かつてはそれぞれが独立した存在だった自動車メーカー。現在では多くのメーカーが提携を行い、場合によっては買収されて別のメーカー傘下となったというケースもある。エンジンやプラットフォームの共通化によるコストダウン、流通の効率化など、メリットの多いグループ化だが、あるメーカーがどのグループに属しているのがわからないこともあり、さらに意外なグループの傘下となっていて驚かされるブランドもある。
このシリーズではそうした「自動車メーカーグループ」に注目し、紹介していくことにしたい。そんな連載第4弾は、“世界のトヨタ”を中心に、傘下にあるダイハツ&日野、そしてスバルを筆頭にした提携メーカーによる一大連合に注目!
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文/長谷川 敦 写真/トヨタ、ダイハツ、スバル、Favcars.com
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世界一に躍り出たトヨタグループの生産台数
日本国内はもとより海外へも多数のクルマを販売し、海外生産拠点も持つトヨタ。新型コロナの流行や半導体不足の影響を受けつつも、セールスは好調を維持する
このシリーズで紹介してきたステランティスグループやフォルクスワーゲン(VW)グループ、そしてルノー・日産・三菱アライアンスは、いずれも複数の国にまたがる国際的なメーカー連合だ。
各グループを構成するメーカーの数もステランティス14社、VWグループは9社、ルノー・日産・三菱アライアンスも6社と多い。しかし、トヨタは自社のほかにダイハツと日野を含むのみで、結びつきの深いスバルを加えても4社と少ない。
つまり少数精鋭とも言えそうだが、実際にはトヨタの規模が桁違いに大きく、それがグループ総数で2020年に952万8000台を売り上げ、VWグループを抜いて1位になったことの大きな要因だ。なぜトヨタはそこまで強いのか? そしてトヨタとグループを組むことで得られるメリットとはどこにあるのだろうか?
今回の記事ではこのトヨタを中心にしたメーカーグループを紹介していくが、トヨタ自体も車体の製造会社をはじめ、電装部品を開発するデンソー、トランスミッション類の開発製造を手掛けるアイシンなど、傘下に多数のグループ企業を抱えている。
こちらをトヨタグループと呼ぶ場合もあるが、便宜上、今回は自動車メーカーで構成されるグループをトヨタグループと呼ぶことにしたい。
単独でもその規模は世界最大級。トヨタの繁栄はどこまで続く?
効率が高く品質管理にも優れたトヨタ生産方式は、他の自動車メーカーのみならず他業種でも参考にされる。看板を使用するためカンバン方式と呼ばれることも
トヨタが日本最大の自動車メーカーであることは、あらためて説明する必要もないだろう。愛知県で豊田佐吉が興した豊田自動織機に設立された自動車部がそのルーツで、時は1933年。当時は創業者名の読みから「トヨダ」と呼ばれていた。だが、1936年には画数やデザイン上の理由から「トヨタ」に変更され、それが現在まで続いている。
その後の隆盛はご存じのとおり。現在では日本最大の自動車販売数を誇るだけでなく、2021年にはアメリカにおける販売台数でもゼネラルモーターズ(GM)を抜いてついにトップに立った。これには半導体不足によるGMの減産などの理由もあるが、1931年以来首位を維持してきたGMを上回ったのは快挙と言ってよい。
トヨタの強みは「トヨタ生産方式」に代表される徹底的な合理化によるコストダウン(=車両価格のロープライス化)と、販売車両の圧倒的な信頼性の高さなどにある。故障が少なく、価格に対する品質の高さは随一とも言え、長年難点のひとつと指摘されてきた80点+α主義による個性の薄さも近年は急速に払拭されつつある。
保守的な印象も持たれがちだが、世界に先駆けて1997年にハイブリッド車のプリウスを発売し、2014年には燃料電池車のミライをリリースするなど、先進技術も積極的にとり入れている。
そして2021年12月には小型BEV(バッテリー式電気自動車)C+pod(シーポッド)の一般販売をスタートさせた。この後もBEVの新車が次々に登場する予定で、未来に向けた戦略にも抜かりはない。
続いてそんなトヨタとグループを形成するメーカーを見ていくことにしよう。
ダイハツはトヨタにOEM供給も行う頼れるパートナー
ハイブリッドのe-SMARTとガソリンエンジン車をラインナップするダイハツ ロッキー。トヨタと共同開発したDNGA-Bプラットフォームが使用されている
1967年にトヨタと業務提携を締結し、1998年にはトヨタが株式の過半数を取得して連結子会社化。そして2016年1月にトヨタの完全子会社となったのがダイハツだ。
ダイハツの歴史は古く、1907年に内燃機関の製造販売会社として設立。当初の社名は「発動機製造」だったが、1951年にダイハツへと変更された。社名は「大阪の発動機会社」に由来する。自動車市場への本格的な参入は1930年代のオート3輪からで、1957年に発売されたミゼットは、低価格かつ高い性能と信頼性でベストセラーとなり、ミゼットという名称自体がオート3輪の代名詞にもなった。
