いまだに根強いファンを持つ、スバル製で最後の軽トラとなったサンバー。2011年にサンバー発売50周年記念特別仕様車 「WR BLUE LIMITED」を発売。2012年に生産を終了した。
この人気の秘密はどこにあるのか、軽トラ愛好家の清水草一氏に分析してもらった!
文/清水草一、写真/清水草一、SUBARU、HONDA、SUZUKI、DAIHATSU
【画像ギャラリー】そんなにすごかったのか!? 『農道のポルシェ』旧サンバーと軽トラの名車たち
■旧サンバーはそんなにすごかったのか?
スバル最後の自社開発となった6代目サンバー
一部でひそかに盛り上がりつつある軽トラブーム。しかし当の軽トラのラインナップはというと、2012年にスバルの旧サンバートラックの生産が終了し、ダイハツ・ハイゼットトラックのOEMに移行。
今年4月にはホンダ・アクティトラックも販売終了。スズキ・キャリイとダイハツ・ハイゼットトラックの2強を残すのみになった。
が、クルマ好きに言わせれば、「軽トラは旧サンバーにトドメを刺す」のだという。
旧サンバーはポルシェ911と同じRR(リヤエンジン・リヤドライブ)を採用し、「農道のポルシェ」との異名を取った軽トラ。しかもエンジンは軽トラ唯一の4気筒で、スーパーチャージャー付き(58馬力)もあった。サスペンションも軽トラ唯一の四輪独立懸架を採用していた。
ハイゼットやキャリイは、シート下にエンジンがあるキャブオーバータイプで、エンジンは3気筒NAのみ、リヤサスもリーフリジット。それと比べると、旧サンバーはまるでスポーツカーだ。いや、スーパーカーと言っても過言ではない。
やっぱり旧サンバーはすごかったのか? 最近、31年落ちのダイハツ・ハイゼットジャンボを購入した軽トラ1年生の清水草一が、スバリストのマリオ高野と対談した。
■一部のマニアお待ちかね!? 清水&マリオの軽トラ談義
マリオ高野氏。骨の髄から血の一滴まで生粋のスバリストである
清水「マリオよ。スバリストのお前は、旧サンバーの生産終了を非常に惜しんでおったな」
マリオ「はっ。スバルの軽開発撤退が決まったのは、08年でありました。その年はWRC撤退も発表され、スバリストにとって痛恨の年でありました」
清水「そうか。私は先日、古いハイゼットトラックジャンボを買ったのだが、それに対してSNSで『軽トラならやっぱりサンバーでしょw』といった上から目線のコメントをいただいた。旧サンバーとはそんなに凄い軽トラだったのか」
マリオ「メカニズム的には、他の追随を許さないものであったことは確かであります」
清水「確かに軽トラとしては凄い。しかし私に言わせれば、4輪独立サスなど、乗用車で当たり前のもの。私はこれまでイヤというほど4独サス車に乗ってきた。フェラーリやランボルギーニを含め、これまで購入した50台余の大部分が4独サス車である」
マリオ「はっ」
清水「逆にハイゼットのリーフリジットサスは生まれて初めてで、その原始的かつダイレクトな乗り味に震撼しておる。そういう見地からすると、旧サンバーは逆に平凡で、ハイゼットのほうがスーパーカー的とは言えまいか?」
マリオ「はっ。サンバーは1961年の誕生以来、RRの4輪独立サスであります。RRはトラクション性能に優れ、4輪独立サスは接地性に優れております。それはスバリストの誇りであります!」
清水「誇りはわかるが、現代もそこに大きな優位性があるとは思えない。トラクションが必要なら、4WDを選べばいいいだけのこと」
マリオ「確かに、現在はそれらのメリットはそれほどでもないのでありましょうが、黎明期には4WDなどなかったため、他社の軽トラに比べ、圧倒的に優れていたのであります。当時は販売シェアでも他社を圧してスバルの一人勝ちでありました!」
清水「そうだったのか! 自分が生まれてもいなかった頃のことに詳しいな!」
マリオ「スバリストの誇りでありますから!」
■旧サンバー神話は幻想なのか?
近頃軽トラの魅力に取り憑かれている清水草一氏の愛車、ダイハツ ハイゼットトラックジャンボ
清水「ハイゼットを買ってみてしみじみ思ったのだが、少なくとも現在においては、旧サンバー賛歌というのは、一種の宗教ではないか。4気筒エンジンも、確かに高回転までスムーズに回ってビックリしたが、低速トルクがないので日常域では非常に遅く感じたし、計ってないが燃費も悪かったようだ。
それと比べるとわがハイゼットは、旧規格ボディに660cc搭載という優位性もあって、非常に速いと感じる」
マリオ「参謀長殿のハイゼットは速いでありますか!?」
清水「640kgしかないし、3気筒エンジンのトルクで、3速20km/hから40km/hまでの加速に毎回陶酔しておる。この太いトルク感は、旧サンバーでは味わえまい」
マリオ「正直に申し上げますと、旧サンバー信者たちは、スバリストの中でもとりわけ狂信的かつ原理主義的で、話し合いは不可能なのであります!」
清水「旧サンバーオーナーが旧サンバーを賛美することは全面的に是認するが、旧サンバーに乗ったこともないカーマニアまでもが、耳学問で『軽トラなら旧サンバー』と言っている部分がある気がしてならないのである。それもまあ、スバリストたちの布教の成果であろうが」
マリオ「旧サンバー信者によりますと、旧サンバーがダイハツのOEMに切り替わったことで、全農家が難渋し、旧サンバーを恋しがっていることになっておりますが(笑)、実際にはそのような現実がないことは、私も認識しております。現在のダイハツ製サンバーに乗りますと、FR車的な楽しさがあると感じるであります!」
■たとえ幻想といわれようとも……旧サンバーは永遠のアイドル
スバリスト&旧サンバーリストたちの永遠の憧れ、赤帽サンバー。エンジンの耐久性を大きく向上させた特別仕様だ
清水「実は私は旧サンバーには1回しか乗ったことがない。真実の姿はどうだったのか?」
マリオ「数多くの美点があったことは申し上げましたが、弱点としては、ショートホイールベースのRRレイアウトだったため、直進安定性が低く、高速道路ではまっすぐ走るのが困難でありました。ただ、4輪独立サスの恩恵により、しなやかな足回りで、乗り心地は優れておりました」
清水「そうか、なるほど。思えばわがハイゼットは、十分な直進安定性を持っているぞ。しかも驚くほど乗り心地がいい。リーフリジットサスの古い軽トラに、乗り心地など1ミリも期待していなかったのだが、ダンパーが抜けているせいか、非常にソフトでふんわりしている。その点でも旧サンバーに負けない自信がある」
マリオ「軽トラ黎明期は、乗り心地でも静粛性でも、サンバーの圧勝だったのであります!」
清水「神話は永遠ということか」
マリオ「確かに旧サンバーの優位性は、スバリストの脳内補正がかかっている面はあると思いますが、旧サンバーが永遠のアイドルであることは、スバリストにとっては絶対的な真理であります。私も仮に軽トラが買えるならば、一も二もなく旧サンバーを選びますし、中でも赤帽サンバーは究極の憧れであります!」
清水「そう言えば、赤帽はサンバーだったな」
マリオ「赤帽サンバーは年間10万キロ走ることも珍しくないため、エンジンの耐久性を特別に向上させてあるのであります。旧サンバーに赤帽エンジンをリビルドして載せるのが、スバリスト共通の夢であります!」
清水「……健闘を祈る!」
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