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「魔物が棲む」SUGOは波乱の展開! 群雄割拠の2020年、三浦選手は5人のドライバーに注目 【2020年 第3戦】

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「魔物が棲む」SUGOは波乱の展開! 群雄割拠の2020年、三浦選手は5人のドライバーに注目 【2020年 第3戦】

2020 SUPER FOMULA Rd.3

2020年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦

世界から注目される全日本スーパーフォーミュラ選手権。女性ドライバー目線でレポート! 【2020年 第1/2戦】

国内屈指のアグレッシブなサーキット、SUGOでの熱戦

皆様、「全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1回レポート」はご覧いただけたでしょうか。さて、第2回は世界から注目されるスーパーフォーミュラで戦うドライバーたちにスポットを当ててみたいと思います。

GENROQ読者の皆様なら一度は“レーシングドライバー”という職業に憧れを持たれたことがあるかもしれません。まさに私自身がその一人でもありますが、狭き門を潜り抜けプロフェッショナルとして最前線を走り続けるレーシングドライバーたちは本当に輝いて見えますよね。そんな彼ら、彼女らがどんな道のりを経て今このステージに立っているのか。全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦(スポーツランドSUGO)を振り返りながら、私自身の経験談と共にご紹介させていただきます。

今回も“魔物が棲む”SUGOの餌食になる選手が・・・

まず初めに、第3戦の舞台となったスポーツランドSUGOは、宮城県蔵王連峰の山塊に位置する全長3.704kmと国内主要サーキットの中でも距離が短いサーキットです。中高速コーナーが連続しており、スーパーフォーミュラ(SF19)での平均速度はなんと200km/h超え。ハイスピードサーキットな上にアップダウンが激しくエスケープゾーンが狭い、大胆さと繊細さが求められるサーキットですが、そんなSUGOではクラッシュやアクシデントが多発することから“魔物が棲む”と表現されることがよくあります。今大会もその魔物の餌食となったドライバーが数名・・・。エキサイティングなサーキットとしてよく挙げられる鈴鹿サーキットとはまた違う要素を兼ね備えたSUGOは、国内で最もチャレンジングなサーキットと言えるかもしれません。

第3戦のウイナーは昨年のチャンピオン、ニック・キャシディ選手

そんなSUGOを制したのは、昨年のチャンピオン#1 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ選手です。タイヤ交換を終えてからのレース後半は、2番手以降を寄せ付けないチャンピオンの名に相応しい圧巻の走りを見せつけてくれました。そして2位には、今シーズン絶好調の#20 ITOCHU ENEX TEAM IMPAL 平川 亮選手、3位には、昨年SUGOのコースレコードを記録している#5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本尚貴選手と、スーパーフォーミュラではお馴染みの面々が上位に名を連ねました。

今大会の印象をタイトル化するならば、「各所でバトル勃発! SC(セーフティカー)導入が勝敗を分けた! ~SUGOの魔物現る~」といった感じでしょうか(笑)。

クラッシュをしてしまったマシンはもちろん、予選での赤旗中断や決勝中のセーフティカー導入で泣いたドライバーもいれば、笑ったドライバーもいる。「運も実力のうち」と言うように、その一つ一つのチャンスをモノにできるかどうかがドライバーたちの人生を左右していくのです。

初出場でいきなりポールを獲ったセルジオ・セッテ・カマラ選手

それでは、そろそろ2020全日本スーパーフォーミュラ選手権の注目ドライバーを三浦 愛の勝手な目線でご紹介させていただきます。

1人目は・・・#50 Buzz Racing with B-Max セルジオ・セッテ・カマラ選手。

新型コロナウイルスの影響によりSUGO大会が初参戦となったセルジオ選手ですが、今大会最もインパクトを与えたのが彼ではないでしょうか。なんと、Q1グループ最下位、予選ギリギリ通過からの見事ポールポジション獲得。残念ながら、決勝レースではタイヤ交換直後のコースアウトによりリタイアとなってしまいましたが、初参戦で初ポール(Buzz Racing with B-Maxとしても初)は、世界中を驚かせる素晴らしいパフォーマンスでした。

