7月20日、富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラ第4戦は『第1回瑶子女王杯 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦富士大会』として開催され、三笠宮家の瑶子女王殿下が土曜日の予選前に公式記者会見にご臨席された。
モータースポーツ界ではこれまであまりなかった皇族のご来場とあって、緊張感の漂う記者会見ともなったが、瑶子女王殿下の気さくなお人柄と、モータースポーツにふだんから頻繁に接せられている状況などが明らかになった。また、前日のドライバーブリーフィング時にドライバーとも対面を果たしており、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とのやりとりが話題となった。
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2024年にはF1日本グランプリにも来場されるなど、もともとクルマへの関心が高い瑶子女王殿下。7月20日に行われてたメディア向けの会見では、まずは今回、ご自身の杯としてスーパーフォーミュラが開催されることについて、お言葉を述べられた。
「いま、この場にいらっしゃる方々が私のどのような言葉を期待されて座っていらっしゃるのかは分からないのですが、今回の富士スピードウェイでのレースが『瑶子女王杯』ということになり、その杯を争うというのは、私としては逆に『本当に私でいいんだろうか』という不安がいまだにあるところであります」と瑶子女王殿下。
「ただ、いままでモータースポーツにおいてこのような形式をとっているところはないので、杯があることによって良い意味で注目が集まって、スーパーフォーミュラにはじまり、モータースポーツ全体が活気あふれるものになれば、私としてはいいなと思っております」
ふだんからモータースポーツへの関心が高いという瑶子女王殿下。スーパーフォーミュラの今後について、瑶子女王殿下はサーキットへのアクセスの改善、スーパーフォーミュラの地上波放送進出の2点を挙げられた。
「今までいろいろな場所にあるサーキットに私も伺わせて頂いているのですけど、クルマの走行音が大きいところがあったり、交通の弁が良くないところにあるのは仕方のない部分もあるのかなと私も思うのですが、ファンの皆さまや選手の皆さま、帯同するたくさんのチームスタッフの皆さまを含めて、それぞれのサーキットの環境を良くすることや、サーキットの近くの環境を良くしていかないと、選手の皆さまが最高のパフォーマンスをするというのは難しいのではないかなと思いますし、遠くまで応援に来てくれる方にも少し申し訳ないのではと、実際に行ってみて感じたところがあります」
「また、深夜帯でもいいと思うのですが、まずはスーパーフォーミュラが(地上波の)テレビで見られるようになってほしいと私は思っていて、選手の皆さまのモチベーションにもなるでしょうし、応援している方も毎回、試合のスケジュールに合わせて会場に足を運ぶのは決して簡単なことではないのかなと思います。私にどこまでできるかは分からないのですが、モータースポーツを盛り上げて、関わっている方々が、よりやり甲斐であったり、有意義だと思えるものにしていただけたら幸いだなと思っております」
このお言葉だけでも、まさにサーキットを訪れたことがあるレースファンとしてのご意見だ。
「ただ、自分の個人的な希望としては、より現場の近くにいて、サーキットの暑さであったり、寒さをともに感じていたいと思っていますし、それが試合の結果として喜びだったり、悔しさだったり、両方あると思いますが、そういうものを味わいたいと思っています。今回第4戦という形で『瑶子女王杯』となっていますが、いろいろ来賓される方も多いようですし、選手たちがいい意味での緊張感を持って試合に臨めたらいいなと思っております」
さらに瑶子女王殿下は、臨席していた少々お疲れ気味の近藤真彦JRP会長を前に「武道館での誕生日ライブでお元気がないかもしれませんけど、エンジンをどこかでもう一度掛け直していただければ」など、ユニークにイジる場面も。
⚫︎瑶子女王殿下、普段からオートスポーツwebをはじめとしたレース情報をチェック
続いて、メディアへの協力を要請する場面では、日頃からモータースポーツのニュースに触れているエピソードを明らかにされた。
「私の(スマホの)Yahoo! ニュースのところにはオートスポーツwebとか、motorsport.com日本版、海外版の情報がかなり増えてきてしまっていて(苦笑)。『すごくクルマ情報が流れるな』と、自分がどれだけクルマ関係のものを見ているのかなと思っております。今週末は鈴鹿サーキットで8耐も行われていますし、いろいろなところで皆さまに良い記事を書いていただきたいなと思っています。本日はこの場に来させていただいてありがとうございます」というお言葉の直後には、会場から大きな拍手が送られた。
