現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 商用車こそ「EV化だEV化だ」というがそう簡単じゃない! 現時点で解決できない「EVトラック」のデメリットとは

ここから本文です

商用車こそ「EV化だEV化だ」というがそう簡単じゃない! 現時点で解決できない「EVトラック」のデメリットとは

掲載 26
商用車こそ「EV化だEV化だ」というがそう簡単じゃない! 現時点で解決できない「EVトラック」のデメリットとは

 この記事をまとめると

■ここ1~2年トラックのEV化は急速に進んでいる

「日野の排ガス偽装」は「単なる会社の不正」問題ではない! EV化も難しく水素燃料も困難な大型車の「環境対応」はいまだ暗中模索だった

■過去にはトラックはEVに不向きだといわれることもあった

■トラックのEV化のメリット・デメリットを解説

 一定数のトラックはEV化する必要がある

 トラックのEV化は、ここ1~2年で急速に進んでいる。荷物を運ぶトラックは、できる限りたくさんの荷物を積んで長く走り続けることができたほうがいいから、EV化するのは不向きと思われてきた。けれども環境性能を高める必要性とエネルギーのさらなる有効利用から考えても、一定数のトラックをEV化するのは必要なのだ。

 デメリットは、前述したようにEVで巡航距離を伸ばすにはバッテリーをたくさん積む必要があり、バッテリーをたくさん積むと重くなって荷物の積載量が減ってしまうし、充電に時間がかかることになって稼働時間も減ることになる。これは業務に支障を来たすから、何らかの手段で解決しなければならない課題だ。

 一方のメリットはどうだろう。もちろん、いっぱいある。それはまず静かなこと。ディーゼルエンジンは圧縮して高温になった空気のなかに燃料を噴射して一気に爆発させる。そのため、燃焼時の圧力が高く、エンジン音は大きくなってしまう。これは夜間や早朝の住宅地で稼働するには、ちょっと迷惑になる。実際、フランスの首都パリの住宅地などでは、夜間は電動車両しか走行できないなどの規制が敷かれている。そのため、十数kmはモーターだけで走れるハイブリッド車両なども利用されているのだ。

 ふたつ目のメリットとして、EVは力がある。ディーゼルエンジンのほうが、力があるんじゃないの? と思う人も多いだろうが、構造上、エンジンはモーターには敵わない。ディーゼルエンジンで力(トルク)を出そうとすると、大きな燃焼圧力に耐えて駆動力として伝えるためにエンジン内部の部品を頑丈に作ることが必要になる。その結果、重くて大きい部品になって、駆動損失も増えてしまうのだ。他方、モーターはエンジンのように往復運動を回転運動へと変換する機構が要らないから、モーターの出力軸さえ大トルクに耐えさせれば、大きな力を発生することができる。

 実際、世界最大のトラックともいえる、採石場などで働く巨大なオフロードダンプは、ほとんどがモーター駆動で走行している。ただし、バッテリー式では充電が大変なので、ディーゼルエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動するというシリーズハイブリッドを採用しているのだ。

 そうなると課題はやっぱりバッテリーの重量と充電時間だろう。バッテリーの重量は、使用環境を小口配送など近距離輸送に限定して走行距離を抑えることで少なくすることができる。充電時間はバッテリー交換式とすることでも対策は可能だ。

 現在はまだ実証実験レベルながら、さまざまなバッテリー交換式のEVトラックも利用されている。バッテリー交換式は、ある程度のボリュームの車両が揃わなければ採算が取れないから、いますぐには普及することは難しい。

 結局のところ、既存のインフラであるガソリンスタンドが充実しているから、EVに置き換えるのが難しいのであって、ガソリンスタンドの廃業が進んできた現在では、残るガソリンスタンドや新たに開設されるガソリンスタンドでEVを充電できるようにすれば、ガソリンスタンドの需要確保とEVの充電環境を満たせる施設になり得る。

 すでに元売り大手企業では、こんな考えのもと、ガソリンスタンドの改革に着手している。いまはまだ実証実験レベルながら、さまざまな試行錯誤が繰り広げられているのだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

違いは歴然!! 新型[アコード]は気持ちいいクルマに! 更なる進化に向け今後期待したいことは?
違いは歴然!! 新型[アコード]は気持ちいいクルマに! 更なる進化に向け今後期待したいことは?
ベストカーWeb
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
ベストカーWeb
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
Auto Messe Web
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
AUTOSPORT web
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
AUTOSPORT web
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
くるまのニュース
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
AUTOCAR JAPAN
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
AUTOCAR JAPAN
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
グーネット
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
AUTOSPORT web
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
AUTOSPORT web
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
くるまのニュース
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
AUTOCAR JAPAN
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
AUTOSPORT web
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
AUTOSPORT web
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
乗りものニュース
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
くるまのニュース

みんなのコメント

26件
  • Yaya
    郵便のEV車を見たが収集ルートが限られているから可能な感じ、これくらいが限界なんじゃないか。
  • s51********
    小口配送企業のEV貨物車が夕方帰ってきて一斉に充電を開始する。早朝には充電完了にしないとならないから、EV1台の充電が家庭用電子レンジ1台くらいの電気を夜間ずっと消費する。社屋の配線を新設しないと供給が間に合わないだろうな。EVが普及したらこれだけの電気が夜間に各企業、各家庭で消費される。夏や冬には住宅が空調に電気を更に消費する。発電量や送電線が耐えられるのだろうかね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村