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BMW製パワートレインを搭載した新型スープラに試乗! 日本とドイツの自動車メーカーがタッグを組んだクルマの味付けは?

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BMW製パワートレインを搭載した新型スープラに試乗! 日本とドイツの自動車メーカーがタッグを組んだクルマの味付けは?

トヨタ スープラ、17年ぶりの復活である。BMWとの包括提携によって2012年に共同開発プロジェクトが動き始めたというから、発売までに実に7年もの歳月を要したということになる。

トヨタ スープラ/BMW Z4姉妹にとっての仮想敵は、ずばりポルシェ・ケイマン/ボクスターだ。ミドシップのポルシェにFRの駆動方式で対抗しようと編み出した策が、ホイールベース(2470mm)をトレッド(前1595mm/後1590mm)で割った数値、すなわちホイールベース/トレッド比を1.55にすることだったという。一般的にこの数値が小さくなればなるほど回頭性が良くなるが、一方で直進安定性が悪くなる傾向にある。

2.0リッターでも楽しい!速い!面白い!──新型トヨタ スープラ試乗記 Vol.2 小川フミオ編

ちなみにケイマンのホイールベース/トレッド比は1.62、同様にFRのフェアレディZが1.62、トヨタ86が1.68、先代のZ4が1.64となっている。スープラはなんと格下の86よりもホイールベースを100mm短くしてこの数値を実現している。先日発表されたばかりの新型911(タイプ992)が1.54にまで追い込んできたというから、その狙いは間違っていなかったということだろう。

スープラの成り立ちとしては、この新設計のプラットフォームに、BMW製のパワートレインを搭載し、独自の内外装デザインとシャシーチューニングを施したモデルということになる。

グレードは340ps/500Nmを発揮する3リッター直6エンジンを搭載するトップグレードの「RZ」。258ps/400Nmの2リッター直4エンジンに、RZと同じく電子制御サスペンションやハイスペックタイヤのミシュランパイロットスーパースポーツを備えた「SZ-R」。そして最廉価版の197ps/320Nmの2リッター直4エンジンを搭載する「SZ」の3種類になる。トランスミッションは全車8速ATで、これらのパワートレインはいずれもBMW製だ。

まずは国内受注の7割を占めるというRZに乗った。BMWの直6らしく、低回転域から大トルクを発揮し、気持ちよく高回転へと吹け上がる。もう少しエグゾーストノートが聞こえればいいのにと、試乗後に開発責任者の多田哲哉氏に尋ねると、年々厳しくなる車外騒音規制によって日本や欧州仕様は米国仕様よりも音量が抑え気味になっているという。ただ対処法もあって、ユーザーが自身でアフターパーツに交換するぶんには規制が緩和される。そこでいまスロベニアのマフラーメーカー「アクラポヴィッチ」とマフラーを共同開発しているようで、音にこだわるユーザーにはそれへの交換をすすめするとのことだった。アクラポヴィッチは二輪の世界ではつとに有名で、MotoGPやスーパーバイクのワークスチームがこぞって採用しており、最近ではBMWが市販のバイクでも純正装着していることでも知られる。

「RZ」は、走行モードや路面状況に応じて減衰力を電子制御するアダプティブ・バリアブル・サスペンションシステムを搭載しており、19インチタイヤを純正装着するにもかかわらず乗り心地は良好だった。ダンパーはトヨタのスポーツカーとしては初採用となるモンロー社製で、同じグループのオーリンズの技術が使われているという。Z4も同じものを使うが、減衰特性にはスープラ独自のチューニングを施している。またアクティブディファレンシャルを備えており、ワインディングをそれなりのスピードで走っている分にはドライバーを軸にぐいぐい曲がる感覚で旋回性も高い。限界特性まではクローズドな場でないと見極めが難しそうだ。

「SZ-R」は、RZと共通のシャシーで、タイヤは同銘柄のミシュランながら18インチと1インチ小さいものを履く。4気筒258psでもパワーは十分。RZより車両重量が70kg軽いこともあって軽快感はこちらのほうが上だ。スープラは絶対に6気筒じゃなきゃというこだわり派でなければSZ-Rがいいかもしれない。ちなみに、このスープラを開発したマスタードライバーは、自身で乗るのにこの仕様を選んだという。

「SZ」は、電子制御サスペンションもつかないし、タイヤサイズは17インチゆえ車両重量はRZ比で110kgも軽い。3モデル中唯一、ランフラットタイヤが標準装着されるため、乗り心地は少々バタつく場面もあったが、いかにも素のモデルらしい軽快感にあふれている。多田氏によると、SZはチューニングベースにという意図を込めての設定だそうで、もちろんそのまま街乗り仕様にしてもいいし、RZとちょうど200万円ある価格差を考慮してチューニング費用を捻出すれば、面白い仕様ができそうだ。

そして、多田氏はこんな話をしていた。「BMWの開発陣ともよく話したのが、そもそもオープンとクーペでボディを作りわけて、チューニングも違えばおのずと味わいは違ってくる。せっかく一緒にやるのだからこれまでのBMWの、そしてトヨタの範疇を超えるような、BMWとトヨタの両方のお客さまから、いいものができたと言われるようなクルマを作りたいと」。

もちろんまだ進化や改善の余地はあるけれど、その目標はしっかりと達成されているように思う。

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