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【マイナーチェンジでPHEV版も進化】ポルシェ・パナメーラ4S Eハイブリッドへ試乗

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【マイナーチェンジでPHEV版も進化】ポルシェ・パナメーラ4S Eハイブリッドへ試乗

英国ではパナメーラの60%がPHEV

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)

【画像】パナメーラ 大型PHEVサルーン 比較 全61枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


印象的に素晴らしいポルシェ製の4ドア・グランドツアラーが、英国では10万ポンド(1340万円)ほどで購入できる。刺激的なツインターボのV8ガソリンエンジン版ではなく、経済的なプラグイン・ハイブリッド(PHEV)の形式で。

5500ポンド(73万円)追加すれば、より軽量でスポーティな、V8エンジンを積んだパナメーラGTSが購入できる。しかし今回試乗したのは、パナメーラ4S Eハイブリッドの方だ。

ポルシェの調べによれば、環境負荷はドライバーにとって、大きな懸念材料になっているこという。税金的な面と同様に。

英国の場合、会社からの貸与車両として4S Eハイブリッドを選べば、V8ツインターボのパナメーラより、自動車にかかる税金を大幅に削ることができる。CO2の排出量が、51g/kmから67g/kmしかないためだ。

実際に英国では、パナメーラの販売の60%がPHEVを占めている。マイナーチェンジ版のパナメーラ4S Eハイブリッドの登場は、その割合をさらに増加させることだろう。

PHEV版パナメーラで重要な点が、パフォーマンスの点で妥協が小さいということ。4S Eハイブリッドは、V8ツインターボ版の間に位置するグレードとなり、0-100km/h加速に要する時間はわずか3.7秒。最高速度も充分以上の297km/hに届く。

ちなみにGTSでは3.9秒と299km/h。上位のターボSの場合、3.1秒と315km/hに設定されている。

ポルシェ製PHEVの新しい実力

運転の第一印象は、パナメーラに何を期待するかで大きく変わる。回転上昇とともに唸りを上げるV8エンジンの印象が強ければ、電動化されたV6エンジンの音響は物足りないだろう。

もちろん、エンジン音が聞こえてくるのは、電気モーターから主役を変わったときだけ。パナメーラ4S Eハイブリッドに期待するべきは、2021年仕様のポルシェ製PHEVの新しい実力の方だといえる。

カタログ燃費やCO2の排出量の数字を、見ただけではわからない。実際の、動的性能と経済性のコンビネーションには、驚かされた。

ポルシェによると、バッテリーが満充電であれば、8速デュアルクラッチATに内蔵された135psの電気モーターだけで、54kmの距離を走行できるとしている。今回の試乗では、48kmを超えることは確かめられた。

17.9kWhという大きなバッテリーを積むものの、300kgも車重が増えたパナメーラとしては、驚くほどの航続距離だと思う。さらに電気モーターは、V6エンジンを、特に低回転域でアシストしてくれる。

ドライブモードは6種類が用意される。Eパワーとハイブリッド・オート、Eホールド、Eチャージという選択肢が、スポーツとスポーツ・プラスのほかに選べる。

電気モーターだけでも加速は充分に力強く、128km/h近い速度まで巡航走行が可能。空気抵抗が増えるから、速度が上がるほど航続距離は大幅に短くなるが。

バッテリーの残量は管理は、ハイブリッド・オート・モードを選んでいれば大丈夫。ドライバーが管理するのは、少々面倒だ。

マイナーチェンジ前からの大きな進化

今回の試乗では、高速道路や郊外の流れの速い道などを中心に、常に活発に130kmほどを運転した。それで得られた平均燃費は27.6km/L。パフォーマンスを考えれば、すこぶる良い。

もちろん、そのままエジンバラなど遠方にドライブを続ければ、燃費は大幅に悪化するはず。しかし長距離ドライブなら、積極的な運転を長時間は続けないだろう。

電動化技術を採用する多くのモデルと同様、パナメーラ4S Eハイブリッドを、V8エンジンのGTSと同様に運転したいとも思わないはず。回生ブレーキを活用して燃料を節約し、Eチャージ・モードでバッテリーをエンジンで充電しながら知的に運転することを、楽しめる。

従来までのドライビングの楽しさとは違う。しかし、これまでの自動車より、大幅に消費する燃料を少なくできる。市街地に入れば、電気モーターだけで静かに通過できる。

筆者が強く感じたことは、マイナーチェンジ前のPHEV版より飛躍的に進化しているということ。サウンドやレスポンス、パフォーマンスは、最新版の方が明らかに優れている。

ドライビング・モードの特性も、とても良く煮詰められている。特に、回生ブレーキを通じて得られる充電量と制動力の制御は、大きく進んだ印象だ。摩擦ブレーキも、ハイブリッドではないパナメーラ並みに、良好な感触を得ている。

未来を見越した選択肢

税制面で有利ということもあり、英国では会社貸与車両として、多くのPHEV版パナメーラが選ばれている。個人で選ぶ場合でもPHEV版の効率性の高さや、エンジンと電気モーターとを協働させた運転の楽しさは、魅力の1つとなるだろう。

V6ツインターボ・エンジンのサウンドも、運転する気持ちを掻き立ててくれるものだと思う。V8ほどではないにしろ。

将来的なクルマの価値でも、4S Eハイブリッドは有利だと思われる。純粋なエンジン版は、英国では今後販売禁止となる予定があり、増税などが施行される可能性もある。この流れが、中古車価格を大きく動かすはず。

パナメーラ4S Eハイブリッドなら、ドライビングの楽しさや長距離ドライブの容易さは、従来のクルマに近い。残存価値でも有利となるであろうPHEV版は、未来を見越した選択肢となりそうだ。

ポルシェ・パナメーラ4S Eハイブリッド(欧州仕様)のスペック

価格:10万1690ポンド(1362万円)
全長:5049mm
全幅:1937mm
全高:1423mm
最高速度:297km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:33.3-45.5km/L
CO2排出量:51-64g/km
乾燥重量:-
パワートレイン:V型6気筒2894ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:17.9kWh
航続距離:54km
最高出力:559ps(システム総合)/135ps(電気モーター)
最大トルク:-
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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