現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 小型軽量の「ロータリー」が最適解! マツダの技術はレンジエクステンダーEVにぴったりだった

ここから本文です

小型軽量の「ロータリー」が最適解! マツダの技術はレンジエクステンダーEVにぴったりだった

掲載 更新 19
小型軽量の「ロータリー」が最適解! マツダの技術はレンジエクステンダーEVにぴったりだった

 燃費で劣るロータリーエンジンは動力源としては不利だった

 ロータリーエンジンは、燃焼室の形状が長方形になり、通常のレシプロエンジンの円形に比べ形が悪いので、完全燃焼させにくい。点火プラグから燃焼室の端までの距離が、長辺と短辺で異なるからだ。短辺で燃焼を終えても、長辺の燃焼が終わり切らないうちに排気行程へ進んでしまう懸念がある。したがって、永年にわたりロータリーエンジンは燃費で苦労してきた。

RX-7&8だけじゃない! バスやトラックまであるマツダのロータリーエンジン搭載の「意外な」モデルたち

 一方、あまり回転数を上げなければ燃焼効率を高める可能性はあり、また燃焼室が回転することで移動するため、燃焼温度が高くなりすぎることがなく、水素エンジンとしての可能性もレシプロエンジンに比べて高い。あるいは燃料の質にあまりこだわらないので、排出ガス浄化性能はともかくも、さまざまな燃料でエンジンを回すことができるので、災害時などの緊急用としても役立つ可能性がある。

 以上のような特性を踏まえ、ロータリーエンジンを電気自動車(EV)のレンジエクステンダー(走行距離延長)用の発電エンジンとして、マツダは今秋MX-30に採用する予定だ。

 省スペースなロータリーはレンジエクステンダーにもってこい

 ロータリーエンジンを発電に使う着想は、NSUを系譜に持つアウディも、試作車のA3 e-tron(イートロン)に採用したことがある。そしてマツダも、デミオEVの実験車でかつて実証試験をしていた。それに試乗した経験がある。

 1ローターの専用ロータリーエンジンを改めて新開発し、デミオEVに車載したレンジエクステンダーは、1ローターエンジンを水平に搭載し、もともと振動の少ないロータリーエンジンを、さらに独楽のように横へ回転させることによって振動を抑えていた。したがって、発電用エンジンが作動しても、それに気づかないほどであっただけでなく、後席に座っていてようやく排気音が聞こえる程度で、静粛性もEVらしさを阻害しないほどであることを、試作エンジンですでに実証していた。

 その快適性は、アウディA3 e-tronの試作車と比べても群を抜いており、永年にわたりロータリーエンジン車を量産市販してきたマツダの知見が凝縮されていると思った。また、燃料タンクを含めた全体の構成は、小さくまとめられ、たとえば日産リーフの荷室床下にも車載できるのではないかと思えるほどであった。

 リチウムイオンバッテリーの原価はなお高いとされ、小型車でのEV普及はなかなか進みにくいが、バッテリー車載量を実用の範囲で限定し、急速充電の間に合わないときにはレンジエクステンダーでその場をしのぐ発想で考えると、1ロータリーエンジンを活用するレンジエクステンダー機能は、マツダが部品供給メーカーとして他社へ展開してもいいと思えるほどの出来栄えだったのである。

 当時、私はマツダの開発者たちへ「車体メーカーとして完成車を製造するのに加え、部品メーカーとしてこのレンジエクステンダーを販売する道を探ってはどうか?」と進言した。

 その後、マツダはSKYACTIVでエンジンに舵を切り、EV開発を止めてしまったようだが、このレンジエクステンダーの資産は実にもったいないと思い続けてきた。そしていよいよ、それが今秋実現するのかと思うと感無量である。

 ロータリーエンジンを、そのまま動力源として使ってクルマを走らせるには燃費の問題を含め時代にそぐわないだろう。しかし、得手を伸ばす手法で活かす道は残されている。いまこそ、マツダのロータリーエンジン技術が広く社会に貢献できるときではないか。

