■気がつけば10年… 性能や見た目が色褪せない3車種
ひと昔前、新型車のモデルサイクルは4年といわれていました。4年経ったらフルモデルチェンジして、ユーザーも買い換えるのが一般的なことでした。
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ところが、近年では6年から8年も売り続けるモデルが増えています。理由としては、やはりコストについて厳しくなったことが想像できます。新型車の開発費は100億円単位が普通ですから、1台作ったら、なるべく生きながらえることが重要です。
そこで、発売から10年以上経つロングセラーのクルマ5車種をピックアップしてみました。
●日産「GT-R」
「GT-R」の系譜が途絶えて16年、1989年に「R32型 スカイラインGT-R」が発売されました。そして1995年に「R33型 スカイラインGT-R」、1999年に「R34型 スカイラインGT-R」が発売されましたが、2002年に再び生産を終えました。そして2007年12月に満を持して発売された日本のスーパーカー、日産「GT-R」は今年で11年目になります。ドイツのサーキット「ニュルブルクリンク」で鍛え上げられた運動性能は、当時、他の追随を許しませんでした。
また、最高速度も300km/hを越え、何倍もの価格のスーパーカーを上回る実力を持っていました。
発売後は毎年のように性能向上が図られ、発売当時400PSだった出力も2018年モデルで570PSに。さらに「GT-R ニスモ」では600PSを誇ります。
11年という円熟の時を迎え、いまでは「GT-R」の中古車を扱う専門店もあります。価格も初期のモデルであれば400万円台から手に入れられますから、だいぶ敷居が下がった印象です。
「GT-R」は日本の高性能車のなかでも、いまだトップクラスの性能で、今後いつフルモデルチェンジするのか、それともまた生産が終わってしまうのか話題は尽きません。
●三菱「デリカD:5」
50年の歴史を持つ三菱「デリカ」ですが、現行モデル「デリカD:5」は2007年1月に発売されました。ミニバンでありながら、本格的なオフロード性能を発揮できるという、唯一無二のモデルとなっています。
先代に比べ大きくデザインを変えた「デリカD:5」は、発売当初はガソリンエンジン車のみでしたが、2012年に低燃費のクリーンディーゼルエンジンが追加され、これもミニバンで唯一の存在です。
その後も小規模な改良と特別仕様車「アクティブギア」「ジャズパー」が加えられ、いまに至りますが、驚くことに三菱が販売する普通乗用車のなかで、月間販売台数トップになることもあります。
また中古車相場もこなれており、走行距離が3万km以下で100万円台から買うことができます。
アウトドア派のファミリー層から高い評価を得ていて、かつ、ほかにはないクルマなので、ロングセラーなのもうなずけます。もちろん車中泊での旅にピッタリのクルマです。
大きなモデルチェンジをせずに11年が経過しましたが、そろそろ新型の噂も出ているようです。
●日産「キューブ」
日産「マーチ」をベースに、トールサイズのコンパクトカーとして発売された「キューブ」は、1998年に初代が発売。その後2002年のフルモデルチェンジで斬新なデザインの2代目が発売され、2008年の11月先代のデザインを踏襲した現行モデルが登場しました。
先代までの「キューブ」は日本でのみ販売されましたが、先代のデザインが海外でも話題になり、現行の「キューブ」が海外に輸出されるようになった逸話があります。
デザインは直線的でありながら、曲線を活かした外観となっています。内装のデザインもこだわっており、シート地の色や柄が7種類用意されているなど、遊び心満載です。
中古車の在庫状況も豊富で、格安なものから新車同様のものまで選び放題となっています。
「キューブ」も今年で発売してからちょうど10年を迎えます。ハイブリッド化もしておらず燃費も平凡な値で、自動ブレーキなどの先進安全装備も搭載していませんから、この先新型がどうなるか注目したいところです。
■10年オーバーでも我が道を行く2車種
●三菱「パジェロ」
三菱といえば「ジープ」という元祖クロスカントリー4WDがありましたが、あまりにも硬派なクルマだったので、乗用車の使い勝手を取り入れつつ、本格的な4WD車として登場したのが「パジェロ」でした。
現行の「パジェロ」は2006年10月に発売され、初代から数えて4代目となります。発売当初は3ドアのショートボディと、5ドアのロングボディをラインナップしていましたが、いまはロングボディのみとなっています。
また「パジェロ」には「パジェロ イオ」「パジェロ ミニ」と弟分のモデルがありましたが、そちらもすでに生産を終了しています。
大きな転換期となったのは2008年で、3.2リッターのクリーンディーゼルエンジンが搭載されました。その後も小規模な改良と、グレードの整理が行なわれ、今日に至ります。
直近では2018年10月11日に一部改良され、装備の充実が図られています。しかし、先進安全装備は搭載されておらず、この先どうなるかは不透明なところですが、次世代の新型モデルへの期待も膨らみます。
ただ、日本では数少ない本格的な大型クロスカントリー4WDとあって、それを求める層からは一定の人気を保っています。実際に中古車市場では年式の割に高値安定傾向にあります。
●トヨタ「エスティマ」
現行モデル(普通乗用車)でもっともロングセラーなのが、このトヨタ「エスティマ」です。発売は2006年1月と「パジェロ」以上の車齢となっています。
近年「エスティマ」で大いに話題になったのは、2016年に大規模なマイナーチェンジが行なわれたことで、記憶に新しいでしょう。フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジが話題になるクルマも珍しいです。
フロント部分のデザインを大きく変更し、先進安全装備「Toyota Safety Sense C」も搭載されました。ハイブリッドモデルもラインナップしていて、燃費性能も最新モデルほどではないですが、18.0km/Lと、ミドルサイズのミニバンとして優秀な値になっています。
このミドルサイズというのが、生き残った理由とも言われています。ひとクラス下のミニバンだと「ノア」3兄弟に対し、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」などがライバルですが、「エスティマ」クラスだとホンダ「オデッセイ」しかありません。2017年には1万4000台ほど売れている実績もあるので、新型を出さなくても、まだまだ行けるということでしょう。
さすがにロングセラーだけあって、中古車もふんだんにあります。走行距離3万km以下で70万円台から買うことができます。仮に10年前の中古車でも現行モデルですから。
※ ※ ※
今回紹介した5車種以外でもトヨタ「プレミオ」が2007年からフルモデルチェンジしていません。日産「フェアレディZ」も今年で発売10年になります。また特殊な例ですがスズキ「ジムニー」は20年、トヨタ「センチュリー」は21年ぶりにフルモデルチェンジしています。
最近はロングセラーが多くなっている傾向ですが、人気があっての場合と、メーカーの事情による場合があるようです。
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