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トヨタ7号車が不運な事故でリタイア。PPのフェラーリにも問題発生/2023WEC第4戦ル・マン決勝12時間後

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トヨタ7号車が不運な事故でリタイア。PPのフェラーリにも問題発生/2023WEC第4戦ル・マン決勝12時間後

 フランス、ル・マンのサルト・サーキットで開催されているWEC世界耐久選手権第4戦『ル・マン24時間レース』は現地6月11日(日)の午前4時、決勝レースの折返しを迎えた。スタートから12時間時点の首位はフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョヴィナッツィ組)。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は平川亮組8号車トヨタGR010ハイブリッドが2番手につけている一方、小林可夢偉組7号車は不運なアクシデントによりリタイアとなっている。

■ふたたびの大雨でアクシデント続出

【途中経過】2023年WEC第4戦/第91回ル・マン24時間 決勝12時間後

 スタート直後から波乱が続く“100周年”のル・マン24時間はフランスの遅い日没後、深夜の時間帯もアクシデントが相次いだ。TGRの2台のルーティンピットインによりトップに立ったポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの75号車ポルシェ963が、レースの4分の1にあたる6時間目を迎えた直後サルト・サーキットに一度はあがった雨が落ちはじめる。

 メインストレート付近から降り始めた本降りの雨は瞬く間に路面を濡らし、LMP2クラス首位に立っていたJOTAの28号車オレカ07・ギブソンがコンディションの急変の餌食に。テルトル・ルージュでクラッシュを喫し右フロントにダメージを受け、ピットでのカウル交換を余儀なくされる。

 ハイパーカークラスの多くは、直前にピットインしていたトヨタや75号車ポルシェも含めてこのタイミングでピットに戻り、レインタイヤを装着してコースに出ていく。なおピットレーン入口の直前ではポルシェ、フェラーリ、トヨタのマシンがコースを外れエスケープゾーンを走行するシーンも見られた。

 LMP2やLMGTEアマクラスの車両もレインタイヤに履き替えるため続々とピットに入っていくが、コース上ではタイヤ交換前の車両のアクシデントが続出。66号車フェラーリ488 GTEエボ(JMWモータースポーツ)はスタックによってGTEアマリーダーの地位を失った。またインディアナポリスで22号車オレカ07(ユナイテッド・オートスポーツ)に続いてオーバーシュートした9号車オレカ07(プレマ)は、923号車オレカ07(レーシングチーム・ターキー)に激突され左リヤの足回りに損傷を負いピットでの修復を余儀なくされている。

 一連の混乱の後、ハイパーカークラスではフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499Pがトップに浮上し、雨の降り始めのタイミングでホセ-マリア・ロペスから小林可夢偉にドライバー交代した7号車トヨタGR010ハイブリッドが2番手に。プジョー・トタルエナジーズの94号車プジョー9X8が3番手に続いている。

 一方、ポルシェは7番手を走行していた75号車がスロー走行の後にコース上でストップ。燃料プレッシャーのトラブルが発生した模様で、7時間目にレース続行を断念。ハイパーカークラスのリタイア第1号となってしまった。

 LMP2クラスは28号車に代わりインターユーロポル・コンペティションの34号車オレカ07がトップに浮上。GTEアマではアイアン・デイムスの85号車ポルシェ911 RSR-19が首位となっている。

■もらい事故で7号車トヨタがストップ、リタイア

 大混乱をもたらした雨雲が過ぎ去ると徐々に路面コンディションが回復してくる。スタートから7時間を迎える直前、50号車フェラーリ499Pがピットインし、ライバルにライバルに先んじてウエットタイヤからスリックタイヤに交換した。

 この後レースは落ち着ついた展開に入るかと思われたが、クラス8番手を走行していたDステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMRの緊急ピットインを皮切りにふたたび波乱の展開となる。藤井誠暢がドライブしていた777号車はコースオフによりダメージを負った模様だ。

 Dステーションのアクシデントから約10分後、スタートからは7時間55分後、アウトラップの51号車フェラーリ499Pが第一シケインでスピンを喫しスタックしてしまう。すぐにコースに戻されたものの首位から5番手に後退した。トップには94号車プジョー9X8が浮上している。

 この直後、8時間目を迎えたタイミングでテルトル・ルージュの入口で多重クラッシュが発生した。スローゾーンの開始ポイントである同地に差し掛かった39号車オレカ07(グラフ・レーシング)と7号車トヨタGR010ハイブリッド(TGR)、66号車フェラーリ、35号車オレカ07(アルピーヌ・エルフ・チーム)が絡み、衝撃で一瞬宙を舞った66号車と、35号車に追突された7号車がコース上にストップ。7号車を駆る小林可夢偉はピットと無線交信しながら再スタートを試みるも、マシンは弱々しく動くのみでついにはユノディエールの入口付近でその動きを止めてしまう。

