楽しめる。大きなエアバッグが付いたステアリングホイールは見た目が悪いが、フィーリングも記憶以上に良かった。

それでは、もしキア・エランの中古車が豊富にあり、筆者が初代マツダ・ロードスターのオーナーだったとして、買い換えようと思うだろうか。恐らく答えはノー。ロータスのM100エランと同様に、改めて評価する部分は多い。でも恋には落ちない。

ただし、ロータス・エランとキア・エランが同じ条件で並んでいたとして、ロータスを選択するのが必ずしも正解だとは思わない。ブランドイメージが左右するとはいえ。

25年ぶりにM100エランを運転できて、うれしかった。新車時代は評価が伸びず、課題も少なくなかった。だがクラシックカーとして使い勝手は良く、個性が濃く、技術的な特徴も多い。

記憶に残るドライビング体験を味わえる、キア・エラン。今の時代にあって、従来以上に輝きを増しているように思う。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

15件
  • 2代目エランはFFってだけで価値が下がる、更にロータスのマークもないK国製になると偽物感が強くてまともな日本人は手を出さないだろう
  • >それは、キア・エラン。欧州市場を見渡しても、現存台数は極めて少ない。英国で走れる状態にあるのは2台だけらしく・・・

    つまり、そういう品質なんだろ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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