また、前日の19日にはドライバーズミーティングの場に懇談会としてご臨席された瑶子女王殿下。ドライバーとお話をされ感じた印象について、以下のように率直な印象を述べられた。
「いままでスーパーフォーミュラのドライバーの皆さまとお話をする機会はまったくなく、21人の選手の方々とお話しをさせていただいて、とてもありがたいな、と思っておりました」
「皆さまの自己紹介と自己アピール、何か趣味があればとプレッシャーをかけられていたようなので、どういったことを言われるのかなと思っていましたけど、予想外のコメントが多くて、私が想定していたものとはちょっと毛色が違う方々がたくさんいて(笑)、面白いな思いました」
予想外のコメントとはどう言ったものか。この時に最初に質問して話題になったという太田格之進に、その時の状況を聞いた。
⚫︎瑶子女王殿下が驚いた太田格之進の予想外の質問
「ドライバー全員がそれぞれ自己紹介をして、質問するというのを聞いていましたけど、女王殿下のオーラもありますし、風格のようなものをすごく感じましたし、会場に入ってきた瞬間にピリッと張り詰めるものはありました。僕は自己紹介で『女王殿下にドキドキ、キュンキュンしていただけるようなレースを見せられるように頑張ります』と言ったんです。そして、その後に質問するコーナーになったのですけど、まわりの雰囲気を見ても誰も質問しそうになくて」
その瞬間、関西人であり、レースでも漢気溢れるバトルを見せる格之進のスイッチが入った。
「そこで一番ダメなのは誰も質問しなくてシーンとなること。僕はそういう雰囲気が嫌で耐えられないタイプなので、質問しようと思っていたら、質問を考える前に手が挙がっていました(苦笑)」
そして、そこから質問を考え始めた。
「まわりの雰囲気を見て『ヤバい』と思った時には手が挙がっていて、手が挙がったものの『待てよ』と。『何を聞けばいいのか』と。で、何を聞いたら失礼になるのか、ならないのかを手を挙げながら考えたのですけど、真面目な質問ほどタブーになるのかもしれないなと。そこで上野(禎久/JRP)社長がフランクな方だと言っていた言葉を思い出して……」
手を挙げながら、頭の中では高速回転で思考を巡らしていた格之進。果たして、その口から出た質問は……。
「女王殿下をキュンキュンさせるには、どうしたらいいですか?」
この瞬間、会場がドッと湧いたことは想像に難くない。そして、その質問にも瑶子女王殿下はお答えになったと格之進が証言する。
「女王殿下は笑顔で『コーナーを攻めて走っている姿を見るのが好きです』とおっしゃってくださいました」
実際、レースを見るだけでなく、ご自身でクルマを運転するのもお好きだという瑶子女王殿下。その格之進の質問が印象的だったようで、翌日のメディア向けの会見でも、格之進の名前を挙げられた。
「太田格之進君が『女王殿下をキュンキュンさせるような走りをしたいと思います』ということを言われましたので、決勝戦でどういう戦いをしてくれるのか、大変楽しみにしていますし、小林可夢偉君に関しましては最年長のドライバーとして『瑶子女王杯を早くもらいたい』と言われて、私は違うレースで70歳代のレーサーを知っていますので『まだまだやれると思います』という返しをしておきました」と瑶子女王殿下。
「可夢偉君には瑶子女王杯を渡して『引退はしないよね』と言うのもいいかなと思いますし、山本尚貴君が選手を代表して、とても緊張されているのがこちらからも分かりまして、その後に『これ以上の緊張はないので予選と決勝は大丈夫だと思う』ということを言っていたようですので、いい結果が出ればいいなと思っています。皆さまが良いキャラクターの選手たちだなと思いました」と、ご感想を述べられた。
皇族の方と直接、サーキットで懇談できたということで、ドライバーたちにも大きな刺激となった様子。太田格之進が話す。
「メディアの会見でも瑶子女王殿下は僕の名前を出してくれていたようなので、僕の質問も大丈夫だったのかなと、ホッとしています(笑)。そのパワーもいただいたので、予選も今回5番手まで来れると思っていなかったのですけど、明日は5番手から優勝なんかしようものなら……。あの女王杯のカップ、欲しいですよね。僕の名前は瑶子女王殿下にインプットされていると思いますので、レースでも注目してもらえると思います」
瑶子女王殿下にはまずは日曜の決勝レースをお楽しみになってもらいつつ、またぜひ、サーキットにお越しになってほしいところだ。
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