■液体水素エンジンGRカローラ 最終戦での新たな可能性の拡がり
2024年11月16日-17日に開催されたスーパー耐久シリーズ最終戦の富士にて、液体水素エンジンを搭載する「GRカローラ」が参戦しました。
なお今回は、今後の液体水素エンジンGRカローラの取り組みが新たに公開されました。
液体水素とは、気体水素に比べて密度が高く、同じ容量のタンクに沢山の水素が入るというメリットがあります。
一方で、タンクに貯蔵されている液体水素燃料が外部からの自然入熱などで気化してしまう「ボイルオフ/ボイルオフガス」という課題もあります。
これまでのスーパー耐久では走行中に燃料タンク内で発生したボイルオフガスは、活用されることなく大気中に放出されていました。
今回、ボイルオフガスの活用に関する新たなコンセプトモデルが展示されました。
現在はまだコンセプト段階だと言いますが、これが実現すればボイルオフガスをエネルギーとして回収・活用することが可能になるようです。
具体的な取り組みの内容としては、タンク内の液体水素から発生したボイルオフガスを「自己増圧器(外部からのエネルギーに頼らず圧力を高める装置)」に送ることで、再利用できる燃料を作り出す技術の開発です。
ボイルオフガスは圧力を加えることで水素燃料として、エンジンなどへの燃料噴射として再利用が可能だと言います。
しかし、通常であれば増圧には電力などのエネルギーを必要でしたが、今回展示された自己増圧器は、ボイルオフガス自体が持つ圧力を操作することで、新たにエネルギーを使うことなく約2-4倍に増圧し、再利用燃料を作り出します。
なおボイルオフガス(気化した水素)の再利用を行う際の増圧工程では、一定の割合で余ったボイルオフガスが排出されると言います。
これを今回開発した小型の燃料電池パッケージ(FCスタック)に送り、水素を化学反応させて発電。
この生み出した電力は、液体水素ポンプ用のモーターなどの動力として活用することを想定していると言います。
今回の技術が実現すれば「オルタネーター(小型発電機)」での発電量に相当する電力をボイルオフガスから補うことが可能になり、液体水素システム全体のエネルギー効率の向上が期待できます。
また前述の発電で使いきれなかったボイルオフガスは、これまでと同様に触媒を通じて水蒸気に変換し、車外に安全に放出されるようです。
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なおトヨタは、今後もこの技術を実用化するために「仲間づくりを行っていく」としています。
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