 その後、可夢偉はリヤの両方のタイヤとドライブシャフトを損傷したマシンを降りた。この瞬間トヨタ7号車はレース3分の1の段階でリタイアすることとなった。

■1時間のSCラン後、ポルシェとフェラーリがガレージに収まる

 この事故の処理のため、レース開始から8時間17分の時点で3度目のセーフティカー(SC)が入り隊列が整理される。1時間後に迎えたリスタート時のラップリーダーはニコ・ミューラー駆る94号車プジョー9X8だったが、コースグリーンとなったラップに平川亮の8号車トヨタGR010ハイブリッドがこれをかわしてトップに浮上した。3番手は50号車フェラーリ、4番手51号車フェラーリ、5番手の2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)までが同一ラップだ。

 リスタートの約10分後、上位陣から1周遅れの8番手を走っていた5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)がガレージ内に運び込まれ前後のカウルが開けられる。ピットでの修復作業後、5号車はトップから5周遅れでコースに復帰した。

 10時間目を迎える前に、ポルシェカーブでダニール・クビアトが乗り込んだ63号車オレカ07(プレマ・レーシング)が激しいクラッシュを喫す。これによりフルコースイエロー(FCY)が導入されるが、TGRはこの直前に平川を呼び戻しロスなく給油を行っていく。

 FCY中には姉妹車51号車にかわされ4番手に下がっていた50号車がピットへ。通常のルーティンかと思われたが499Pもガレージに入れられた。こちらもメカニック総出での修復作業が行われている。

 10時間目は直前に8号車がドライバー交代を行ったため、ふたたび94号車プジョー9X8が首位で迎える。しかし24分後、平川からブエミにバトンが繋がれた8号車がコース上でライバルを攻略し、首位の座を取り戻した。一方、30分弱の修復作業が行われた50号車フェラーリは6周おくれでコースに戻っている。

 トヨタ8号車は、32号車オレカ07(インターユーロポル・コンペティション)が第一シケインでクラッシュした直後に迎えた11時間目もトップで通過。94号車プジョー9X8は3番手に下がり、代わってジェームス・カラドがドライブする51号車フェラーリが僅差でトヨタを追いかけている。プジョーとトヨタのギャップは約7秒に開き、4番手2号車キャデラックはさらに7秒後方にいる。

 ドラマはさらに続く。好走を見せていた3番手グスタボ・メネゼスの94号車プジョーが第一シケインでタイヤバリアにヒット。幸いピットまで戻ってくることができたものの、レース折返しを前に大きく順位を下げることとなってしまった。

 トップを争う2台はこの間にも接近戦を演じ、1秒前後のギャップのまま146周目、時間にして11時間30分に同時ピットインを行う。ここでトヨタはタイヤを替えた一方、フェラーリは給油のみの作業と選択が分かれたため順位が逆転。51号車がライバルを先行している。8号車にはこのときの作業に違反があったとして、次回ピットイン時に5秒加算のペナルティが課された。

 148周目には暫定トップに立った2号車キャデラックがルーティンピットに入り、このタイミングでフェラーリとトヨタが順位を取り戻している。

 レース折返し時点でのトップ3のギャップは首位フェラーリと8号車がコンマ5秒、51号車と2号車は55秒だ。94号車プジョーは事故後の修復を終え9周遅れ、総合21番手でレースに復帰した。

 LMP2クラスはインターユーロポル・コンペティションの34号車オレカ07と、チームWRTの41号車オレカ07がクラストップを争う展開が続いていたが、11時間過ぎからはニール・ジャニがステアリングを握るデュケイン・チームの30号車オレカ07がクラス首位に立っている。

 LMGTEアマクラスは、6時間目の途中から主にこのクラスをリードしてきたプロジェクト1・AOの56号車ポルシェ911 RSR-19が首位を守り、木村武史組57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)がクラス2番手につけている。3番手は“女性ドライバートリオ”のアイアン・デイムス85号車ポルシェ911 RSR-19だ。

 星野敏と藤井誠暢が乗り込む777号車アストンマーティンは、夜間の緊急ピットインから5周遅れで復帰した後、現在クラス15番手を走行中。横溝直輝/辻子依旦/ケイ・コッツォリーノ組74号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)はそのひとつ前のクラス14番手につけている。

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みんなのコメント

2件
  • マシンの挙動がかなり不安定で、夜中にスピンしてた
    そもそもバラストを載せるシステムだったっけ?WECって
    車の設計の意図しない所に載せられて不安定になってた様な気がする
    それに比べフェラーリの走りは不安定な要素があまり見当たらなかった
    たまにミッションや回生の音が悪くてヒヤヒヤしたけど
    もう終わった事だし、どうでも良いが
  • 51が夜雨の時にグラベルから直ぐに脱出、救助されなければ8号車だったな…
    ま、もう運営じたいが今年のフェラーリ勝利を望んでた大会だったな…
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