ひと粒で何度も美味しい
もはや、新型SUVのニュースを聞かずに1週間が過ぎることはないのではなかろうか。
14億円? ロールス「スウェプテイル」に見る、ロールスが販売台数を追わぬ理由
ジャガーE-PACEだって、まさにこの原稿を書いている時に正式発表された。
これはまさに、経済の原理に従っているといえる。売れるから造る、というわけだ。しかも自動車メーカーにとってありがたいのは、その需要がグローバルなものだということである。
この手のクルマの本場ともいうべきアメリカはもちろん、欧州や中国でもSUV人気は絶大だ。これは、ひとつの車種を開発すれば、多少の手直しをするだけで、さまざまなマーケットをカバーできることを意味する。
ひと粒で何度も美味しい思いができるというわけだ。
政治問題 グローバリズムゆえの苦悩も
これまで、グローバルカーを開発する度に、各メーカーは市場毎に違う嗜好への対応に苦しめられてきた。たとえばフォードが、英国とアメリカでベストセラーの座についていたとしても、その売れているクルマは、かたやフィエスタで、かたやF-150ピックアップだ。
双方の需要を満たせるクルマが想像できるだろうか。それが容易に絞りこめるとなれば、造る側にとってこんなにラクなことはない。SUVは万能的な人気という幻想を現実にし、より大きなスケールメリットをもたらす。
スコダが新型SUVから、浸透しつつあった「イエティ」の看板を下ろしたのは、中国での販売を見こみ、彼の国と政治的に微妙な関係にあるチベットの言語に由来する車名を外すという決断がなされたからだ。
ヒュンダイはコナをカリフォルニアのスタジオでデザインし、エンジンや脚回りを各仕向け地のために調整して世界的に売り出す計画だ。
ヒュンダイのデザイン部門のコメントもなかなか興味深い。
どれも同じ? グローバル化の「膿」
ヒュンダイのデザイン部門を率いるリュク・ドンカーヴォルケは、世界戦略車として開発されたコナの発売にあたり、こう述べている。
「かつて困難だと思われた問題が、いまや実にシンプルになっています。グローバリゼーションにより、多くのパラメーターが均一化されつつあるのです」
「たとえば、これまでの中国市場の嗜好は、世界市場と相容れないものでしたが、クルマに関しては時を追うごとに変化をみせてきています。アメリカ市場のそれに近付きつつあるのです」
効率化を最大限まで高めたい自動車メーカーとしては朗報だが、デザイナーとしては現状に多少の懸念があることも認めている。
「こうしたグローバリゼーションは、ちょっとばかり淋しい気もします。それによって、街の景色も変わってきました。クルマも、かつてより代わり映えのしないものになりつつあるのです」
彼のその懸念には反論しがたい。
SUV人気に比例して増す「寂しさ」
ホテルからヒュンダイ・コナの発表会場まで、ソウルの街を5分ほど歩いたが、その間に何軒のスターバックスを見かけたとお思いだろうか。8軒である。そう、なんとそんな狭い範囲に8軒もあったのだ。
グランデサイズのカプチーノなどという、味の薄いおかしな飲み物とともに、地域色も希薄になってしまったように感じられた。
もちろん、エリアごとの多様性というものは今後も残るだろう。アメリカ人がピックアップトラックを見限ることも、逆に英国人がそれを喜んで乗りまわすことも想像できない。
ただしSUVは、サイズやタイプこそ違えど、世界中の路上でありふれた存在となり、その人気が衰える気配はない。それこそ、過当競争をものともせず、各社がSUVに力を入れるなによりの理由なのである。
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