この記事は2018年10月に有料配信したものを無料公開したものです。
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2018年10月4日~14日にフランスで開催されたパリモーターショーで、「インフィニティ プロジェクト ブラックS」が発表された。インフィニティQ60(スカイラインGTクーペ:V37型スカイラインGTセダンは日本で販売されているが、クーペは未発売)をベースに開発されたこの「プロジェクト ブラックS」は、電気駆動化された超高性能スポーツモデルのためのテスト用プロトタイプモデルという位置づけだ。
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アライアンスを活用したプロトタイプ開発
この「プロジェクト ブラックS」は、世界初のデュアル・ハイブリッドを搭載し、571psという高出力を発生する。デュアル・ハイブリッドとは、ブレーキ時に減速エネルギー回生を行ない、加速時に駆動アシストを行なうモーター/ジェネレーター・ユニットと、ツインターボチャージャーに発電機が直結した2種類のハイブリッド・システムを装備し、この発電機は排気熱回収により発電を行なっている。つまりMGU-K(減速エネルギー回生+駆動アシスト)、MGU-H (排気熱回収発電)を搭載する現在のF1グランプリの技術コンセプトを流用しているところが注目点だ。
つまりこのプロトタイプは、F1フランプリを戦っているルノー・スポーツF1チームのF1テクノロジーをどのように市販スポーツモデルに転用できるかという技術的なチャレンジとして日産と共同開発したことで生まれたものだ。
実は「プロジェクト ブラックS」という名称のプロトタイプは2017年のジュネーブショーでデザイン・スタディモデルとして初めて披露されたが、その後にルノー・スポールと日産による共同開発が行なわれ、この新しい「プロジェクト ブラックS」プロトタイプが実現している。
また注目すべきは、ルノー、日産、三菱自動車のアライアンスを横断するアライアンス・プロジェクトでもあり、今回登場した「プロジェクト ブラックS」は日産の設計チーム、エンジニアチームとルノー・スポールF1チームが緊密に連携して開発されていることだ。実際、ルノー、日産、三菱は電動化技術、ノウハウに関しては他の自動車メーカーを大きくリードしており、こうした技術、ノウハウを総動員してロードゴーイングの電装化した高性能スポーツモデル用パワートレーンを生み出すことができることをデモンストレーションしている。
この「プロジェクト ブラックS」は、イギリスのエンストンにあるルノー・スポールF1チームと、ロンドンにあるインフィニティ・デザインが空力や軽量な材料を含む主要な設計を担当し、フランスのヴィリーシャトロンにあるルノー・スポールが日産のテクニカルセンターの技術支援を得ながらデュアル・ハイブリッドを開発するなど、アライアンスの効果を最大限に利用しているのだ。
デュアル・ハイブリッド・システム
デュアル・ハイブリッドとは、ブレーキ時のエネルギー回生用のモーター/ジェネレーター(MGU-K)と、VR30型の3.0L V6に装備されているツインターボにそれぞれ直結したジェネレーター(排気熱回収発電機=MGU-H)により発電された電力をバッテリーに貯蔵し、加速時に駆動モーターにより加速アシストを行なうシステムだ。
つまり、発電機は3個あり、減速時には1個(MGU-K)、加速時には2個の発電ジェネレーター(MGU-H)が作動する。加速時にはバッテリーに蓄えられた電力とターボ直結の発電を使用して1個のモーター(MGU-K)で駆動アシストを行なう。F1の場合はシングルターボに発電機1基が直結されているが、「プロジェクト ブラックS」はツインターボでそれぞれに発電機を装備しているレイアウトだ。
その結果、標準のVR30型エンジンの最高出力は405psであるのに対し、デュアル・ハイブリッドを搭載すると571psの出力にまで向上する。搭載されるリチウムイオンバッテリーは4.4kWhの容量を持ち、リヤシート後方に搭載している。
