実用性 x パフォーマンス
SUVとスポーツカーは、何十年もの間、互いに相容れないものだった。SUVは人里離れた場所に行き、無事に戻ってくるという比類なきオフロード性能を備えたもの。一方、スポーツカーは直線でもカーブでも、オンロードにおける速さ・楽しさを追求したものだ。
【画像】世界最強の市販SUVランキング【BMW、アストン マーティン、ベントレーなどを写真で見る】 全150枚
しかし、2022年現在、世界の自動車メーカーのラインナップを見渡してみると、スーパーカー並みのパワーを持つSUVが続々と登場している。人を乗せ、荷物を載せ、快適なインテリアに包まれながらビッグパワーを享受できる時代なのだ。
無論、クルマの性能とは単に馬力だけによるものではない。ハンドリングやブレーキ、空力など、あらゆる要素が欠かせないことは改めて語るまでもないだろう。しかし、今回はあえてシンプルに考えて、「最高出力(ps)」を基準にランキングを作ってみた。
自動車メーカーが製造する、世界で最もパワフルなSUVランキングだ。パワーの低い順に、21台を取り上げている。
BMW X5 M50i/X6 M50i(530ps)
純粋な「Mモデル」を除くと、BMWのSUVラインナップの中では、X5およびX6のM50iがパワーの頂点に位置づけられている。どちらも4.4L V8ツインターボを搭載し、最高出力は530ps、0-97km/h加速は4.3秒と、ダウンサイジングの流れに逆行する性能を誇る。
BMWのSUV中で最もパワフルというわけではないが、一般的なファミリーカーよりも明らかに速いことは確かだ。
アストン マーティンDBX(550ps)
アストン マーティンは、メルセデスAMGの協力を得て、収益性の高いSUVセグメントへの参入を果たした。AMGが開発し、アストン マーティンが手を加えた4.0L V8ツインターボを搭載するDBXは、同社初のSUVでありながら、従来のモデルラインとしっかり調和している。
標準モデルで550psを発揮するが、さらにパワフルなモデルも用意されている。こちらはもう少し後で紹介しよう。
ジャガーFペイスSVR(550ps)
ジャガーはFペイスのエンジンルームを8気筒を想定して設計したが、V8エンジン搭載の「SVR」モデルは2018年までリリースされなかった。最高出力550psを発揮するスーパーチャージャー付き5.0Lエンジンに加え、SVRらしくハードスプリング、ワイドホイール、軽量な排気システム、スポーツシートを備えている。
Fタイプの生みの親であるジャガーが、エンスージアストの期待に応えたモデルだ。
ポルシェ・カイエン・ターボ(551ps)
ポルシェ・カイエンの全モデルにターボが標準装備されているが、車名に「ターボ」が付く場合、ベースモデルよりはるかにパワフルであることを示している。4.0L V8ツインターボは、カイエンGTSの465psから大幅にパワーアップした551psを発生する。
ランドローバー・レンジローバーSVオートバイオグラフィー・ダイナミック(565ps)
ランドローバーが2桁の出力しか持たないレンジローバーを販売していた時代は、とうに過ぎ去った。4代目は、どの仕様でもパワフルだが、究極のスピードを求めるなら、SVオートバイオグラフィー・ダイナミックへとステップアップする必要がある。
5.0L V8エンジンにスーパーチャージャーを搭載し、最高出力は565ps、0-97km/h加速は5.1秒に達する。また、ローダウンサスペンションと、応答性を高めたステアリングシステムが採用され、より優れたハンドリングを実現している。
ロールス・ロイス・カリナン(571ps)
ロールス・ロイスはBMWグループの一員だが、初のSUVを開発するにあたり、親会社の部品箱を漁らないという賢明な決断を下した。これまで発見された中で最高の宝石品質を持つダイヤモンド原石にちなんで名付けられたカリナン(Cullinan)は、ツインターボ6.75L V12エンジンを搭載し、フルタイム四輪駆動システムを介して571psをすべてのタイヤへ伝達する。
購入時にはロールス・ロイスと直接交渉して、内装やトリムなど、ほとんどすべてをカスタマイズすることが可能だ。テールゲートのピクニックシートもある。
メルセデスAMG G 63(585ps)
メルセデス・ベンツGクラスは、外から見ると先代モデルによく似ている。それは意図的なものだが、中身はすべて新しくなっている。AMGモデルには、アストン マーティンDBXをはじめ多くのモデルに搭載されているのと同じ4.0L V8ツインターボが積まれている。G 63の最高出力は585psで、この巨大な箱を0-97km/h加速4.5秒という速さで走らせる。