そんなセルジオ選手は、ブラジル出身ながらカートの世界大会へ参戦するため幼い頃からスペインを拠点に活動し、語学力にも長けているようです。世界で戦うドライバーにとって大切な要素をしっかり満たしていますよね。そして、ここ最近はF1、インディ、フォーミュラEにスーパーフォーミュラと世界のトップマシンを次々とドライブしキャリアを重ねているセルジオ選手。日本のトップフォーミュラでどんな走りを見せてくれるか楽しみです。

女性初の全日本スーパーフォーミュラ選手権ドライバー、カルデロン選手

2人目は・・・#12 ThreeBond Drago CORSE タチアナ・カルデロン選手。

開幕前、最も話題となったのが彼女の存在。全日本スーパーフォーミュラ選手権初となる女性ドライバーの誕生です。私も全日本F3選手権で唯一の女性ドライバーとして2019年にThreeBond Racingでお世話になりましたが、同じく彼女もThreeBond Drago CORSEからスーパーフォーミュラ唯一の女性ドライバーとして参戦が決まり、開幕戦のもてぎでは最終ラップまで男性ドライバーに負けない熱い走りを見せてくれました。

コースに出てしまえば性別は関係ありませんが、まだまだ男性社会であるレース界でトップアスリートとして世界中を飛び回る彼女はきっと男性ドライバーとはまた違う苦悩の中で自分自身と戦っているのではないかと、同じ女性ドライバーとして改めて素晴らしいなと思います。実のお姉さんがマネージャーとして支えていることも彼女の活躍に大きな影響を与えているのでしょう。新型コロナウイルスの影響で開幕戦以来欠場となっているタチアナ選手、また日本で走ってくれる日を楽しみにしています。

代役で初参戦を果たし活躍を見せる笹原右京選手

3人目は・・・#15 TEAM MUGEN 笹原右京選手。

外国人選手の代役として大抜擢された笹原選手は、カート時代から海外での経験も豊富で日本人には数少ない語学力に長けた世界で戦えるドライバーでありながら、これまで少し遠回りをしてきたドライバーの一人かもしれません。

今季初参戦となったスーパーフォーミュラでは、マシントラブルなど不運に見舞われながらも第3戦SUGOでは自己ベストとなる8番グリッドを獲得、関係者の中でも実力を認められる存在となりつつあります。トップドライバーとしての道を歩み始めた笹原選手、シーズン後半戦で私たちを驚かせてくれる日も近いのではないでしょうか。

ホットなドライブに定評があるベテランの関口雄飛選手

4人目は・・・#19 ITOCHU ENEX TEAM IMPAL 関口雄飛選手。

見た目からは想像できない(笑)繊細さを持つ関口選手は、スーパーフォーミュラ参戦5年目32歳のドライバーです。笹原選手と同じく遠回りをしてきたドライバーではありますが、どん底から這い上がり誰もが羨むトップチームからの返り咲きは、彼の天才的な能力あってこそ。

スーパーフォーミュラでのチャンピオン経験は無く、今季も苦戦しているように見えますが、毎戦レースラップを見ていると充分にトップを狙えるポテンシャルを秘めていることが伺えます。闘志むき出し、巧みな技でレースファンを楽しませてくれる熱い男、関口選手の意地の走りに注目です。

アグレッシブに挑む期待のルーキー、大湯都史樹選手

5人目は・・・#65 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手。

ホンダ育成ドライバーとして大きな期待を背負い今季初参戦となった大湯選手。開幕前のルーキーテストから速さを見せベテランドライバーたちを驚かせながらも、なかなか結果に繋げられずスーパーフォーミュラという日本が世界に誇るトップカテゴリーの厳しさを肌で感じている真っ最中ではないでしょうか。

そんな彼は北海道出身、普段の大人しい雰囲気とは打って変わってアグレッシブな走りが魅力的。22歳の若き才能豊かなルーキーが切磋琢磨し、どんな成長を見せてくれるのか後半戦に期待です。

「全日本スーパーフォーミュラ選手権」という同じステージに立ちながらも、それぞれのチームやドライバーが置かれている環境は十人十色。全てのドライバーに物語があり、必死に自分の戦うシートを掴み取っています。ドライバーの生い立ちやキャラクターにも注目しながらレースを観てみると、更に面白い世界が見えてくるかもしれません。

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【プロフィール】

三浦 愛

12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。

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