デュアル・ハイブリッドの作動は、加速時には最初に駆動モーターがアシストして、ターボの回転数を高め、ターボの応答遅れを解消し、より早くエンジンの過給圧を高めるように働く。次に、バッテリーの電力をフルに使用し最大120kW(163ps)の駆動アシストが、直接リヤアクスルのファイナルドライブに加わる。
駆動用モーター/ジェネレーター(MGU-K)はファイナルドライブと一体化されている。この結果、デュアル・ハイブリッドは応答遅れのないシャープで強力な加速が実現している。ベースのVR30型エンジンより41%も出力をアップしたことで、0-100km/h加速は4秒以下と想定され、スーパーカーに匹敵するレベルで、次期型GT-R用としてふさわしい動力性能といえる。
ユニークなドライブモード
「プロジェクト ブラックS」は、総合ドライブbyワイヤーを採用しており、ドライブbyワイヤーによりアクセル、ギヤシフトが行なわれ、ステアbyワイヤーによりステアリング(現行のスカイラインGTで世界初採用)はアダプティブ電子制御となっている。さらにブレーキには新開発されたブレーキbyワイヤーを採用している。
もちろんこのブレーキbyワイヤーは減速回生システムと油圧ブレーキを完全に協調させるためで、F1では2014年から日産と共同開発したブレーキbyワイヤーが使用されているが、それを市販モデル用にチューニングし、最適なペダルフィーリングとしならが、回生状態に関わらず安定したブレーキ性能が得られるようになっている。
なお、MGU-H、MGU-Kユニットを採用するにあたり、パワートレーンの冷却が必要で、フロントバンパーには、より面積の広い冷却ダクトが設けられ、ボンネットにはターボチャージャーとMGU-Hユニット部からの熱を放出するエアアウトレットが設置されている。また、リヤアクスルの後側にあるMGU-Kの冷却には床下を通過する空気流が使用されている。
「プロジェクト ブラックS」は車体の軽量化が行なわれ、ボンネット、フェンダー、ルーフはカーボン製となっている。こうした軽量化により、デュアル・ハイブリッド・システムを搭載しているにもかかわらず車両重量は1775kgとなっている。そのためパワーウエイトレシオは3.13kg/psとなっている。
ドライブモードは、ロード、ハイパワー、レースの3モードを備えている。ロードモードは扱いやすく、燃費を重視したモード、ハイパワーモードはアクセルを踏み込んだ時に最大限に加速が得られるモードで、回生エネルギーも最大限に引き出すようになっている。
レースモードは、ラップタイムを最大限に追求する一方で、エネルギーの使用を最適化したモードで、これはルノーF1カーに使用されているモードとほとんど同じとなっている。
開発課題
「プロジェクト ブラックS」の開発の課題は、高性能と高効率の両立だ。デュアル・ハイブリッドはブレーキと加速の両方でエネルギーを回収できるため、エネルギーの使用とバッテリーへの貯蔵のバランスを最適化することが必要となる。
ルノー・スポールF1チームによるテストの結果では、全長4.655kmのカタルーニャ・サーキットでの走行をシミュレーションするデジタルテストでは、従来のインフィニティQ50ハイブリッド(スカイラインGTセダン)より、はるかに高効率な走行ができることが確認されたという。
またこれら3種類のドライブモードでドライバーはABS、トラクションコントロールを任意に調整することも可能になっている。
このプロトタイプはこれまでのデジタルテストとダイナモの台上テストから、次のステージに移行する。2019年内をめどに、実走行でのパフォーマンステストと検証を行なうことになっているのだ。こうした実走行テストを経て、いよいよ次期型GT-Rの実像が具体的になってくるはずである。
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みんなのコメント
しかしあえて専用シャシーで開発された35GT-Rの志を越える車は出てこないと思う。
ハイブリッドならばそれを見越したパッケージング・シャシーのGT-Rを造って欲しいものだ。
この記事で言ってる次期GT-Rは中身の話でしょ。