マセラティ・レヴァンテ・トロフェオ(590ps)
SUV市場において、マセラティは後発組である。しかし、フェラーリ製の3.8L V8をレヴァンテに搭載し、最高出力590psにチューニングすることで、その遅れは十分に取り戻したのではないだろうか。
ただし、欧州で販売されるトロフェオは同じツインターボで581psの出力にとどまっている。シャシーの改良と50:50に近い前後重量バランスにより、エンスージアストはV8パワーを最大限に活用することができる。
アウディRS Q8(600ps)
Q8はアウディ最大のSUVではないが(最大はQ7)、決してコンパクトでないことも確かだ。それなのに、最高出力600psのV8ツインターボで0-97km/h加速を3.8秒で駆け抜けてしまう。
このような数字は通常、アウディTTなどの2ドアモデルに見られるものだ。2019年、正式デビュー直前のRS Q8は、ドイツのニュルブルクリンク・サーキットで7分42秒2のタイムを記録。SUVのラップレコードを塗り替えた。
メルセデスAMG GLE 63 S(612ps)
メルセデス・ベンツは1998年に最高出力347psのML 55 AMG(W163型)を発売し、ハイパフォーマンスSUVというセグメントを創り上げた。そして、現在。AMGはメルセデスAMGという本格的なサブブランドに姿を変え、MLはGLEという名前で呼ばれるようになった。その高性能モデル、GLE 63 Sは最高出力612ps の4.0L V8ツインターボを使用している。
1998年当時、MLは0-97km/h加速6.9秒を記録していた。2022年、GLE 63 Sはわずか3.7秒でこれをクリアできる。AMGは、これと同じ4.0Lを大型のGLSにも搭載している。
アルピナXB7(630ps)
アルピナは、BMWのSUVセグメントで素晴らしい結果を残している。XB7は、巨大なX7をベースに、4.4L V8ツインターボをよりパワフルに進化させ、専用のエキゾーストシステムから息を吐き出す。高性能かつ高級なSUVでありながら、アルピナらしく、控えめなビジュアルを採用している。
BMW X5 M/X6 M(625ps)
BMWは、「スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)」という呼称に不満があるようで、初代X5を販売する際に作った「スポーツ・アクティビティ・ヴィークル(SAV)」を好んで使用している。
それはさておき、最もパワフルなモデルとしては、X5 MとX6 Mのコンペティション仕様が挙げられる。同じプラットフォームをベースとする両車は、構造や部品こそほぼ同じだが、一方は機能性を重視し、もう一方はフォルムを重視している。
ベントレー・ベンテイガ・スピード(635ps)
ベントレー初のSUVとなったベンテイガは、高性能のスピード仕様で6.0L W12エンジンをパワー源とするユニークなモデルだ。ライバルのほとんどはV8エンジンを搭載している中で、このパワートレインはベントレーの存在感を際立たせている。
最高速度は305km/hだが、直線をフラットに走ることだけを目的に設計されたわけではない。ベンテイガ・スピードの初期型は、2018年のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムで、10分49秒9のタイムを記録し、平均速度107km/hでコースを完走。SUVとしての記録を更新している。
ポルシェ・カイエン・ターボGT(640ps)
ポルシェは、カイエン・ターボGTに驚くほど多くのレースノウハウを注ぎ込んだ。4.0L V8エンジンのパワーアップ、軽量化、チタン製エグゾーストシステムの採用など、ターボを大きく進化させたクーペモデルだ。
SUVの中で最強のモデルというわけではないが、SUVとしては比類ないハンドリングを実現しているのである。2021年、カイエン・ターボGTはニュルブルクリンクで7分38秒9というタイムを残し、RS Q8の記録を塗り替えた。
ランボルギーニ・ウルス(650ps)
イタリアが誇るハイパフォーマンスSUV、ランボルギーニ・ウルスは、ベントレー・ベンテイガやポルシェ・カイエンなどとプラットフォームを共有する。当初のコンセプトでは、ガヤルドと共通の5.2L V10を採用していたが、2018年に登場した市販モデルは、しっかりと調教された4.0L V8ツインターボとなっている。
「レイジングブル」のエンブレムをSUVにつけるのはリスキーな賭けだったが、結果的にそれが功を奏し、今夏までに累計2万台の販売を達成している。ライバルのフェラーリもこの流れに乗りたがっているので、来年あたりには「跳ね馬」と「暴れ牛」による史上初のSUV対決が見られるはずだ。
