燃費改善や運転がしやすくなる制御を導入
今やN-BOXに次ぐホンダの屋台骨となっている(2019年1~6月実績。自販連、全軽自協調べ)コンパクトミニバン「フリード」が10月18日、デビュー3年目にして初のマイナーチェンジを実施する予定だ。
【開発陣に直撃】ハイブリッド4WDを実現したホンダ・フリードのパッケージングはどう進化したのか?
8月30日より、ホンダのWEBサイトでその新しい内外装や進化した安全技術、そして新たに追加されるクロスオーバーモデル「クロスター」の概要が公開されている(https://www.honda.co.jp/FREED/new/)が、走りの進化についても明らかになったのでお伝えしよう。
フリードは従来型も乗り心地と操縦安定性のバランスが良く、購入ユーザーからも好評価だというが、フリードの開発陣はそのハンドリングをさらにレベルアップさせるべく、電動パワーステアリングのセッティングを変更。60km/h以上で旋回過渡域のアシストトルクを減らし安定感を高めたほか、旋回後にステアリングから手を放したときの収れん性を高めることで、横風などの外乱に進路を乱されにくくしている。
パワートレインは引き続き1.5L直噴NAエンジン+CVT(以下ガソリン車)と、1.5Lアトキンソンサイクルエンジン+1モーター+7速DCTの「スポーツハイブリッドi-DCD」(以下ハイブリッド車)を設定するが、いずれにも2017年6月に行われたフィットのマイナーチェンジと同じ、フリクション低減策や燃焼改善技術が投入された。
そのうえで今回のフリードでは、触媒の貴金属量を増加。新しい燃費基準であるWLTCモードに対応しつつ、全グレードで「平成30年排出ガス基準75%低減」レベルを達成している。
ガソリン車のCVTにはさらに、ジェイドRSやシビック、新型N-WGNなどに用いられている「ブレーキ操作ステップダウンシフト制御」を採用。コーナー進入手前のブレーキングで自動的にシフトダウンし、立ち上がりの加速を容易にするだけではなく、下り坂でブレーキを踏んだ際も自動的にシフトダウンすることで、エンジンブレーキを積極的に使うようアシストしてくれる優れものだ。
そのほか、ガソリン車の3列7人乗り仕様に4WD車が追加されたのも、とくに要望が多かったという雪国のユーザーには朗報だろう。
エクステリアの変更点をより詳しく説明すると、まず標準仕様はフロントのバンパー、上下グリル、ボンネットが変更され、新型N-WGNやホンダeと共通路線のシンプルかつ上質な顔立ちに。アルミホイールは黒塗装部がダークグレーに、ハイマウントストップランプのレンズはクリアから赤に変更された。
機能を追加するなど安全装備も仕様変更に
「クロスター」はこれをベースとしながらも、フロントバンパーとグリルは独自のデザインで、さらに前後ロアスポイラー、フロントフォグランプ、サイドシルガーニッシュ、ルーフレール、専用アルミホイールも装着。ライセンスガーニッシュをダーククローム、ドアミラーおよびドアハンドルをシルバー仕上げとすることで、さりげなくSUVテイストを盛り込んでいるのがポイントだ。
内外装色の設定は、従来は6or7人乗りの「フリード」と5人乗りの「フリード+」とで分けられていたが、今回のマイナーチェンジからは標準仕様と「クロスター」とで設定を分けて差別化される。
ボディカラーは新開発色の「シーグラスブルー・パール」と「プレミアムクリスタルオレンジ・メタリック2」の2色を含む全9色となるが、「ルナシルバー・メタリック」と「ミッドナイトブルービーム・メタリック」は標準仕様のみとなる。
内装色は、明るいベージュをイメージカラーとしていた従来型から一転して、落ち着いた色味に統一した構成に。標準仕様は織物シート地のモカ内装を標準装備とし、織物&合成皮革「プライムスムース」シート地のブラック内装をオプション設定。
「クロスター」は柄やステッチ色が専用となる、織物&プライムスムースシート地のブラック内装のみが用意される。
単眼カメラとミリ波レーダーによる先進運転支援システム(ADAS)「ホンダセンシング」は、ハードウェアに変更はないものの「後方誤発進抑制機能」が追加されたほか、「標識認識機能」が英語併記の止まれ標識に対応。アダプティブクルーズコントロールの加減速制御も、より自然となるよう見直された。
極めてアバンギャルドな内外装を採用するトヨタ・シエンタに対し、フリードは今回のマイナーチェンジで内外装と走りの洗練度を高めつつ、「クロスター」という新たな個性派を加えることで、この強力なライバルに再度挑んでいく。コンパクトミニバンユーザーにとっては選択肢が広がり、より満足できる1台が選びやすくなりそうだ。
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