5月19日から20日にかけて行われたスーパーフォーミュラ第2戦九州大会。2024年シーズンは例年より約1ヶ月早い開幕ということもあり、第2戦まで2ヶ月間が開くことになった。舞台は大分県日田市にあるオートポリス。チャンピオンの完勝だった開幕戦とは異なり、第2戦では嬉しさと安堵の涙が光る1戦となった。(文:河村大志/写真提供:日本レースプロモーション)
テオ・プルシェールの代役としてベン・バーニコートが参戦
2024年シーズンの注目選手の1人として名前が上がっていたテオ・プルシェール。昨年のFIA F2を制した逸材がITOCHU ENEX TEAM IMPULからスーパーフォーミュラに参戦し、注目を集めていた。
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開幕戦では初めてのマシン、未経験のサーキットなどスーパーフォーミュラへの適応に苦しみリタイア。第2戦からの走りに期待が集まっていたが、今大会の1週間前にNTTインディカー・シリーズに参戦しているアロウ・マクラーレンとの正式契約を結び、スーパーフォーミュラのフル参戦を取りやめることを発表したのだ。
プルシェールの離脱によりシートが空いたインパルは、ベン・バーニコートの代役参戦を決断した。バーニコートはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTD Proクラスでチャンピオンを獲得し、今年もLexus Racing USAのファクトリードライバーとして同クラスに参戦している。
昨年12月にスーパーフォーミュラのルーキーテストに参加をしていたものの、フォーミュラカーのレースに出るのは実に4年ぶりというバーニコート。わずか数日で契約合意と準備を済ませ、オートポリスにやってきた。
GT3の使い手として活躍し、フォーミュラでのレースはブランクがあるバーニコートだが、ルーキーテストではトップタイムを出すなどポテンシャルは十分だ。
しかし、本人は今季IMSAに集中したいと明言しており、スーパーフォーミュラへの参戦は今回のみという。第3戦以降のドライバーは後日アナウンスされる予定だ。
岩佐歩夢が大差をつけ初のポールポジション獲得!
土曜日に行われた予選では、開幕戦で悔しいデビューとなった岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が早くもポテンシャルの高さを見せつけた。
予選Aグループに振り分けられた岩佐は、1分27秒570をマーク。好タイムを記録するも、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が上回り、岩佐はグループ全体2位でQ2進出を果たした。
Bグループには岩佐のチームメイトであり、開幕戦ウィナーである野尻智紀(TEAM MUGEN)が出走。こちらもグループ3位のタイムを出しQ2に進出を決めている。Bグループではフリー走行から好調の牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップ、開幕戦で自身初のポールポジションを獲得した阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が2番手と野尻を上回っている。
ポールポジションが決まるQ2は残り3分となったところで各車アタックを開始。文字通り一発勝負は僅差の戦いが繰り広げられると予想された。
しかし、そんな中、驚異的な速さを見せたのが岩佐だった。1分26秒632という2位にコンマ3秒もの大差をつけ、スーパーフォーミュラでの初ポールポジション獲得。経験のないオートポリスで素晴らしい走りを披露した。2位に牧野、3位には山本尚貴がつけている。
2024年 スーパーフォーミュラ 第2戦 予選結果(Q2)
1 15 岩佐歩夢 TEAM MUGEN 1’26.632
2 5 牧野任祐 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 1’26.970
3 64 山本尚貴 PONOS NAKAJIMA RACING 1’27.046
4 38 阪口晴南 VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING 1’27.047
5 16 野尻智紀 TEAM MUGEN 1’27.063
6 36 坪井翔 VANTELIN TEAM TOM’S 1’27.079
7 6 太田格之進 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 1’27.094
8 8 福住仁嶺 Kids com Team KCMG 1’27.333
9 3 山下健太 KONDO RACING 1’27.412
10 7 小林可夢偉 Kids com Team KCMG 1’27.538
11 39 大湯都史樹 VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING 1’27.730
12 37 笹原右京 VANTELIN TEAM TOM’S 1’27.857
ついにやった!牧野任祐がスーパーフォーミュラ初優勝
決勝日は快晴で、気温24度、路面温度38度のドライコンディションの中行われた。41周の決勝レースは2番グリッドの牧野がリアクション、蹴り出しともに素晴らしいスタートを決めトップでターン1を通過。一方、ポールシッターの岩佐はまずまずのスタートを切るも牧野に先行を許す。岩佐は牧野を意識しすぎたか、アウト側から山本にもパスされ3位に後退してしまった。
トップにたった牧野は序盤からハイペースでレースをリード。ピットウィンドウが開く10周目には2位の山本に5秒もの大差をつける走りを見せた。
牧野に逃げられてしまった山本は岩佐を従え周回するが、10周目にピットインを敢行。上位では山本と太田が真っ先に動く格好となった。
山本がピットに入り、クリーンエアを得た岩佐は牧野を猛追。レース折り返しとなる20周目には3秒差にまで迫っていた。しかし、以降は両者のギャップは縮まらず、徐々にタイヤの消耗によりラップタイムが落ちていく。
このタイミングでトップの牧野と2位の岩佐が同時にピットイン。24周目にタイヤ交換を行うと、牧野は山本の前(実質のトップ)でコースに復帰。しかし、岩佐は山本と太田の後での復帰となり、再び牧野の先行を許す形になってしまった。
岩佐はタイヤのアドバンテージを活かし太田をパスし山本に狙いを定めていく。早く山本を攻略し、牧野を追いたい岩佐だったが、ストレートスピードが伸びず苦戦。岩佐は残り8周でようやく山本を攻略するも、牧野とは13秒もの大差がついていた。
岩佐は最後の最後までアタックを続けたが届かず。独走でチェッカーフラッグを受けた牧野が参戦6年目にしてスーパーフォーミュラ初優勝となった。力走を見せた岩佐は8秒ものギャップを詰めるも5秒足りず2位、3位には岩佐と同様に追い上げを見せた坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が入った。
嬉しい初優勝となった牧野は感情を爆発させ、チームスタッフと抱擁。初優勝を噛み締めていた。さらに、ランキングにおいても野尻とポイントに並び、ポイントリーダーに浮上している。
2024年 スーパーフォーミュラ 第2戦 決勝結果(トップ10)
1 5 牧野任祐 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 41LAPS
2 15 岩佐歩夢 TEAM MUGEN +5.565
3 36 坪井翔 VANTELIN TEAM TOM’S +8.978
4 64 山本尚貴 PONOS NAKAJIMA RACING +25.812
5 6 太田格之進 DOCOMO TEAM DANDELION RACING +26.311
6 38 阪口晴南 VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING +28.385
7 3 山下健太 KONDO RACING +29.385
8 8 福住仁嶺 Kids com Team KCMG +30.041
9 16 野尻智紀 TEAM MUGEN +0.286
10 7 小林可夢偉 Kids com Team KCMG +31.419
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