巨匠スコセッシ監督がデ・ニーロ＆ディカプリオと共に“避けて通れない”アメリカ重要史を描く！『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

陰惨な事件に隠された衝撃の事実

　巨匠マーティン・スコセッシ監督の新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』がApple TV+での配信に先駆け、2023年10月20日（金）より全国で劇場公開されます。Netflixオリジナル映画『アイリッシュマン』（2019年）に続き、スコセッシ御大による3時間超えの大作はぜひ劇場で観たいという映画ファンには朗報でしょう。

——地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイル（ロバート・デ・ニーロ）を頼ってオクラホマへと移り住んだアーネスト・バークハート（レオナルド・ディカプリオ）。アーネストはそこで暮らす先住民族・オセージ族の女性、モリー・カイル（リリー・グラッドストーン）と恋に落ち夫婦となりますが、2人の周囲で不可解な連続殺人事件が起き始めます。町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.C.から派遣された捜査官が調査に乗り出すも、この事件の裏には驚愕の真実が隠されていて……。

　数多くの傑作を世に送り出し、『ディパーテッド』（2006年）でオスカーを手にしたマーティン・スコセッシ監督。レオナルド・ディカプリオはこれまで6度アカデミー賞にノミネートされ、『レヴェナント：蘇えりし者』（2015年）で主演男優賞を受賞しました。彼らがタッグを組むのは6度目となりますが、そこに名優ロバート・デ・ニーロが加わるのは、長編では初めてのことです。

　そんなゴールデン・チームが挑んだのは、アメリカの歴史に暗い影を落とす実際の事件を基にしたサスペンス超大作。オクラホマで起こった先住民族の連続殺人という凄惨な事件を、スリリングかつエモーショナルに描き、本年度アカデミー賞最有力候補と目されています。とくにディカプリオはキャリア最高の演技と絶賛されており、ますます期待が高まります。

　そして多くの人が、リリー・グラッドストーンの存在感に改めて感嘆することでしょう。代表作の一つ『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』（2016年）では日本版の宣伝ビジュアルに（なぜか）写っていなかった彼女ですが、本作でも名優陣を食うほどの素晴らしい演技を見せてくれます。もちろん、登場した瞬間に一瞬で場の空気を不穏にする男ことジェシー・プレモンスにも要注目です。

　さて、スコセッシ監督といえば作品の時代に合わせた様々な旧車が登場することは知られていますが、実はバイクは“皆無”と言っていいほど映りません。バイクライドやバイクそのものに心情を投影することを必要としないのか、とはいえ少々意外でもあります。それでも唯一、1974年の長編5作目『アリスの恋』にはVetterらしきカウルを付けたバイクが一瞬だけ登場します。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は2023年10月20日（金）より全国公開です。