マツダのクロスオーバーSUV「MX-30」に追加されたEV(電気自動車)モデルに小川フミオが試乗した。すでに販売中のマイルド・ハイブリッド仕様との違いは?
街乗り優先
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マツダ初の量産BEV(バッテリー駆動EV)の「MX-30 EVモデル」が2021年1月28日に販売開始された。2019年10月の東京モーターショーでの電撃的な登場以来、待ち望まれていたクルマだ。期待以上にナチュラルな操縦感覚をもったクロスオーバーSUVで、スタイリッシュな外観とともに、輸入車にもない個性が楽しめる。
MX-30は、2020年10月8日にマイルド・ハイブリッド仕様がまず販売開始された。東京モーターショーで注目を集めたピュアEVは、今回、満を持しての登場である。
電気モーターで前輪を駆動するタイプで、満充電時の走行可能距離は256km。マツダでは「通勤など日常的に使うなら、むしろ小型バッテリー搭載モデルのほうが、効率は良い」と、強調する。
バッテリーは大型になるほど製造過程でCO2排出量が多くなることにもマツダは注目した。クルマ製造において排出ガス低減を目指したのも、小型バッテリー採用の理由という。とにかく高性能、とにかく長距離、を目指したわけではないのだ。
パワーは十分
はたして、発進から、高速道路での追い越しにいたるまで、加速はじつにスムーズだ。動力性能は十分で、107kWの最高出力と270Nmの最大トルクでもって、すいすいというかんじで市街地の流れをリードする。
ステアリング・ホイール背後には、左右にパドルシフトが備わっている。これで車速コントロールが出来るのも便利だ。回生減速度(アクセルペダルをゆるめたときに車輪の回転を利用してバッテリーに充電するいわゆる“回生ブレーキ”で、回生の度合いを強くすると回転抵抗が大きくなりそれが速度を抑える)が、左のパドルを引くと強まり、右のパドルでは弱まる。
たとえば、下り坂にさしかかった場合、左パドルを引けば車速の上昇を抑えられる。回生減速度を最大に設定すれば、アクセルペダル全閉のとき、ブレーキペダルを踏んだような、強めの減速が得られる。
これはけっこう楽しい。混んでいる道路では左パドルを使い、空いているところでは右を、という具合だ。
しかも強弱いずれも2段階ずつ設定されているため、さまざまな交通状況下に対応するのも、使い勝手を高める。
アクセルペダルのみのオン・オフで、加速から停止までおこなう、いわゆる“ワンペダル走行”について、マツダの技術者は否定的だった。クルマはあくまでもアクセルペダルとブレーキペダルを操作して走らせるもの、という考えを強く持っているのだろう。
車重が1650kg(マイルド・ハイブリッド車は1460kg)あるので、走行中の動きは、“軽快”というより“重厚”と感じられる。ただし重ったるくはない。
足まわりの設定は、マイルド・ハイブリッド車と同様の部品を、重くなったぶんに合わせ、チューニングした(だけ)という。結果、カーブを曲がるときだろうと、高速道路でのレーンチェンジだろうと、車両の姿勢は安定している。
操縦性能においては、今回あたらしい技術として「エレクトリックGベクタリングコントロール・プラス」が採用された。モータートルクを最適制御するシステムで、たとえばドライバ-の操舵に合わせてモータートルクの微調整をコンピューターがおこない、スムーズなコーナリングを実現しているというのだ。
「これまであらゆる条件下で操縦性のテストを行ってきましたが、とくに雪上路の旋回性においては、ドイツのライバルより上であると自信を持っています」
試乗会のとき、オンラインのインタビューで、マツダの車両開発本部・操安性能開発部の梅津大輔氏は自信をもって話していたのが印象的だった。
つまり、MX-30 EVモデルは、環境適合性にくわえ、モーターの特性を操縦性能にもしっかり活かした、あたらしい世代のクルマということなのだ。
“特別”ではなく“普通”
意外だったのは、マツダ初のピュアEVという肝煎りモデルであるのにもかかわらず、外観も内装も、ほとんど従来のマイルド・ハイブリッド車と変わらない点だ。
クーペライクなプロファイル(側面)に、「フリースタイルドア」という観音開きのドアを備えたMX-30なので、それなりに特別感がある。初のピュアEVとしてこのクルマをマツダが選んだのには、なるほどと思わせるものがある。
それでも、“EVはさらに特別”というのも、じゅうぶんあり得る商品コンセプトだろう。ドイツ車だったら、ブルーやグリーンの挿し色を使ったり、シートやダッシュボードなどにも手を入れたりして、存在感を強調するところだ。
「特別なクルマというより、”わたしらしく生きる”というMX-30のラインナップにおいて、(たんに)動力源が異なるモデルという位置づけなのです」
特別感を盛り込まなかった理由について、開発主査を務めた竹内都美子氏はそう説明した。
操縦性にすぐれ、環境適合性の高いクルマづくりを追究していったら、EVモデルという”解”もあり! と、結論づけることができた、ということなのだろう。
価格は、それほど”ふつう”ではないかもしれない。ベーシックモデルが451万円で、今回乗った上級の「HIGHEST SET」にいたっては、495万円である。
比較的高価なこのクルマを私が購入したら、たとえば環境適合性を追究するマツダの考えに共鳴していることを、なんらかのかたちで周囲のドライバーにも知らせたくなりそうだ。
特別なストライプ1本でも事足りるかもしれない。そこ(だけ)がなんとなく物足りなさを感じた点だった。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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速攻で「改良」って自分で言っちゃってバッテリー容量あげるって予言しようか?小出し後出し商法はもうバレバレ。
って全員わかっとるんじゃない?