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22番手から10位にジャンプアップを見せた佐藤琢磨「今日はスタートからかなり攻めていった」

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22番手から10位にジャンプアップを見せた佐藤琢磨「今日はスタートからかなり攻めていった」

 インディカー13年目のシーズンを新チーム、デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングに移籍して臨むことになった佐藤琢磨。そしてその初戦がなんと自身のインディカー参戦200戦目という節目のレースとなったセント・ピーターズバーグ。ベテランの琢磨がどんなレースを見せるのか必然と注目は集まった。

 セント・ピーターズバーグに来るまでのテストは1日のみ。

インディカー開幕戦はマクラフランがキャリア初優勝。琢磨は狙い通りのジャンプアップ

「不安半分、期待半分だった」というテストはまずは無事に終わり、課題を残しながらもチームとともに開幕戦を迎えることになった。

 金曜日にFP1が45分、土曜日にFP2の45分と予選をやり、日曜日に45分のウォームアップ走行を終えたら、もうレースを迎えてしまう。コロナ禍以降スケジュールの短縮化が顕著であったが、今年もその傾向は続く。

 しかしサーキットの場内は金曜日から観客であふれて、観客は3日間で20万人を越えた。しかもマスクで顔を覆うファンの姿はほとんどない。

 金曜日のプラクティスは18番手というタイムに収まった琢磨だったが、落ち込んでいる様子はない。むしろ笑顔もこぼれるほどだ。

「出だしはスローかもしれないけど、まずは順調にいきました。クルマは安定志向なんだけど、どこまでアグレッシブにできるかですね……」

 1周が1分あまりのセント・ピーターズバーグでは、各マシンの差は僅差。0.1秒の差がグリッドに大きく影響する。

 ドラマが起きたのは土曜日だった。午前のプラクティス走行の途中でジャック・ハーベイがクラッシュし赤旗の後、セッションが再開。その直後に琢磨の背後からスピード上げて来たロマン・グロージャンが追突! 琢磨のマシンはサスペンションやアンダーフロアが壊れ、その場でセッション終了。再度赤旗となった。

 さすがの琢磨もこの時は「彼が何を考えていたのかわからない」と辛辣なコメント。もっと大きかったのは走行時間を失い、レッドタイヤを履いて走行できなかったことだ。

 案の定、午後の予選で琢磨は苦しむ事になる。グループ2で予選に臨んだ琢磨は、ブラックではトップ6に入っていたものの、レッドに履き替えてコースに出ると、アタックラップでジミー・ジョンソンに引っ掛かり、タイムを出すことが出来ずにグループ11番手に沈んだ。

 総合では22番手のグリッドに「やはりプラクティスでレッドを履けなかったのが大きかったですね。内圧の設定とか手探りのままだったし」と浮かない表情だった。

 昨年レイホール・レターマン・ラニガンでレースしていた時は、決勝当日のウォームアップで息を吹き返すようなことがあったが、今年はどうだろうと興味が湧いた。

 朝のウォームアップで琢磨が出したタイムは10番手。ペースは良いようだ。

「昨日からセッティングは変えていますけど、良い動きになりました。もし予選が4番手、5番手で優勝を狙えそうな時だったら、もっと攻めたセッティングにしていくかもしれないけど、今はステビリティがあるレースで良いペース走れるクルマが先決」

「実際に今もトップ10だし、このスピードがあればレース展開次第だけどトップ10まではいけるクルマだと思う」と琢磨。

 短い時間でマシンのツボを抑え、レースで戦うスピードまで仕上げて来たのはベテラン琢磨の真骨頂というところだろうか。


■決勝は琢磨らしいレース展開に

 レースではさらに琢磨らしいレースを見せた。スタート直後に19番手まで上がり猛然とプッシュ。ブラックタイヤで走りながら、前方のマシンがレッドタイヤからブラックに変えるためにピットインする隙を見計らって、どんどんと順位を上げた。

 イエローコーションもないのに12周でトップ10内に入り、2ピットを見越して燃費とタイヤをセーブしながらの追走だった。

 このレースのイエローコーションが思惑より少し早く出てしまったことが、唯一の計算外だった。あろうことかチームメイトのデイビット・マルーカスがターン3でウォールにヒット。その修復に予想以上にイエローが長かったのが幸いした。

 25周から32周の間にイエローが出て、琢磨はその隙にピットに入り、20番手付近まで順位を落とすことになるのだが、燃費的には2ストップをウインドウに入れることになんとか成功した。

 この後は変えたレッドタイヤを持たせながらレースを戦うこと集中すれば良い。


 この日琢磨の周りにいた1台がRLLのカーナンバー30、クリスチャン・ルンガーだ。昨年までの琢磨のクルマに乗るルーキーとのバトルは、興味を惹かれる。最初のスティントは琢磨が前で、最後のスティントはルンガーが前だった。

 さらに残り10周を切ったところでペースの良いチップ・ガナッシのマーカス・エリクソンが琢磨をパス。一時11番手に落ちるも、その後残り3周で琢磨はルンガーを攻略しターン10でオーバーテイク。10番手を奪い返した。

 100周のレースは最後の最後まで気が抜けなかったが、ベテランらしい琢磨の走りは健在だった。

「今日はスタートからかなり攻めていきました。クルマの方向性は合っていたし、22番手から10位に上がれて今日のビッゲスト・ムーバー(最もポジションを上げたドライバー)になれたのはうれしいですね」

「このチームを誇りに思いたいです。200戦なんてインディカーに来た頃は思いもよらなかったし、ここまで応援してもらえて乗り続けることができて感謝してます。大変光栄なことだと思います。この調子で今シーズン、次のテキサスも頑張りたいと思います」と琢磨は語ってくれた。


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