2020年9月4日トヨタはGRヤリスを発売した。9月16日(水)には発売を記念したオンラインイベント「GR YARIS ONLINE FES」も開催されるが、ここで取材のマイクを向けてみたいのが自動車評論家の国沢光宏氏。東京オートサロンでの発表時から“購入”を明言していたからだ。
7月30日に行われた試乗の様子と氏自身の買いか待ちか? また個人で買ってみたくなった場合の魅力と気になる点も合わせて話を聞いてみた。
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【画像ギャラリー】ついに登場GRヤリス 試乗の様子から各グレード ライバルモデルをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年8月のものです/試乗日:2020年7月30日
文:国沢 光宏/撮影:平野 学
初出:『ベストカー』 2020年9月10日号
■オンもオフも乗った!注目のRC(競技用ベース車)もわかった! で、結論は??
結論から書くと急がないことにしました~。なぜか? 改めて書く必要もないだろうけれど、GRヤリスというクルマは根っからの武闘派であります。「戦うために開発された」と言い換えてもいい。そこが根源的な魅力になっていると思う。
試乗の様子から
実際、200台程度の限定生産となるホモロゲなら尖ったモデルはあるが、大量生産車をここまで気合い入れて作ったメーカーなど存在しない! 逆に考えると競技に使いたいです。
ところが実車にグラベルで試乗してみると、やはり競技用のECU(制御コンピューター)を使わないと厳しい。
RCのインテリア。RCはディスプレイオーディオが装着されないが、本革巻きステアリングやアルミペダルが標準装備。ACをオプション装着すれば充分いける
高回転域を削ってでも中回転域のトルクを太らせたい。加えて競技に出るなら33口径のリストリクター(パワー制限をかけるための吸気規制)が必要になってくる。
WRXやランエボはメーカー本体じゃなくSTIやラリーアートからリストリクター対応のECUが出てました。競技には絶対必要なアイテムだ。
スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」はノーマル(前60対後40)、スポーツ(前30対後70)、トラック(前50対後50)の3モードが選べる
GRヤリスの場合、現時点で存在しない。競技用パーツ、世界的に見てもメーカーからは出さないです。STIであり、ルノースポールといったモータースポーツをやっている企業が出す。GRヤリスならTRDかトミマキネンレーシングですね。
いつ頃出てくるのかと聞いたらまったくの無回答。違う筋から確認してみたら、少なくともTRDは開発に着手していないようだ。また、ホモロゲも取れていないため国際格式の競技にも出れない。
VSCも凝っていてONとOFFのほか介入を遅らせるEXPERTモードが選べる。写真は中間グレードのRZ
つまり競技に出るために作られたクルマなのに、私のようなプライベーターはお手上げ(有力チームはECUを独自開発すると思う)。
街乗り用のクルマと考えたら、500万円出せばもっと速いクルマが買えます。むろん遠からず国際格式の競技に出るためのホモロゲも取り、競技用パーツだって出てくるだろう。そしたら間違いなく購入だ。GRヤリスでWRCに出て競技から卒業しようと思ってますから。
もちろん普段使いのスポーツモデルとして考えるならば刺激はたっぷりとあります。
RCのエンジン。エンジンは3気筒1.6Lターボでスペックはまったく同じ。ミッションもブリッピング機能付きの6MTで共通
■カタログモデルは4グレード
RZハイパフォーマンス・ファーストエディション456万円とRZファーストエディション396万円は受注が終了。9月の正式発売時はそれ以外の4グレードになる(価格は編集部調べ)。
なお、GRヤリスは手作りの工程が多く、専用のGRファクトリーで製造されるため、1日の生産台数が限られる。そのためこれからオーダーしても納期は来年4月以降になるようだ。
RC 330万円。タイヤサイズこそ205/45R17になるものの、ブリッピング機能が着いた6速のiMTを操って272ps、37.7kgmのポテンシャルを純粋に楽しむなら。オプションでエアコンも装着可能でおすすめだ