こんな記事も読まれています

ホンダGL400/CX500[名車バイクレビュー] 1970年代終盤、ホンダが大攻勢に出た切り札は意外にもOHVエンジンだった!
ホンダGL400/CX500[名車バイクレビュー] 1970年代終盤、ホンダが大攻勢に出た切り札は意外にもOHVエンジンだった!
WEBヤングマシン
雨の日の死傷事故は晴れの日の4倍!? いま濡れた路面でもきちんと止まる「低燃費タイヤ」が増えている理由とは
雨の日の死傷事故は晴れの日の4倍!? いま濡れた路面でもきちんと止まる「低燃費タイヤ」が増えている理由とは
VAGUE
これは便利だ! サイズ調整できる傘型サンシェード
これは便利だ! サイズ調整できる傘型サンシェード
月刊自家用車WEB
日産「新型2ドアクーペ」発表! 「匠の手組みエンジン」搭載&迫力フェンダー採用! 深夜な“紫”も超カッコイイ「Takumi Edition」米に登場
日産「新型2ドアクーペ」発表! 「匠の手組みエンジン」搭載&迫力フェンダー採用! 深夜な“紫”も超カッコイイ「Takumi Edition」米に登場
くるまのニュース
いざ冒険の旅へ。スバルで巡る八丈島ドライブ【フォレスター・クロストレック】
いざ冒険の旅へ。スバルで巡る八丈島ドライブ【フォレスター・クロストレック】
グーネット
ハンドメイド「タイレルP34」とF3000「レイナード93D」を7月14日開催「サンブレフェスタ(道の駅おおた)」に展示決定!
ハンドメイド「タイレルP34」とF3000「レイナード93D」を7月14日開催「サンブレフェスタ(道の駅おおた)」に展示決定!
外車王SOKEN
待たせたな!! [新型フォレスター]は燃費大幅アップ間違いなし! スバルの次世代[e-BOXER]はトヨタのTHSをついに搭載へ
待たせたな!! [新型フォレスター]は燃費大幅アップ間違いなし! スバルの次世代[e-BOXER]はトヨタのTHSをついに搭載へ
ベストカーWeb
「高速のコース特性」が原因か。ルクレールとサインツがスペインGPの苦戦は上海に似ていると分析
「高速のコース特性」が原因か。ルクレールとサインツがスペインGPの苦戦は上海に似ていると分析
AUTOSPORT web
ベスパ「LX 125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ベスパ「LX 125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
一人でくつろぐには最高の空間! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
一人でくつろぐには最高の空間! スズキ エブリイがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
受注停止で待てないから即納中古は!? [ヤリスクロス]の中古がとんでもないことになっていた
受注停止で待てないから即納中古は!? [ヤリスクロス]の中古がとんでもないことになっていた
ベストカーWeb
HRC USが2025年からメイヤー・シャンクと提携しIMSAでの役割を拡大。2台のARX-06を投入へ
HRC USが2025年からメイヤー・シャンクと提携しIMSAでの役割を拡大。2台のARX-06を投入へ
AUTOSPORT web
WTRアンドレッティ、2024年限りでアキュラ/HRC USとの提携を終了「別の方向に進む必要がある」
WTRアンドレッティ、2024年限りでアキュラ/HRC USとの提携を終了「別の方向に進む必要がある」
AUTOSPORT web
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
なんで!? バカ売れ[ヤリスクロス]も樹脂パーツだらけ!! 最近の新車に多いワケ
ベストカーWeb
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
井戸田潤、メルセデス・ベンツ絶版「Gクラス 320」ショートボディに一目惚れで購入決断!?
グーネット
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
履き替えた古いタイヤってどこいくの!?!? 廃タイヤの99%がキチンとリサイクルされている衝撃!! じつは超絶エコだった
ベストカーWeb
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
総額100万円以下で買える!コスパ+アルファの中古ミニバン5選
グーネット
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
ショウエイヘルメット、アレックス&マルク・マルケスと2026年まで2年間の契約更新/MotoGP
AUTOSPORT web

みんなのコメント

19件
  • 燃焼室形状が悪いという問題が低回転なら消えるわけじゃない。
    排ガスの汚さは「置いといて」いい問題でもない。

    そして、燃焼室が移動することによる熱損失は、そのまま燃費の悪さになり、低回転維持なら燃焼温度を維持するのに苦労する事になる。

    程振動でコンパクトは確かにメリットになるんだけど、効率と環境面でのデメリットを抑えられなければ、トータルで採用にはならないだろう。

    もともと、北米ではレンジエクステンダー(REX)のはずだったけど、米国マツダ社長の発売予告は一歩引いてPHEV。

    ULEV認証を得られなかったから、REXを名乗れなくなったんじゃないか?
  • 同出力のレシプロより効率が劣ることは明白なのに。
    熱効率の数字すら紙面に出せないようなら語るに値せず。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村