ポルシェ・カイエン・ターボS Eハイブリッド(680ps)
ドイツ最強のSUVが、ポルシェの紋章をノーズにつけていると知って驚く人は少ないだろう。カイエン・ターボS Eハイブリッドは、お馴染みの4.0L V8ツインターボと電気モーターを搭載し、軽くない車重を克服してスポーツカーに匹敵する加速を実現しているのである。
48Vシステムによるアンチロール機能などのトリックもあって、カイエンはその大きさからは想像できないほど、堂々としたターンを見せる。
ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク(707ps)
ジープとパフォーマンスの相性は、ハギス(世界一まずいスコットランド料理)とアイスクリームと同じくらい険悪だと思われるかもしれない。しかし、実際には驚くほどうまく出来ている。ジープは兄弟ブランドのダッジからスーパーチャージャー付き6.2L V8エンジン「ヘルキャット」を拝借し、グランドチェロキーに詰め込んでトラックホーク仕様を作ることで、長年にわたって最もパワフルなSUVの座に君臨してきたのである。
テキサス州に拠点を置くヘネシーなどのチューナーは、このモデルからさらにパワーを引き出しているが、それは今回のランキングの範囲外である。
アストン マーティンDBX 707(707ps)
アストン マーティンは、このDBXの派生モデルが世界で最もパワフルな高級SUVであると主張している。まだランキングの途中であることからもわかるように、これが事実であると100%確信しているわけではないが、確かに頂点に近いものであることは間違いない。
標準モデルよりもパワーとトルクが29%強化され、0-100km/h加速は4.5秒から3.3秒に短縮。0-160km/h加速は7.4秒と驚異的で、最高速度は310km/hに到達する。価格は3119万円からで、標準モデルより約600万円高い。
ダッジ・デュランゴSRTヘルキャット(710ps)
内燃機関搭載SUVで最も強力な市販モデルは、ドイツのアウトバーンで鍛えられたわけでも、イタリアの有名なモーターバレーで生まれたわけでもない。デトロイトで製造されたダッジ・デュランゴSRTヘルキャットだ。面白いことに、今回の上位3車種はすべて米国ブランドとなった。
デュランゴSRTヘルキャットは、先述のジープ・グランドチェロキー・トラックホークとの関係性も深いが、そのスーパーチャージャー付き6.2L V8は、王座を得るために強力なブレーキも獲得している。
大型ブレーキと強化サスペンションシステムも、パフォーマンスの一端を担う重要な存在だ。シャシーはサーキット走行を念頭に開発され、冷却システムもアップグレード。0-97km/h加速は3.5秒かかるが、3955kgもの牽引力を発揮するのが特徴だ。
ダッジはSRTヘルキャットを2021年モデルまでしか製造しないが、約3か月ですべての製造枠が埋まってしまった。全部で約2000台のキング・オブ・SUVが米国で放たれることになる。価格は8万2490ドル(約1080万円)から。
GMCハマーEV SUV(830ps)
GMCは最高出力1000psのハマーEVピックアップトラックを発表して話題になったが、SUV仕様は4桁の馬力を計上することはなかった。とはいえ、約830psを発揮するハマーEV SUVは、ライバルを遠ざけるのに十分パワフルだ。GMCによると、SUVはピックアップトラックより約20インチ短いので、1000psに必要な巨大バッテリーが収まらないのだという。
EVは通常、同クラスのガソリンエンジン搭載モデルよりもはるかに重く、パワーの代償は決して小さくない。ハマーEVの車重は約4090kgとされている。ピックアップトラックは2021年末に生産が開始されたが、SUVは2023年のデビューが期待されている。初期限定モデルのエディション1は、予約段階ですでに完売しているという。
テスラ・モデルXプレイド(1020ps)
テスラは、モデルS用に開発した3モーターのドライブトレイン「プレイド」をモデルXにも搭載した。最高出力は両車とも1020psだが、モデルXは重量が重いため、0-100km/h加速は2.6秒に伸びている。それでも、この巨大なSUVでこれだけのパフォーマンスを達成できるというのは、驚き以外の何物でもない。加えて、ファルコンドアや最大7人乗りのシートも健在だ。スーパーSUVの世界は、もはやEVのものとなりつつある。
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