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「認知症を患う高齢者が新車を契約……」新車ディーラーを悩ませる少子高齢化問題

掲載 16
「認知症を患う高齢者が新車を契約……」新車ディーラーを悩ませる少子高齢化問題

 この記事をまとめると

■少子高齢化や物価高によってクルマを持つ人が減り新車が昔ほど売れなくなっている

喜ばしいハズの「事故の減少」がディーラーを苦しめる! 「板金修理」「車検整備」の減少に圧迫される新車販売店の苦悩

■高齢オーナーの割合が増えており、相続面での手間やトラブルが問題化している

■認知症の人が勝手にクルマを契約したり、安全装備を使いこなせないなどの問題も露呈している

 国民の高齢化によってクルマの販売現場がピンチに

 少子高齢化といわれて久しいが、その影響は新車販売現場にも及んでいる。それは自動車所有者の高齢化である。シェアリングになんの抵抗もなく、コスパ(コストパフォーマンス)を重視する若い世代ほどクルマを持とうとはしない。

 そもそも新車は30年間給料の上がらなかった、いまの日本の世の中では以前より高い買い物であるし、中古車とて納得のいくものを探そうとすれば、それなりの価格になってしまう。それになんといっても若年層ほど任意保険料が高すぎるというのが大きな問題となっている。

 賃貸住宅に住んでいれば駐車場代、さらにガソリン代など、クルマにかかる費用はかなりの負担となるのだ。18歳になったら免許を取ると誰もが思っていた昭和に青春時代を送った筆者のようなオジサンなら、免許を取ったらすぐにクルマを持つのも半ば当たり前だったので、ある意味クルマの維持費用は生活費の一部みたいにとらえ、格好いいクーペをフルローンで買い、カップラーメンで日々を過ごすという人も多かったが、いまどきの若者にはとても理解されるものではないだろう。

 運転免許を持たず、クルマも持たない若者像というのは都市部だけの傾向かと思いがちだが、地方部でもクルマと免許をもっている友だちと一緒に行動することで事欠かないということもあるようだ。

 つまり、高齢を理由に運転免許の自主返納や本人死亡などにより、クルマの所有をやめる人の数と新たにクルマを持とうとする人の数は、人口動態を見ても、新たにクルマを持つ人のほうが少ない。そのため、新車ディーラーでは終活ならぬ終車活でいろいろ動くことも多くなってきたのである。

 一番面倒なのは、所有者が死亡したにも関わらず死亡者名義の車両が残されてしまった場合。本人死亡が確認できると、今度はそのクルマを相続することになった相続人が、ほかの相続人全員から相続放棄の署名・捺印を集めないと車両の名義変更はできないとのこと。現場で聞くと、この手続きをできる範囲でディーラーがバックアップすることもあるそうだ。

 事情通は「現場では寝たきりなど身体的にクルマの運転が不可能になった段階、つまり生前に名義変更するようにと勧めているようです。個人情報の取り扱いが厳重ではなかった時代には、死亡後1週間は行政のデータ上では死亡とされないので、その間に必要書類をディーラーで集めて、生きていることにして名義変更したこともあるようです」と話してくれた。いまでは、人生最後のクルマと覚悟したときに、個人向けカーリースで乗るようにしている人も目立っているとのこと。

 カーリースなので死亡しても車両返却するだけでOKであり、メーカー系個人リースのなかでは中途解約金を取らないところもある。セールススタッフのなかには、やんわりと高齢のお客に個人向けカーリースを勧めることもあるようだ。

 先進安全装備は使いこなせればそもそも意味がない

 また、あるメーカー系ディーラーでは75歳以上のお客がひとりで新車の契約を結んだ場合は、近親者へ本当に本人の確かな意思で購入したかの確認をとるそうだ。以前、認知症を患い徘徊クセのある高齢者がショールームを訪れ新車契約を結びそのまま手続きを進めているなか、近親者がそれを知り大問題となったことを受けての措置のようである。

 トラブルを防ぐ意味から、長い間家族ぐるみの付き合いで問題がないとわかっても、確認は必ず取るようにしているそうだ。

 また、いくら高齢ユーザーがきちんと運転できるとしても、昨今の安全運転デバイスをはじめ、先進装備に追いつけないという現実もあるようだ。もちろん、そのような先進装備をしっかり理解して使いこなせる高齢ユーザーもいるが、全員ではないのも事実。「都市伝説で聞いた話ですが、あえて納車時にカットできるデバイスはすべてオフにして納車したということもあるようです(事情通)」。いまは絶版となったが、日産マーチの最終モデルが長いことラインアップされていたのも、高齢ユーザーを意識してのものとの話を聞いたこともある。

 スマホと同じで、世代が入れかわれば、高齢ユーザーでもデバイスの増えたクルマを無理なく運転できるようになるだろうが、いまはちょうどその過渡期にさしかかっているのである。

 いずれにしろ、いまの新車ディーラーを覗くと意外なほど店内にいるお客は年配の人が多い。点検での訪店では、作業内容の説明に四苦八苦しているメカニックの姿を見ることもある。いまの少子高齢化が飛躍的に改善されることはないので、この風景は当分続くことになるだろう。

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みんなのコメント

16件
  • たくみID
    我が家でも似たような事がありました、高齢になった父親がかかりつけ医に促され一旦は所有する車を売却し免許返納するだけになってましたので家族も一安心してたところ家族に黙って車の購入を営業マンに伝えてました、営業マンからの確認で事が判明しあわててキャンセルした事があります。
    ディーラーへは家族の留守中友人に送迎してもらったようです。営業マンからの確認がなければ危うく購入してました。
  • tom********
    近所の、老人が新車を購入しました。
    耳が聞こえず、奥様が耳元で大声で通訳していてやっと理解できるレベルです。
    車屋さんは、売るのに必死なので、だれでも買える状態です。
    いつか事故するだろうと確信してます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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