ボルボ・ブランドのド真ん中とも言えるモデルがV60だ。美しいプロポーションとスタンスを持ちな
がらも、実用性と多用途性を実現した北欧ワゴンの完成度を竹岡圭がチェック。
スタイリッシュで積載性もピカイチ。さらに走りも楽しい!
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「V」はバーサティリティ=多様性のV。ボルボのエステートワゴンは、頭にこのVがつくだけあって、積載能力の高さで知られている。ところが昔の四角いボルボと違い、とくに先代はかなりスタイリッシュなデザインだったこともあって、この部分で買い替えの二の足を踏んでいた人も多いらしい。
その不安を払拭するかのごとく、新型V60はとにかく積載性が高いのだ。その実力たるや、V70いやV90も真っ青なのだが、一見そんな風には見えない、低く構えたスタイリッシュなデザインが特徴だったりする。全高1435mmはライバルと比べても一段と低く、全幅も日本の要望を聞いて1850mmに抑えられたとのこと。
なのにそんなに積める理由は、Dピラーにある。Dピラーの角度がV90に比べて15度立てられており、そのおかげで後部座席を倒した際はV90とほぼ同じ積載量を誇るまでの容量が確保できているのだ。
しかし、普段使いにあまりに広いラゲッジは、荷物がゴロゴロ転がって使いにくい。それをカバーするために、衝立状のグローサリーバックホルダーが標準されているのがまたエライ!さすが1953年からワゴンを作っているだけのことはあり、何があれば便利に使ってもらえるかよくわかっているのだ。
もちろん運動性能面も然り。SUV百花繚乱の昨今、あえてワゴンを選ぶ理由のひとつには、運動性能の高さがある。そこで今回は中国仕様(コンフォートシャシー)以外はすべてダイナミックシャシーが採用されており、ロール感を抑え長さを感じさせないほどシャキッと走る。18インチタイヤとの組み合わせは、路面によってはやや乗り心地がカタメにも感じられる時もあるが、ライントレース性も高く、気持ち良くクルマの向きが変わってくれる様はドライビングが楽しいレベルだ。
それには90シリーズと同じ、個人的には現在この世で最高と思っているシートや、XC60でもお馴染み、樹脂製のリーフスプリングを使用した絶妙なリアの足回りも利いている。さらにこの方式は荷室スペースを広げるにもひと役買っている等、とにかく考え抜かれた多様性が光っている。理由もなく出掛けたくなる、そんな1台だ。
■ボルボV60 T5 インスペクション主要諸元 ●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm ●ホイールベース:2870mm ●重量:1720kg ●エンジン型式・種類・排気量:B420・直4DOHCターボ・1968cc ●最高出力:187kW[254ps]/5500rpm ●最大トルク:350Nm[35.7kgm]/1500-4800rpm ●JC08モード燃費:12.9km/L ●燃料・タンク容量:プレミアム・55L ●トランスミッション:8速AT ●タイヤサイズ:235/45R18 ●価格:599万円
■文:竹岡 圭
■写真:玉井 充
ボルボV60については、10月10日発売のホリデーオート11月号でも紹介しています。
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