RZ 396万円。アルミホールがエンケイ製の鍛造となり、タイヤはダンロップのSPスポーツマックス050+になる。ブレーキキャリパーは黒になるがフロント18インチの対向4ポッド、リア16インチの対向2ポッドは共通
RZハイパフォーマンス 456万円。BBS製鍛造アルミホイールとミシュランパイロットスポーツ4S、前後トルセンLSD、冷却スプレー機能付き空冷インタークーラーの装着がRZとの違い
RS 265万円。1.5LNA、FFモデル。225/40R18のアルミホイールも装着され、カーボンルーフやアルミ製エンジンフード、バックドア、左右のドアパネルなどボディは共通。ファイナルを下げた10速CVTと贅沢な足回りを組み合わせた走りは小気味いい
用品装着車。トヨタカスタマイジング&ディベロップメント扱いのフロントスポイラーやサイドスカート、ナンバーフレームもラインアップ。整流効果を高めるディスチャージテープもかっこいい
■GRヤリス RC主要諸元
・全長×全幅×全高:3995×1805×1455mm
・ホイールベース:2560mm
・車重:1250kg
・エンジン:直3DOHCICターボ
・排気量:1618cc
・最高出力:272ps
・最大トルク:37.7kgm
・トランスミッション:6MT
・タイヤサイズ:205/45R17
・サスペンション:ストラット/ダブルウィッシュボーン
・価格:330万円
■NAのRSは国産ホットハッチ戦線殴り込み! ライバルとなるのは??
GRヤリスNAの大きな魅力を挙げるなら「WRCに出ている車両と同じ外観のクルマを毎日の相棒として使える」ことにあると思う。
RS。全長×全幅×全高=3995×1805×1455mm 車重=1130kg 最高出力=120ps 最大トルク=14.8kgm トランスミッション=CVT(10速)サスペンション=前ストラット 後ダブルウィッシュボーン 価格=265万円
外観は4WDの1600ccターボとまったく同じ。乗ると標準のヤリスと別モノだし! ボディ剛性感の高さに加え、リアサスの総合性能が圧倒的にいい!
ショートサーキット走ると、素性のよさをハッキリ感じます。ヨーロッパのコンパクトカーを余裕で凌ぐ!
ダイレクトシフトCVTはパドルシフトで10速が使える。変速もスピードも速く楽しい。雰囲気はターボと変わらない
ただ現時点でGRヤリスが2021年中にWRCで大暴れする予定なし。2022年以降も、新しいWRカー規定になるようだから、そうなるとGRヤリスとWRCとの関連性が薄くなってしまう可能性大きい。
ちなみに競技に出ようとすれば、5ドアハッチバックのヤリスのほうが車重が軽くマニュアル仕様もある。GRヤリスだと電動パーキングだからサイドブレーキターンできません。
ヤリス1.5G(6MT・170万1000円)。全長×全幅×全高=3340×1695×1500mm 車重=1000kg 最高出力=120ps 最大トルク=14.8kgm サスペンション=前 ストラット/後 トーションビーム
価格は265万円と安くなく(自動ブレーキなどが付く予防安全パッケージが25万円のオプション!)、だったらスイフトスポーツ買って160馬力くらいまでロムチューンし、足回りを全面的に見直し乗ったほうが楽しい。
スイフトスポーツ(6AT・208万8900円)。全長×全幅×全高=3890×1735×1500mm 車重=990kg 最高出力=140ps 最大トルク=23.4kgm サスペンション=前ストラット後トーションビーム
はたまた外観重視なら、ノートNISMOのeパワーという手もある。NISMO、ノーマルのノートeパワーとまったく違う乗り味だ。NAのGRヤリス、ライバルが多そうです。
ノート e-POWER NISMO S(272万1400円)。全長×全幅×全高=4165×1695×1535mm 車重=1250kg 最高出力=83ps 最大トルク=10.5kgm モーター最高出力136ps モーター最大トルク=32.6kgm サスペンション=前ストラット 後トーションビーム
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また、買わない理由は競技参加ができないからなのか?