トヨタとの提携後には4輪車の本格的な販売をスタートし、まずはトヨタ車をベースにしたモデルを開発。1977年には独自開発のシャレードをリリースしている。シャレードは普通自動車だったが、その後に登場させた軽自動車のミラが人気車となったことによって、軽自動車分野での地位を確立していった。
現在のダイハツは軽自動車をメインに多数のモデルを販売しつつ、完全子会社化の影響もあってトヨタの生産工場としても重要な役割を担っている。将来的なトヨタとの結びつきはより強固なものになっていきそうだ。
大型車のトップメーカー・日野もトヨタグループの一員
日野の中型トラック・レンジャーは写真の5代目モデルでハイブリッドモデルを登場させた。販売開始は2004年で、走行距離の長いトラックで燃費向上を実現した
日野自動車と言えば大型トラックやバスなどで知られる商用車の国内最大手で、1910年に創業された東京瓦斯(ガス)工業にルーツを持つ。1917年からトラックの開発をスタートさせ、以降は組織変更を行いながら、1942年に現在の日野自動車に直接つながる日野重工業が誕生した。
元々ディーゼルエンジン車を得意としていた日野だったが、1953年にはフランス・ルノーと提携してルノー 4CVのノックダウン生産を開始。このモデルの製造で得られたノウハウは、後にコンテッサなどの乗用車を自社開発する際にも生かされている。
トヨタとの提携は1966年にスタートする。両社の関係はそのまま続き、2001年にトヨタが過半数の株式を取得することにより、日野を連結子会社化した。以降は商用大型車両生産を継続するとともに、自社工場でトヨタ ランドクルーザープラドなどの製造を行っている。
スバルとの共同開発で誕生したモデルたち
トヨタ&スバルが共同開発したモデルの代表がこの86&BRZ。写真は2021年販売開始の2代目で、エンジン排気量の拡大など、初代モデルから変更が施されている
水平対向エンジンを搭載した個性的なモデルが高い評価を得ているスバルも、近年になってトヨタとの関係を深めている。両社の業務提携に向けた基本合意がスタートしたのが2005年。2007年にはスバルの米国生産拠点でトヨタ車の受託生産が開始されている。
トヨタとスバルの関係で象徴的な存在となるのがFRスポーツ車の86とBRZだ。2012年に登場したこのモデルは、スバルの水平対向エンジンにトヨタの燃料噴射システムを組み合わせたものが搭載され、車体の開発も共同で行われている。日本国内では久しぶりのFRスポーツ車だった86&BRZは高い人気を集めた。
2021年には後継モデルが登場したが、こちらもトヨタとスバルで共同開発された兄弟車。ただし、86の車名はGR86に改められている。また、スバル初のプラグインハイブリッド車であるクロストレック・ハイブリッド(2018年)には、トヨタのハイブリッドシステムが搭載された。
トヨタが満を持して登場させたBEVのbZ4Xもまた、スバルと共同で開発されている。このモデルも86同様にスバルからも兄弟車が発売される予定で、そちらにはソルテラの名称が与えられている。
現在、スバルの筆頭株主は20%を所有するトヨタだ。ダイハツや日野のように子会社化はされていないものの、スバルに対するトヨタの影響力は無視できない。ただしスバルもトヨタの株0.3%を持つ株主であり、両社の提携は当分の間続いていくことが予想される。
トヨタ中心で誕生した国内メーカーの新連合?
2021年12月、トヨタは2030年までに30車種のBEVを展開することを発表。カーボンニュートラルの実現に向けて他メーカーとの連携も強化されていく
2021年4月、トヨタは日野といすゞとの共同出資会社「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」を設立した。CASE(コネクテッド・オートノマス・シェアード&サービス・エレクトリック)の加速を目的に設立されたこの会社は、やがて来るとも言われるEV時代への対応を共同で行うもの。さらに同年8月にはCJPTにダイハツとスズキが加わることも発表された。
CASEにかかる費用も分担できるこのCJPTに加わるメリットは大きく、新たな“トヨタ連合”が今後どのように発展していくのか、そして現状はこのグループに参加していない日産&三菱とホンダがどのように動くか注目されている。
トヨタの強みはその規模と資金力、そして現在では技術力でも世界のトップクラスにある。プラットフォームの共有をはじめ、技術&人的交流など、トヨタグループにいるメリットは大きい。トヨタ側でも軽自動車や大型車などの独自技術を持つメーカーを傘下に抱える利点は多く、当面はこの世界トップの自動車メーカーグループが揺らぐことはなさそうだ。
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