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3代目マツダ ロードスターはありそうでなかったスポーツカー【10年ひと昔の新車】

掲載 更新 12
3代目マツダ ロードスターはありそうでなかったスポーツカー【10年ひと昔の新車】

2008年、3代目マツダ ロードスター(NC型)がマイナーチェンジを受けた。等身大のスポーツカー、「人馬一体」のロードスターはこの時、どう進化したのか。Motor Magazine誌の興味深い考察を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年4月号より。写真手前がVS RHT(リトラクタブルハードトップ)、奥がソフトトップのRS 6速MT仕様)

等身大かつ日常的なスポーツカー
マツダ・ロードスターはギネスの世界記録を更新中だ。1989年にデビューして以来、これまでの世界累計生産台数は85万台を突破し、「世界でもっとも売れている2シーターオープンスポーツカー」として認定されている。ロードスターがどこの国のどんなスポーツカー愛好者にも熱烈に支持される最大の理由は、「等身大かつ日常的なスポーツカー」だからだと私は思う。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

歴代(3代)のロードスターに特別な仕掛け飛び道具はない。コンパクトで軽量なボディのFR、適度なパワーのエンジン。きわめてコンサバティブな作りだ。この重要なポイントをマツダはきちんと押さえ、代を重ねる毎に進化・熟成させてきた。もし無用なパワーアップをしたり、ボディをサイズアップしていたらロードターはギネスに載ることはなかったと確信する。

折りしも同じオープン2シーターのホンダS2000の生産が中止されるというニュースが飛び込んできた。S2000はホンダのお家芸である高回転高出力エンジンを搭載し、ホンダファンならずともスポーツカーファンを大いに喜ばせたが、いささか日常性に欠ける、つまりデリケートに過ぎるところがあった。デビュー時のキャッチコピーは「本籍はサーキット」。そう聞けば大半のユーザーは尻込みしてしまうだろう。

マイナーチェンジでさらなるブラッシュアップ
それはさておき、今回のお題は3代目ロードスターのマイナーチェンジモデルである。3代目は各部品の重量をグラム単位で算出し、涙ぐましいほど徹底した軽量化を図るとともに高剛性ボディを構築したことで話題を呼んだ。もはや完成形ともいえる仕上がりだったが、今回のマイナーチェンジでさらなるブラッシュアップが施されている。

まずエクステリアでは従来のオーバル形のフロントグリルをマツダのファミリーフェイスであるファイブポイントグリルに変更。サイドビューはサイドシルガーニッシュにキャラクターラインを加えリアバンパーへ連続させて安定感を強調。リアバンパーはボディとの一体感を強めたニューデザインとなった。

なお、RHT(リトラクタブルハードトップ)はソフトトップとフロントグリルの意匠が若干異なる。RHTはクロームメッキで縁取ったメッシュタイプでソフトトップはフィンタイプとなる。

インテリアはメーターパネルの変更をはじめ、質感を向上させた。

そして新型ロードスターの最大の目玉はエンジンの500rpm高回転化である。それはクランクシャフトを鍛造スチール製としたため剛性が向上したことによる。さらにエンジン音の演出にも手が入っている。具体的には吸気音を増幅させてコックピットに導く方法で、アクセルオンの時だけ作動する。

トランスミッションは6速MT(ベースモデルは5速MT)と6速ATだが、こちらも細部が改良され、前者は3-4速のシンクロのサイズアップ、後者はAAS(アクティブ・アダプティブシフト)と呼ぶ、スポーティ走行時に積極的なシフトを自動的に行うシステムが全車標準装備となった。

さて、試乗はマツダの鶴見研究所をスタートし、横浜経由で逗子までの往復。往路は6速ATのVS RHTを選択した。この電動トップ仕様は受注の80%に達しているという。耐候性やセキュリティの面を考慮するとやはりこちらが売れ線だろう。首都高速に進入するまでの渋滞路で車体サイズのコンパクトさに安堵する。

右アップ、左ダウンのステアリングシフトスイッチを駆使して遊ぶもよし、Dレンジに入れっぱなしもまたよしである。エンジンのサウンドは確かに気持ちよさを増していた。コーナリングの気持ちよさもまたしかりだ。これはフロントサスペンションのリファインによるもので、自然なロール感を伴い、従来型に散見されたばたつき感も抑えられ、キャッチフレーズの「人馬一体」にさらに近づいた。

復路で乗った6速MTのソフトトップRSは元祖(オリジナル)ロードスターと呼ぶべきモデル。しゃきしゃきと左手、左足をリズミカルに動かして走るのは老化防止に効き目があると思う。結論。ロードスターは誇り高き日本車。ベテラン中高年ドライバー(女性も含めて)にお薦めしたい。きっと若返りますよ。(文:Motor Magazine編集部/写真:村西一海)

マツダ ロードスター VS RHT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4020×1720×1255mm
●ホイールベース:2330mm
●車両重量:1160kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:119kW(162ps)/6700rpm
●最大トルク:189Nm/5000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:11.8km/L
●車両価格:295万円(2009年当時)

[ アルバム : マツダ ロードスター 3代目NC型 マイナーチェンジ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

12件
  • NC形に乗っているがスタイルも含め満足している。
    電動ハードトップはストレスなくフルオープンになり走行中も風の巻き込み、騒音も無く快適。曲線の多い威圧感の無いデザインも気に入っているし、スピードは出さなくても一体感が十分楽しめる軽快な動きで四季の美しい景色を楽しんでいる。
  • 初代から現行型までそれぞれファンがいるだろう。
    自分はNCだなぁ。大人っぽい雰囲気が好き。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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